3話 やっぱりここは
お茶は日本茶です、理由はあとで
彼の雰囲気が少し張り詰めたものに変わる。
「お主はここを何処だと考えておる?」
さて、ヒントは出てきていたようだが、実はあまりそれを口にしたくない。
よくある話だとお茶飲んだ時点でアウトだし。
「夢でしょうか?」
「お主、違うと思っているのにそれで答えよるか」
彼は苦笑した。
「それに縋る気持ちも分からんでないが、もうある程度は察しておるのじゃろう?」
目の前の方は「ここに呼んだ」と言っていたのだ。
こんな場所に任意に呼べる存在はそういないだろう。
しかも自分を中学生くらいから知っているという。
そしてそんな存在がいるところは・・・・
「・・・はい。濁してしまい申し訳ありませんでした。いわゆる、あの世でしょうか。」
「ある程度は正解じゃ。」
ある程度?割と自信があったのだが(認めたくなくても)
「ここは神々の休憩所じゃ」
そんなのは選択肢にすら出てこない、意地悪問題だと思う。
顔に出ていたのだろう、彼は笑っていた。
「分かるわけがなかろうという顔じゃな、心を読まんでも分かる。しかし、」
彼は一転真剣な顔つきでこう言った。
「お主が死んでおるということには変わりはない」
お茶を飲んだのは失敗だったかぁ、と先ほどまでの幸せを苦い顔で見る。
「ん?どうした、お茶が欲しいか」
わざわざ注いでくださる。
「いえ、あの世とか別世界で、その世界の物を飲食すると帰れないという話が現代にはありまして。昔の怪談でもそんなのがあった気が。」
「なんじゃそりゃ。あぁ、いやあったかのぅ。どうだったか。とりあえずお茶は飲んでも飲まんでもお主が死に、この世界に呼ばれたのは事実じゃ。」
そうか、お茶よ疑ってすまん。
「どうしてお主が死んだのか、最期を覚えているかの?」
「最期は・・・」
トラックと子供がぶつかりそうになって、そこからノイズが頭を駆け巡る。
「あぁ、良い良い。わしが悪かった。お主にとってある意味トラウマになっているのじゃろうて。さもありなん。お茶を飲みなさい、人間には鎮静作用もあろう。」
ありがたく、2杯目をいただいた。
やっぱり美味い。
これがあれば戦争起きないんじゃね?
なんか多幸感がやばくて、薬物混入を疑うレベル。
「美味そうに飲むのぅ、振舞う側としてはその顔が一番の礼じゃわい」
落ち着いたところを見て、彼はこう切り出した。
「お主はトラックにぶつかりそうになった子を助けようと飛び出し、トラックと子の間に入り、子を抱きしめてクッションになって死んだのじゃ」
「子は助かりましたか」
「一番にそれか、助かったよ。お主のおかげでな」
なかなか悪くない死に様だった。次の一言がなければ。
「そして、それがわし達のミスじゃ。本来、その出番は別の者で、子もその者も奇跡的に助かる予定じゃった。お主は本当は死ななくてもよかったのじゃ」
予想外な場所でした
主人公、この後お茶に逃避しそうになる