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21話 生まれながらにして世界を震撼(村編5)「実は歴史的快挙」

王宮が騒いでいた頃、

肉パーティによる村人と魔物のフィーバーは終えようとしていた。

村人は魔物よりも早く肉を食べ終え(限界量的に)、果実を水に絞り飲んでいたりとまったりし始めていた。いつもは子供に肉を譲ることが多い大人も大満足な食事であった。

魔物はまだ食べている者も多いが、早めに食べ始めた者などはそろそろ食事を切り上げ始めていた。


そんな昼食を終えても、魔物の列はトールのところへ伸びている。

白虎は「『神よ、この子が我の如く鋭き爪と牙を持ち、立ちふさがる全てを切り裂けるように』」

玄武は「『神よ、この子が我の如くあらゆる辛苦に耐えられますように』」

朱雀は「『神よ、この子が我の如く生命力に満ち溢れますように』」

青竜は「『神よ、この子が我の如くあらゆるものを見通し、空の祝福を受けますように』」

まだ記憶どころか自我すらない主人公のトールが起きていたら、日本や中国で有名な四神まで作ったのか、と呆れ2割、尊敬8割で神を称えただろう。

色々な長が「我の如く」という「祝福と加護」の与え方は良いな、と学んでいたというのは余談である。


ちなみに青竜は蛇の如き容姿で、くねりながら空を行くが、翼がない。

龍の皇は四肢をどっしりと構え、胴体もがっしりとしていて翼がある。

龍皇も四神もともに、昔からの仲であるらしい。

四神は眷属を持たないで自由に暮らしているという。

まがりなりにも龍族の長であり、調停者という役割がある、ぐーたら龍皇が彼等に嫉妬しているのは有名な話。

曰く「仕事に誇りがないわけではないが、世界の最初期に作られた者でいえば奴等でも調停者は良かろう」とのこと。


「祝福と加護」を与え終えた四神はさっきよりも昼食の余韻に浸っているために散らばっている子供等にも「祝福と加護」を与えている。

弱い「祝福と加護」は意外と広く一辺に与えられるようだ。


そうしている内に大人達が立ち上がり始めた。

「そろそろ仕事するべな」

「そうだな、ゆっくりしちまったよ」

「まぁ、今日はできる限りで頑張るか」

「肉美味かったなぁ」

「なぁ、あんなに肉食ったの初めてだ」

「なんの肉か分からなかったが美味かったわ」


そこで村長が皆を鼓舞するべく大声で告げた。

「夜も肉を食べるでな、たくさん働いてお腹を減らせとけ、今日は酒も飲むが良い!」


子供より大人達からの歓声が響いた。

酒が飲めて、肉がある。

果実もある。

もちろん各家庭から持ち寄れば、野菜もある。

もはや祭りだ。

肉祭りパート2である。


男達は斧を持つ者、

集められた木材のところへ行く者、

大体2種類に分けられた。


女達は夜のご飯の支度をする者(主に肉を切る、野菜を集める)

織物をする者

細工物を作る者

などに分かれた。


また、家畜の世話をする者や、麦の世話をする者達もいる。


しかし、ここで歴史的な快挙がまた一つ生まれる。

「オーガさんは牛一頭、持ち上げて喰うなぞ凄い力持ちだなぁ。やっぱり木とか切るのも楽勝なのかい」

食べた後の気安さで、オーガの長に気楽に声をかける者がいた。


ゴブリンや狼などは身近な恐怖であったが、

オーガに襲われたことがない村であった。

そのため、顔は怖いが子供の願いも汲み取る優しい鬼さん扱いだ。


「木を切ることなどあまり我はないが、やればお主等よりも楽だろう。どれ、やってみるか」

意外と乗り気なオーガさん


「では我も」

何故か着いてくるゴブリンの長。


オーガの長は自分の背丈もあるような石の剣を持ち上げた。

刃先のようなものは見てとれる、切れ味は確かにあるだろう。ただ、切れ味などよりその重さで薙ぐのがその剣の仕事であるのが見て取れた。

ゴブリンの長も大剣を持っていた。こちらは冒険者が落とした物だろう。中々の逸品であることが分かるが、こちらも切るよりは薙ぐ方に向いている。


オーガの長が大きい声で男衆に告げた。

「人間の雄等よ、森に入るなよ、木がどこに向かうか分からないのでな。ゴブリンの長はもう少し向こうで試してみよ」


「体躯では負けるが、木を切る数では負けんぞ、オーガの長殿」

ゴブリンの長が笑う。


一瞬の静けさが辺りに漂う。

「「ぉぉぉぉおおおおおおあああああああ!!」」

二匹の鬼が同時に密集している木々に剣を薙ぐ。


・・・ドーンと倒れる音がしてから、メキメキと亀裂が入り、またドーンと倒れる音がする。

一撃で亀裂も許さず倒した木、先がかすり亀裂が入り、倒れた木。

そして、せめてもっと優しく倒せと怒るドライアドの顔。

人間達が静寂から歓声をあげるまでそう時間はかからなかった。


長達は顔を見合わせて、

「しまった、これではどちらがどれだけ倒したか分からん」

と呟いていた。


青年がリッチロードへオーガ達に仕事を手伝ってもらって良いか、許可を取りに行くのは確定した。

ちなみにリッチロードは「長達が良いと言えば良いですよ。ただ、加減が分からないでしょうから指示は的確に」と返事をしていた。


ここに魔物が人間の仕事を自発的に手伝うという快挙が生まれた。


そんなオーガの長達が皆に褒め称えられくすぐったそうにしていた頃、トールのところに珍客が現れた。

なんとドワーフである。

亜人と呼ばれる彼等の長が来た。


龍皇もこれには驚いた。

「お主達は魔物だったのか!??」


ドワーフの長も首を傾げていた。

「わし等も自分達は獣人みたいに半々か、あるいは人間寄りかと思っていたがの。愛し子に会わずにおられなんだ。魔物なのかのぉ、獣人は来ておらんようだしの。そわそわしとるようだが、来るほどではないみたいじゃったわい。エルフも来ておるぞ」


創世の時期にはいたと言われている龍皇も驚きの真実だった。


ドワーフの長は「『神よ、この子の手先が器用になりますよう、万物を生み出すことのできる器用さを』」

エルフの長は「『神よ、この子が弓を持つとき全てを見抜き射抜く力を』」

と「祝福と加護」を与えていた。

エルフの長は最初、魔力をと思っていたが、最初の方でリッチロードが与えていたので変更したようだ。


さて、何故木を男等は切っていたのか。

それは地震で家屋が壊れたからだ。

そこに現れたドワーフの長。

ここにドワーフ無双が始まる。


そして、龍皇が地面から空の彼方で全力で走る飛竜部隊の一人を見つける。

飛竜部隊はワイバーンに騎乗している。

ワイバーンは龍の眷属だ。

一生懸命、思念の伝達により

「頭上を通ること、本当に申し訳ありません。主人が急いでいて、本当にごめんなさい」

と平謝りしながら空を通っていった。

・・・なんぞ急ぎの配達でもあるのかの。

書けた!!

もふもふ成分より、鬼成分がびっくり多いよ!

なんでだ。。

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