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78話 頑張る日々 12「決闘前日 もふもふと仕掛け」

朝に目が覚める。

昼夜逆転していないことに安堵する。

自律神経にも良くないし。

何も良いことがあるわけでもないし。


ただ、今までずっとベッドの上だったから、早く起きすぎたらしい。

両親は仲良く寝ている。

・・・せっかくだから少し走るなりして身体の調子を見てみようかな。

と、ベッドから降りると

(おはよう、トール、もう起きたのか、いつもより早いな)

とハーティからの思念を受けた。


(おはよう、ずっとベッドだったからかな、早く起きちゃって。少し外で軽く走って来ようかと思っているんだけど、来る?)


(うむ、行こう)


久々に外に出た気がする。

風が気持ち良い。

朝日も綺麗だ。

まだ、村の人も起きていないらしい。

・・・この時代の村人が動いてない時間って朝っていうか夜明けだね。

さて、気持ちを切り替え、準備体操もする、いきなり動くのも危ないし。


「なんだ?その動きは」


「あぁ、これ?いきなり動くと身体がびっくりするから慣らしているんだよ、身体にこれから動きますよって。柔軟もできるから、怪我をしにくくになる・・・らしいよ?」


「ふむ・・・外から見ると・・・その」


「・・・滑稽かい?」


「・・・うむ」


「・・・・・・走ろうか」


「うむ」


とりあえず、隣の村の方へ走ってみる。

盗賊?ハーティが元の大きさの狼モードです。出てくるやつがいたら自殺願望持ちです。

魔物?挨拶して終わりです。

平和!!


「しかし、結構、走りにくい、ね」

はっはっとジョギングする


「そうか?どの辺がだ?」


「道が、舗装、されていない、から、大きい石、とかある、し」

はっはっ


「ふむ、こんな物だろう。トールは・・・いや、この話は危ないのであったな、よしておこう。ただ、舗装されているところなぞ、王都くらいだろうよ、この辺を舗装しても意味はなかろう」


「いや、馬車、が壊れ、やすくなる、それがなく、なるだけで、利便、性が増すよ」

はっはっ

「それに、軍を、動かすにも、不便だ、舗装、する、なら、水はけとか考える、こともできる」

はっはっ


「そういうものか」


「そういう、ものだよ」

はっはっ


(トールの知識は確かに世界を変えられるの)

とハーティが思念で伝えてくれる。

僕の用心を思いやってくれたようだ。


「少しは、ここにも、還元、するよ、安全なのは」

はっはっ


しばらく走る。

と、隣の村が見えてきた。

おや?人がいる。


「おはようございます~!」

はっはっ・・・ふぅ

「うむ、おはよう」

あ・・・ハーティ元がのサイズのままだ。


「お、おう!?おはよう、何か・・・用か?」

とおじさんが、微妙な挨拶を返してくれる。


「いえ、ただ、第4の村から走っていたら辿り着いて、見かけたので。挨拶を」

と息を整えながら答える。


「はぁ」

と隣のハーティをじっと見上げて、

「あぁ、例の愛し子さんか、お前さん」


「えぇ、そう呼ばれていますね、何かありました?」


「いんや、何も起きてないからこそだ。ありがとな、お前さんのおかげで魔物に怯えないですむようになったよ、たまに祭りの時には肉のお裾分けをもらってるみたいだしな」


「それは魔物の皆に代わりに伝えておきましょう。僕から人間を襲うななんて言ってないんですよ?彼等が愛し子が悲しむから、その同族を襲うのを止めようと自主的に止めてくれているんですよ。僕は産まれたばっかりだったから声も出せませんでしたし、何も知りませんでしたけど」

と笑う。

「感謝するならば彼等のその理性と思いやる心にこそ、どうか。肉も彼等が持ってきた土産が多すぎて分けているらしいですし」


「うむ、あやつ等もよう考えるようになった。昔はそんなこと考えれるようになるとは思えんかったがなぁ。いつの間にか成長するものよ」

としみじみとハーティさん。お母さんというか、お婆さんみたいだ。


「はぁ、そうかい。魔物ってぇのは怖いもんばっかだと思ったが、良い根性してんじゃねぇか。それにしても・・・立派な狼さんかと思えば、噂のフェンリルさんかい、この目で見れようとはなぁ」


「見れて、どうした?」


「いや、立派だなぁと。しかし村一つ分も走れるとは健脚だなぁ、水いるか?」


「あ、大丈夫です。これからお仕事ですか?」


「あぁ、農作物の様子をちょっと見てみようかと、早起きしちまったからな。だが」

とこっちを見て、

「早起きも悪くねぇな、珍しいもんが見れた。じゃあ、俺は行くが、気をつけて帰れよぉ」

とおじさんは去っていった。



「ハーティ、皆は起きているか分かる?」


「うむ、しばし待て・・・スロールは起きているようだの、日光浴をしているということだ。まだ、他は寝ているとのことよ、正確に言うと、トールが出る時に一度従魔は起きたが、我が一緒に出たから二度寝に入ったが」


「二度寝は気持ち良いからねぇ」


「うむ、こんな良い天気の日には外でゆっくり日光を浴びながら、まどろむのが良いな」


「あれ、じゃあ、ついて来ないでも良かったのに」


「それと同じくらい、トールの傍にいるのも良いのだ、しかも走るとなればなおさらな」


「嬉しいことを言ってくれるね、頭をこっちに」


「うむ?」

と素直に頭をさげてくれる


「よしよし、うりうり」

と頭を撫でて、顎下を撫でて、頬の辺りに顔を埋める。

「大好きだよ、ハーティ、いつもありがとう」


「う、うむ」

ごろごろと音がしている。

猫とはまた違う音だ。


うりうりうりうりうりうり、

よしよしよしよしよしよし、

もっふぅ。


「も、もう良かろう!?皆も起きるぞ、戻らねば・・・」


うりうりうりうりうりうり、

よしよしよしよしよしよし、

もふもふもふもふもふ、

もっふぅ。


「ト、トール!?」


「はっ!どっか天国にいた!!」


「トール!!!!????」


「じゃあ、戻ろうか。帰りは急いで走るのと、ゆっくりさっきまでのように走るのを交互にするよ」


「何の意味が?」


「さぁ?なんかそうすると良いらしいよ?」


と帰りはダッシュとジョギングを繰り返す。

それと同時に考える。

たぶん、村一つ分走れる人は少ないのだろう。

馬車を使うか、休み休み歩いてくるのか。

これも加護のおかげか?

あまり疲れていない。

身体も軽い。


「おぉ、中々速いではないか!」

と嬉しそうに尻尾をぶんぶんとさせるハーティ。

そうだね、ごめんね、最近散歩させてやってなかったね(犬扱い


ただ、ハーティに速いと言われるのは嬉しい。

中々、良いステータスになっているのか?

「ハイハイも速かったが、走るのもこんなに速くなるとは、成長というのは早いものよなぁ」

・・・撤回、言われても嬉しくなかった。


そんなこんなで、家に辿りつく。

もう皆が起きていたので、ヴィトに頼んで汗を流させてもらう。

そして朝食。

本当はその後は子供は親の手伝いだが、狩りの手伝いはしていない。

弓矢がないし、父はあぁ見えて狩りが特に上手だ。

行っても邪魔になるし、狩りを手伝うくらいなら遊んでいてくれる方が嬉しいらしい。

父らしいが。

近い内に弓矢を用意しよう、筋肉を鍛えるためにも強弓を。

できることにはなんでも手を出さないと。

テイマー以外は非才の身だ、器用貧乏でちょうど良い。


さて、自由時間だが・・・。

鍛錬か。

「ヴィト、鉄の剣とか棒とかと皮の防具一式、どれくらいで等価になる?」


「そうですね」

とじゃらじゃら集めだす。

「これくらいですかね、念のためにも大目にですけど」


「意外と少ないね?」


「まぁ、鉄の方が需要ありますから」


「なるほど、じゃあ、ダイスをよろしくね、帰ってきたら魔法の練習に付き合ってね、師匠」


「師匠ですか、悪くない響きですね。分かりました、では行ってきます」

とカラカラ笑いながら去っていくリッチロード。


「ハーヴィ、君の龍のブレスで、この辺のなまくらの刀と棒を溶かせる?」


「うん?容易いが」


「周りに影響は?」


「なくできるぞ」


「じゃあ、頼んだ」


と鉄の棒の半分から先になまくらの剣と棒を集めると溶かしてもらう。

これで冷めたら取っ手つきの鉄塊ができるだろう。

素振りと筋トレにはちょうど良い。

綺麗な素振りなんかは必要ない。

求めるのはステータス差で押し切る強さだ。

技量で戦うのは僕の目指す方向性ではない。


「それで、これは何に使うのだ?」

とハーヴィ。


「冷めたら、これで素振りをして、膂力を鍛えようとね」


「ふむ、では冷ますか」

とハーヴィがいうと、水が上から降ってきた。

「・・・これでは平たくなってしまうな、ちょっと待て」

と人間に変身すると、もう一度ブレスを吐く、そして取っ手部分を持ちながら回して行く。

ドロドロに溶けた鉄をまとわりつかせていく。

明らかに物理法則を無視した動きを見せるときもある。

・・・風の魔法で持ち上げたのだろうか。

と、望んでいたような先の部分が変に出っ張ったりしていない鉄塊ができた。

重心は諦めていたけど、意外と細かい作業をしてくれる。

それを風で冷まし、水の塊を宙に浮かすとその中へ。

ジューっと音がする。

しばし繰り返す。


「うむ、冷えたな、持ってみよ」

とハーヴィに渡される。


「ありが、と!!??」

思ったより重い、がそれ位でないと意味がない。

「改めてありがとう、思ってたより、ずっと良いのができた」

とハグをする。


「う、うむ、どういたしましてだ」

と照れるイケメン。

男は基本好きではないがイケメンは良い。

絵になるから。

ただ、イケメンの傍に立ちたいとは思わない。

比べられるから。

・・・・くっ!

まぁハーヴィは家族だから良いけどね。


そして素振りをしながら、見物している皆に指示を出す。

「ハーヴィ、ゴブリン、は進化、するのか?」


「うむ、ゴブリンアーチャーやゴブリンメイジなぞおるぞ、人間に最も近い魔物故な」


「ならば、ゴブリンロード、に伝えてくれ、アーチャーと、メイジを増やせと。群れの半、分の半分、がアーチャー、同じ数でメイジ、メイジは、風と水に特化さ、せるように」


「ふむ?」


「ちなみに、オーガは、進化は?」


「うむ、するぞ。ゴブリンと同じ類よ、人間に近い魔物だからな」


「では、オーガには、半分は弓を、使えるようにと」


「メイジはいらんのか?」


「今は、ゴブリンを、見てから。伝えてきてくれ、北の、ゴブリンや、オーガのことも、忘れるなと、愛し子の願いであり、君等の安全、のためだ、と。信じて、くれと」


「うむ、ドラゴンネット・・・」


「は、なしだ。直接、行って、くれ。事が大事である、と知らせる、ためだ、お願いだ。」


「うむぅ、仕方がない、では行って来よう。他の種族には?」


「そう、だね。ドワーフと、妖狐には、伝えてもらい、たいことが、あるけど、スコール」


「なんだい?」


「妖狐の、皆、には、連絡が、つくか?」


「一回戻れば、かなぁ?」


「では、前に話した件、について、皆には隠して、存在をそれとなく、注意して、探せと伝えてくれ。それを使うと、使用者も周りも危ない、知り合いがそれで死んだ、とでもなんとでも伝えて。できれば、各王都に何名か、送ってほしい、だが!絶対に、原料の名を妖狐側から口に出させるな、長の名にかけて!そして、それを作った人を、必ず教えるように、とも」


「分かったよ」

真剣な顔をして頷いてくれた。


「ありがとう」

と笑みを返す。


一度、鉄の塊を下ろす。

ズンと辺りに響く。

ふぅ。


「頼むよ、ハーヴィ。ゴブリン達へのは今後の布石になるかもしれない。ならなくてもアーチャーやメイジはダンジョン攻略を無傷でこなすには便利だ。メイジは盾役だね。スコール、君へのお願いの重要さは分かっているね、君等にしかできない。これは調停者にも不可能だ。イネガル神様のためにも、平和のためにも必ず。お願いする、ハーヴィ、スコールを一度、群れの場所にも送ってくれ」


「うむ」

「了解」


「スロール、君にもお願いがある。冬にもなる作物を知らないかな?こういう先が丸くて、上が葉っぱ?茎?みたいな。狼や熊が食べてたりして安全だと証明されているのだと尚良い。他にも、こういう丸いカクカクした芋とか、こういう幾つも粒がなる物とか。あとは豆で暗いところでも成長して、こう白いのが伸びるのとか」

カブとジャガイモとトウモロコシとモヤシだ。

平均寿命が短いのには栄養の偏りがあったと聞いた覚えがある。

王都の人間がどうなろうがぶっちゃけどうでも良いが、両親やこの村の人達には長生きして欲しい。

「後は、食べられる果実でこの辺で育てられるものとか、育て方を知っていると尚良い」


「えぇっと、仲間にも聞いてみます」


「頼んだ、ハーティ?送れる?」


「無論だ、ドライアドの群れはそこまで遠くないはずだったな?」


「あなたにはそうでしょうね、ではお願いします」


「ハーティ、ありがとう。スロール頼んだ。皆が健康に長生きするのに必要なんだ」


「ではな。すぐに戻るでな」

「行ってきます」


「お願いね、行ってらっしゃい」



「あとは・・・魚をもっと食べて、干物?あ、クローバーだったっけ?かぶでも良かったと思ったけど・・・まぁ、かぶなら食べれるし良いかな?たぶん、実験して失敗したらクローバーでも良いでしょう。農業なんて長い目で見てなんぼよ」


とヴィトが帰って来た。

「あ、ありがと、お金は足りた?」


「えぇ、充分すぎる程でした。・・・・で、それは?」


「筋肉を鍛えようとね、ハーヴィに作ってもらった。今からまた素振り開始するけど、その間に結界で音が外に漏れないようにして、僕が言ったことをメモしてくれる?蝋版を使って」


「良いですが?」



「結界は?」


「大丈夫ですよ」


「じゃあ、1つ、満遍なく、色んな、物を、食べること、2つ、病院の、あり方、3つ、スライムを、使った、スラムの、住人の、職業、4つ、身体を清潔、にする、ことの大切さ、5つ、風呂の果たす、役割、6つ、病人は、一緒に入るべからず、7つ、傷口には、酒を急いで、かけること、8つ、神は万能ではない故に、神ならぬ、身ならば、より良くなれる、ように努力すべし、9つ・・・・・・・・・・」


こうして、回復した次の日は過ぎていく。


久々の掲載再び!

この小説では現在「勝手になろうランキング」で

22位(にゃんにゃん

11位(わんわん

2位(にゃん

1位(わん

を目指しています!

(2位とか1位は雲のかなたが如き遠さですが)


もし良ければ、後書き上の「勝手に小説ランキング」タブをクリックしてくれると、

作者がもふぅっとします!


どうか、もっふもふでもふもふな世のために!



あぁ、ライオンに抱きつきてぇ、熊とか狼とかも良い。もうよしよしよしよし!って某あの人みたいにしたい。ブラッシングして、お風呂に入れて、日光浴させて、匂い嗅ぎたい。

もっっふぅぅ!!!!

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