慶次郎の献策と能力
遠江 浜松城
お市と会う前日、信勝は前田慶次郎と碁を打っていた。
慶次郎「信勝様、今後はどのように動くおつもりですか。
6カ国の太守で終わるつもりはないとお見受けしますが」
パチッ
信勝「そうだな、慶次郎、御主が私の立場ならどう動く。」
パチッ
慶次郎「政略的にはお市様の娘との婚姻。
後は軍事、まず、尾張と伊勢、美濃の国境に兵力を集中。
外交で上杉景勝殿に越中の佐々成政を攻めるようにします。
志摩の九鬼嘉隆殿の誘降。
我々は飛騨の金森長近殿を攻める。
飛騨を取り、美濃の背後を脅かし、先年、信長殿から謀反の罪に問われ、西美濃にいる安藤守就殿を調略。
上手くいけば、池田恒興殿は岐阜城に孤立することが可能かと」
パチッ
信勝「フム、面白い、私はここで内政を行ないながらやってみるとしよう、おや、私の負けのようだ」
慶次郎は、笑っていた。
信勝はゆっくり立ち上がり、部屋へ戻るやいなや、昌幸を呼んだ。
昌幸「如何なさいました」
信勝は慶次郎との話をした。
昌幸「なかなか、面白いかと、誰にお命じになられますか」
信勝「献策した人間にな、あの男は、自身の能力を持て余しているのだ、器量が大きすぎるあまり、召し抱えた人間はなかなか使いこなせない。
才能は私や昌幸を凌ぐ、本人がそれに気づいてないのだ。
責任ある地位に就かせ、一国を任せる。
逃げることが出来ぬ、だがあれは、上手く立ち回るだろう。」
昌幸は慶次郎と始めて会った時のことを思い出していた。
しばらくして信勝は慶次郎を呼び、飛騨攻めの総大将に、副将には真田信繁、可児才蔵を任命し、飛騨に押し寄せることになる。




