表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/44

八陣図と幽斎の思惑

遠江 浜松城



信勝は二人の妻に迫られていた。

茶々「殿、何故、私共、二人を避けていらっしゃるのですか。」


信勝「避けているわけではない。

織田と戦う準備をしているのだ。

優位に立つためのな。」


督「ですが、ほぼ勝てるのでは」


信勝「絶対ではない、戦略的に優位に立っただけよ。

良いか、この戦いに勝てば、天下への道は近づくが、負ければ、滅びる。

そうならないためにな。

覚悟は決めておけよ。

茶々に督、一緒に過ごせるのは、天下人になった時だ、私が」


茶々「その日をお待ちしております。

ですが、今日は私共との食事を共にお取り下さい、気分転換を図るのも大事、如何でしょうか」


信勝は頷き、二人を促して奥に下がって行った。



信勝の机にある書類と地図がこぼれ落ちた。



その書類は、織田と戦う準備とその会戦、地形を現したものであった。



”関ヶ原”の地図、織田領の兵糧の買い占め。

松尾山、南宮山に砦を築く。

明より取り寄せた八陣図と、八陣図の作成。



これらを使用するのは、まだ先の話だった。



越前 北ノ庄城



織田家の主席家老の柴田修理介勝家の居城で、織田家の三男、信孝と勝家、細川幽斎らは話をしていた。


信孝「伊勢、美濃の殆どが、武田の手に落ちたか、大丈夫か、勝家」


勝家「信孝様、今度は某が出ます故、心配なさいますな、勝入に左近将監もおります。」


信孝は頷き、「武田を討てるだけの兵力はある」


細川幽斎が「兵糧の準備をせねばなりますまい。

上杉が越中に侵攻しているので、前田、佐々の参戦は無理。

羽柴は長宗我部、怪しい動きをし始めた毛利を抑えているため」


上杉の侵攻が武田と示し合わせての侵攻と分かっているので、勝家は「又左衛門、蔵之助は致し方あるまいが、猿の援護はいらぬ。

儂が直々に武田を潰してやる、その前に上杉を」


幽斎は「では」


勝家は越中への援護に向かう決断をし、準備をするため、軍議は終わった。

しかし、幽斎は一人沈思黙考し、妙な不安を覚えていた。


『簡単に武田を滅ぼすのは難しいのに、まだ、前の武田と同じと思っての発言だとしたら

かなり危ない。

武田と徳川は野戦では無類の強さだ。

長篠の合戦での教訓もある。』


息子の忠興がやってきたのに気付き、座るように促した。


「父上、如何でしたか?」


溜息をついた幽斎は「危ないのう。

武田は容易ならざる相手よ。

忠興、御主は僅かな期間であそこまでは大国になると想像出来たか?」


「無理です、想像出来ません。

武田は戦闘、調略、外交も見事というしかありませぬ。

下手したら、織田家は」


「生き残りを考えて動くことにする。

儂らは、上手くやればな」


幽斎は自身の持つ能力を生かして、生き残ることに決め、忠興と共に丹後に帰って行った。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ