10話 身辺整理
「さて、他に質問はあるかな?要望でも良いよ」
「要望まで良いのですか?転生させていただけるだけでもありがたいのですが」
「そりゃ、君はある意味同志だからね。自分もあの世界ならあれやりたい、これやりたいがあるのは分かるよ。僕もあの世界で暮らしてみたいし、冒険したいし!」
流石に唯一神だと漫画読みながら、ゲームやりながらでもやらなきゃいけないことが多くて、星の中で生活はできないらしい。
(好きなゲームは牧場を耕すゲームらしい。根本的に作るのが好きなんだろう)
どうも他の星でも似てるけど微妙に違う星を作っていて、違いを楽しんだりもしているからなおさらとのこと。
「では、人間はジョブとかありますか?」
「もちろん☆」(にやりっ)
「でしたら、テイマーにしてくれませんか!!??」
「あぁ、テイマーねぇ。良いよねぇ。夢がある、分かってるね!うん!でもねぇ・・・」
「でも?」
「不遇職なんだよね」
「強い魔物を従えるのが難しいとかですか?」
「いや、そもそも魔物を従えるのが難しい」
なにそれ、ジョブにかこつけたイジメ?
「いや、魔物の立場になってごらんよ。数十人とかにボコられたあと、テイマーがしゃしゃりでてきてぼろぼろなタイミングで従えさせるとか、意味分からないでしょ?」
確かに。
「だからね、あの世界ではあまり知られてないけどテイマーは魔物に認められないといけないんだ。心意気とかずばり強さとか。一対一で戦って勝って強さを認められたり、怪我を治療してあげたりとか。だからテイマーは魔物以外の家畜の世話とかして、認められてテイムして、農家やっていることが多いよ。」
確かに農家向きではある。
「魔物をテイムしている人は珍しいし、大体は偶然薬を塗ってあげたらなったとかが多いな。」
あぁ~なるほど~。
「しかもその話聞いて、他の冒険者に傷をつけさせてから薬塗るとか一時流行ったのには失笑した。」
え、なにそのやり方、最低じゃないか。
「大丈夫、その苛められていた子の同胞達に知らせてあげて、馬鹿は全滅させたから」
ぐっじょぶ!!
でしょ~?
目で通じ合う。
「一対一で戦うことがあっても、ステータスが低めのテイマーはなかなか厳しいし。大体仕組みを知らないからテイムできるのに殺しちゃったりするんだよね。もう勝つというところで剣をしまうと殺す気がない=負けたのに助けてくれたとテイムさせてくれるんだけど。なかなかそういう状況は知らないとできないからねぇ。自分ならどんな人に仕えたいか考えればテイムいけるべ、と思ったんだけど。ここまで不遇職になるとは思わなかった」
「でもテイマーは必須ジョブですよね、世界観的に」
「必須だね。ないとか考えられない」
でも君がなぁ、一対一で魔物を倒す?傷つけるのすらためらうでしょ
はい、たぶん
「あぁ!ならテイマーの最上級職にしてあげよう!」
「最上級とかあるんですか」
「まぁ、あの世界で生まれ育てば自然に学ぶけど、ジョブは進化するんだ。進化条件は様々だけどね。すっごい分かりやすいのが王子→王とか」
すっごい分かりやすい!
「テイマーの最上級職とか初めてだよ、どうなるんだろう!楽しみだ!!」
「えっと、どのくらい凄いんですか?」
「まぁ初めてだからね絶対ってわけじゃないけど、凄いテイムしやすくはなるよね。もふもふさせてくらいだったら、魔物も家畜も断らないんじゃないかな。絶対テイムできるわけではないけど、お願いくらいでテイムさせてくれるのもいるレベルじゃないかなぁ?たぶん、君の願うくらいのもふもふはできるよ。後は凄い好かれやすくなるよね、人間は含まないけど。」
「もう、それで確定で」
「しかも、最上級職だけあって剣とか魔法とかの伸びもある程度はあるよ!普通のテイマーは動物とかに好かれやすい代わりに伸びが遅いんだけどね」
魔法使いたいでしょ?
もちろんです、心よりの感謝をあなたに
心が通じ合う
「話がまとまってきたかの?」
「うん、こっちの世界で転生で決まりだね。後は身辺整理させてあげてほしいくらいかな」
「色々骨を折ってくださったのに、氏神様達のところではなくこちらを選びましたこと申し訳ありません。選択させてくださったこと本当にありがとうございます。心からの願いだったものを叶えて、魂も磨いてまいります」
「良い、お主が納得できたのならそれでな。向こうでも強く生きよ。向こうは地球より努力が反映されやすいらしいからの。体力はつけなされ。」
体力と運のなさが死因の一つだからですね。
「さて、僕は向こうで待ってるよ、ゆっくり身辺整理をしておいで」
イネガル様はしゅっと消えた。
「さて行こうかの」
1:家族の夢枕に立ち、各々に死んだことに後悔してないこと。どうせ死ねば会えるのだから笑って生きていてほしいこと、神様や仏様に良くしていただいたので毎日家族皆がお礼を述べてほしいこと(信仰心上げておいてほしい)、部屋の戸棚には隠し扉があるから、絶対に明けずに捨てること。パソコンも写真のフォルダとかはいじっても良いけど、他は触らずに、データを初期化、パソコンの物理的破壊をすることなどをお願い。
2:修行中の先祖達に会い、挨拶など。子孫に会えて嬉し泣きをしてくれた人がいた。若くして死んでいるのは良いのか。祖父母からは早く死んだことを怒られそうになったが、神様が説明して止めてくれた。
自分は納得していることを告げると、それならばと引き下がってくれたので助かった。
頑張って魂を磨いてほしいことを伝える。
3:仏様達にもお礼と先祖に少しゆっくりペースの修行にしてあげてほしいことを伝える。早めの修行は人間からすると大きな罰を犯したものがうけるコースに等しいと、人間目線を伝える。分かってくれたら嬉しい。
4:唯一神達にもお礼を言いたいと告げると稲荷様達が行ってくれることになった。ありがとうございます。
5:昔飼っていたペット達に会う。ここが一番時間長かった。神様に最後は追い出された。
「さて、これで心残りは大分減ったかね?」
「充分です、本当に本当にありがとうございました。主神様方にもお伝えください。あの神社によくお参りに行って良かったと。皆さんのことがより好きになりましたと、夢を叶えるチャンスをくださりありがとうございましたと!!」
「本当に許されないミスであったが、生の信仰心の高い氏子とこんなに話せたことはわしも嬉しなんだ、お主も本来なら叶わない夢を叶えられるようじゃしの、神ではなく世界が導いたかのようじゃ」
いや、いかんいかん。ミスであることを一時たりとも忘れてはならん。
真面目に頭を振って考えを追い出そうとしている神様を見て、
「案外そうかもしれません、どうか主神様はじめ皆様そんなに思いつめないでください。ミスですから次に起きないようにするのは必要ですが、こと私にいたっては皆様のお気遣いによって満足しているのですから」
「お主は本当に・・・」
きっと、もっと怒るべきだと言いたいのだろうが、微笑んでいた。
「では、あちらの神様のもとに行きたいと思います。送ってくださいますか?」
「もちろんじゃ、最後に」
手を差し出してくれた
握手を交わし、
「ありがとうございました、働きすぎず、かつ皆の願いを叶えてあげてください」
「無理難題を言うでない、お主も達者でな。お主の姿をあの境内で見れなくなるのは寂しいと皆が言っておったよ。向こうで寿命を迎えたら、また絶対来るようにの。次は謝罪なんかしみったれたものではなく、宴会を開こうぞ。飲み会嫌いのお主でも神の宴会は気に入ると思うぞ」
「必ず、来ます。元気で」
なんだか涙が出てきた、この世界への名残か、彼への感謝か
「元気で」
音も無く、周りの障子などが消え、さっきより暗めの空間についた。
「待ってたよ、松田君」




