軍制改革への布石
遠江 浜松城
信勝は昌幸を呼び、「軍制を改めたい。
武田、徳川、織田勢を見てどう感じた」
昌幸は頷き、「なるほど、織田勢が進んでいます」
「儂は昌幸に昌月を口説いている際、武田と織田の違いを分析してみた。
源三郎や源二郎とな。
兵農分離と経済力を背景に織田勢は強くなった。
火縄銃を揃えたことも大きい。
近江の国友などを得たこともありだろう。
我々が田植えや収穫にせいを出している最中に織田は関係なく、軍を派遣出来るようにしている。
兵農分離のおかげで兵の質も高い。
祖父信玄は火縄銃を揃えようとした。
高価ゆえ、揃えられず、火縄銃を時間をかけて単発で撃つよりは、騎馬を揃え、機動力による破壊力で補うことを考えたが、その結果があの長篠で潰えた。
常に千変万化しているのだ。
祖父信玄の軍制は、古い物になってしまった。
用兵も時代の変化で変わらざるを得ない。
武田、徳川、織田の軍制の良い悪い点はある。
効率の良い軍制を編み出して貰いたい。
正直、儂の手に余る」
昌幸は思案して、「数正殿や信包殿らに尋ねてみましょう。」
信勝「頼む、まだ柴田と戦う時間までには完成しないだろう。
羽柴と戦う頃には」
昌幸は信勝に挨拶して離れて行った。
信勝は密かに、雇った剣豪の親子を呼んだ。
「お呼びでしょうか、信勝さま」
「お主らの力を借りる、兵農分離を我々が行なう上で登用したのだ、宗矩」
「承知した、信勝さま、領地の件よろしくお願いいたす」
信勝は頷き、「よろしく頼む」
武田勢を精鋭化するため、信勝は多数の剣豪を招き、農家の次男、三男を鍛える。
火縄銃を増産し、兵の質を上げる。
このことが、飛躍的に武田勢の力を増すことになった。




