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37話 生まれながらにして世界を震撼(世界は踊る4)「家族と変化」

リッチロードは驚いていた。

あの龍皇が、フェンリルが泣いているのだ。

しかし、村人も何かを察したのか、皆無言で自宅に帰る。

リッチロードもドライアドと妖狐に「邪魔をしてはダメ」という目で睨まれる。

アーノルド家にお邪魔させてもらうことにした。


リッチロードは、

「驚きましたよ、龍皇もフェンリル殿も、よく話していましたがあのような寂しさがあったのですね」


イリスが応える。

「親に会いたい、甘えたいというのは他の者では代わりませんから、そこは龍皇様達も一緒なのですね」


「特に彼等は最古に産まれたからね、親は生きているけど、なかなか会えない。しかもあの様子だといきなり自立させられたのかも」

妖狐が言う。


「自立のタイミングや仕方は種族によって違えど、永き時を親がいるのに会いたくても会えないというのは難しいですね。群れで暮らす者達は自立しても親に会えますし」

とドライアド


「いずれにしてもあんな様子を見せられちゃ、そうそう魔物も人間も変わらないのかもなと思わされるよ。子の成長はあっという間か、イリス、ちゃんと成長を見逃さないようにしないとな」

アーノルドが言い、

「えぇ、あなた」

イリスが応える。


「あっ、ちなみに後で言いますが龍皇と私はこの村に滞在しますよ、愛し子の成長を間近で見たいですし」

と爆弾発言をいきなりかますリッチロード。


「あっ、私達も!」

と乗っかる妖狐達。


「やっぱり、そんなことを考えているのではと思っていましたよ。龍皇にだけ乗りたがるとか、意味が分からない」

呆れるリッチロード。


「でも、黙っていてくれたっしょ?」

と妖狐。

「あの場でそんな推測を言ってみなさい、皆が帰らなくなりますよ」


「あぁ、村長に後で自分から伝えておいてくれ」

疲れた様子のアーノルドと、

「そ、それじゃあ妖狐様達に辛い時はまた頼んでも・・・」

と興奮気味のイリス。

「もっちろん!役得役得!ねぇ?」

「えぇ、ですができる限りは本当の親が愛情を与えなくてはなりませんよ?」

と妖狐達。

「もちろんです!私達の子ですもの!でも、寝れないのが続くのがこんなに大変だなんて」

「そうだねぇ、うちの集落だとどうだったかなぁ?」

「私の所は静かですね」

「そりゃ、木々だからね、ある意味」


アーノルド家は少し姦しくなりそうだ。



一方、もう一つの家族は、

『ごめんよ、ほら泣かないで。僕もあの後に少し早かったかなとか、準備期間を設けて少しずつ自立させるべきだったかなと考えたんだよ。僕も育児は未経験だからさ』


「では、今からでも傍にいるがよい」

と涙を流しながら鼻を押し付ける龍皇。


『こらこら大きくなって無理を言わない。でも、今はあの時が正解だったと思えるよ。君達のおかげで、あんなにも魔物も情愛が深い生き物になった。他の神にも自慢できるよ、僕の世界は凄いんだよ、僕の子供が頑張ったんだよって』


「それは寂しかったから」

と同じく鼻を押し付ける青竜。


「我等しか話せないのはつまらない」

と羽で腕を掴むように朱雀。


「だから頑張って初代の群れの長に「祝福と加護」を与え、話せるように教育した」

と座ってもらっている玄武、一生懸命首を伸ばし、腕の服を噛む亀と、背中辺りにくっつく蛇。


『うん、その寂しさが愛情となって彼等に伝わったんだよ、僕が君等にお願いしたことは覚えてる?』


「たくさんの種族を作るから、できる限り絶やさないようにお願い。抽象的過ぎる」

と鼻を押し付ける白虎。


『それしか頼んでないんだよ、なのにあの子達は自分で考え、自分にとって愛しい子が他種族であるからと考え、その種族の血を流させないことを決意した。自分達で考えてね。きっと血が流れれば愛し子が悲しむと考えて。自分の群れで血が流れることが悲しいと思え、他の種族でもきっとそう思うに違いない、と愛情と想像力がなければできない。素晴らしい子達だよ、長だけでないところも素晴らしい。群れの一人一人が考えたのが誇らしいよ。ありがとうね、皆』


「なら褒美があっても良いのではないか?百年くらい構え」

と鼻を押し付けるフェンリル。


主に皆から鼻を押し付けられている神は、

『それができないんだ、君等の頃は創世の頃、多少無茶できたからあぁやって構えたけど。ここまで世界が育つともう僕が来るのは難しい。実はそろそろ世界が悲鳴をあげているんだ。龍皇が威圧感を最大まで出して、ゴブリンの前に行けばゴブリンは死ぬだろう?そんな感じでね。今回みたいな大規模な改変の時じゃないと来れないのさ、夢を通して会うのもギリギリアウトかな』


「ダンジョンなんぞ、そんな幾つも作って世界に影響はないのか?」

と龍皇、甘えながらもちゃんと考えているようだ。


『ないはずがないだろう?むしろ世界に影響がある時だから僕が来れたと言える。幾つかの山は噴火をしなくなるし、雷の多くはしばらく地上に落ちない。その辺のエネルギーを横流しする感じだからね。ただ、それだけで済むともいえる。ダンジョンはたくさんあるから真似したのを大・中・小と作るのさ。ただ、そっくりのを作って、大きさを変えて、魔物用に変えるだけ。世界に影響があり、暮らしは一変するだろうが、そこまでではないね』


「そうか、ではそろそろ行ってしまうのか?」

龍皇が涙ながらに尋ねた


『うん、久々に君等に会えて嬉しかったよ、龍皇、青竜、玄武、朱雀、白虎、フェンリル』

と一匹ずつに愛を込めてハグしていく。


『君達を最初に造って良かった、君達が皆を育ててくれて良かった、君達は永劫を生きれるけれど、どうしてもという時は願えば死ねることも伝えてあったね、僕に会えるとも。でもそうする子はいなかった、どうして?』


「あなたの言うことをできる限り守りたかったのですよ」

と朱雀。


「後は忙しすぎて忘れておったな」

とフェンリル。


「多々種族を作るのも良いが、群れを形成できるくらい一度に造って欲しかった。張り付きで絶滅しないか見守りよ、複数の種族をな」

と龍皇。


「知性を多少つけて産んでください、まだ子供なのに、他種族の大人に喧嘩売るのが普通ですよ?あの時代」

と青竜。


段々と周りから圧迫感が生まれてくる。

『フェ、フェンリル!?褒美が欲しいと言ったね、この子がそうなると思う!皆も!!僕が甘やかせなかった分、この子を甘やかしてあげてくれ。また、成長したら甘やかしてもらうと良い!

次にいつ会えるか分からないけど、また必ず会おう。ちょっと最後にリヴァイアサンのところへも行かなきゃ。皆、これからも優しさを忘れないでね!では、また!!』

と言うが早いか、トールはゆっくりベッドへと寝かされる。


トールはゆっくりと寝息を立てている。


「逃げたな」

「あぁ」

「トールの身体でなければ噛んだものを」

「懐かしいな、甘噛みでないと怒られたの」

「しかし、懐かしかった」

「うむ、親に会うのは嬉しいものよ」

「次は苛めるのはなしにしましょう」


龍皇が締めくくる

「分かっていると思うが、我とリッチロード、ドライアドに妖狐は残る、他に残る者は?」


フェンリルが前足を片足だけ上げる。

「我も残ろう、人間は嘘をつくでな。分かるものがいた方が良いだろう。妖狐もできようが、いまいち迫力がない」


四聖獣は神曰く東西南北を守護するのが我等だから、と。辞退した。


龍皇は予想していたのか、

「そうだろうな、寂しくなったらいつでも来い。また親の愚痴でも言おうぞ、兄弟達よ」

と笑った。


そして四聖獣を見送り、龍皇は居残り組を背中に乗せて、それぞれの群れの場所へと。

長がいなくなる分、長代理を立てさせないといけない。

龍には必要ないが、リッチロードも必要ないが。

なにせ2匹とも洞窟に数十~百年こもっていても特に群れから何か言われたことはない。


しかし、群れで生きる妖狐やフェンリルは一応顔を出すべきだろう。

ドライアドも一応、ここは強さでは決めないが、その分賢さで選ぶので大変かもしれない。


そして、また土産を少しでも袋に入れて持ってこよう。


村長に居残ることを伝えなくては。

あぁ、行く途中でグレン王に一応我等が残ることを伝えておかないと。


それぞれが今後この村に暮らすにあたって必要なことを考えていた。


ちなみに居残ることはなんとなく察せられていたらしく、

村長からは

「グレン王が良ければ」

グレン王からは

「村長が良ければ」

と返事をいただいた。

二人はそっくりな苦笑をしていた。



トールはまだ「ハイハイ」もできない。

自分で歩けもしない。

話せもしない。

しかし、その誕生は確実に世界に変化をもたらした。


何故か投稿できてなかったんですけど!?

思ったより更新止まってたってことじゃん?

せっかくブックマークつけてくれている人も増えてきているのに、読者様ごめんなさい!

次回からもふもふ成分が多くなります!

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