表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/44

お市様の決断と秀吉の悩み

三河 岡崎城



信勝は軍を退いて帰ってきた。

論功行賞を行なった。

尾張に酒井忠次を総司令官に、幕下には依田信審、榊原康政、井伊直政らを置いて美濃、伊勢からの織田の侵入に備えた。

三河は言うまでもなく島左近に一任した。

駿河には石川数正、真田信之、岡部正綱らを置いた。

遠江、掛川城には本多重次を。


南信濃には保科正俊、高坂信達

北信濃には高坂昌元、真田信尹

上野には内藤昌月、安中景繁らを

他の家臣や忍び達にも恩賞を与えられた。


その後は、清洲城を落としたことで多くの織田一族を捕らえたため、信勝は昌幸と彼らのことで相談した。


信勝「老若男女達はまあ、浜松に送り、とりあえずは監視をつけて、生活して貰う、傷つけるつもりはない。

根切りはせぬ。」


昌幸は頷き、「あの信長の血筋、次なる天下人を狙う人間にはどうしても欲しい。

神輿として立てやすい。」


昌幸「お市殿や三人の娘を手に入れた理由は」

信勝 「静かに生きて欲しい、権利争いから離れてな。下手したら多くの血が流れる。」


信勝は彼女達の中に流れる血が厄介なものとして捉えていた。

信長の家臣達にとっては重要だが、自身にとっては、荷物になりかねない。

下手に手をつけないようにしなければならなかった。

最も、信長の妹であるお市から何か言ってくるのに時間はかからなかった。



遠江 浜松城



お市は信勝と面会した。

これがこれからの歴史を変えることになる。


お市「この度、我々への温情はありがたく」


信勝は頷き、「お市殿、貴女は自身に流れる血筋をどのように思っているのか、聴きたいのだが、私はあのまま、我々が捕らえなかったら、織田家臣同士の権力争いに巻き込まれ、散々利用され、どのように遇されかは分からない。

貴女が三人の娘も同じ目に遭う。

おそらく、権力争いに勝った者が貴女を手に入れるだろう。

三人の娘はその道具になる。

使い勝手が良いし、都合がよい。

政略結婚の道具だな。


柴田か羽柴が挙がるだろうということは想像がつく。

だが、貴女はまず迷うことなく、柴田を選ぶ。

なぜなら、羽柴に浅井の万福丸殿を惨殺されているからだ。

羽柴を憎みきっているから」


お市は顔色を変えた。

「信勝殿は私や三人の娘を利用しますか?」


信勝「私としては、権力から離れて、静かに生きて欲しいが、無理だろう。」


お市「織田家の血筋である以上、権力から離れるのは難しいでしょう。

私としては力がある者が、兄の理想を受け継ぎ、天下を取って欲しい。

それが、誰であろうと。

信勝殿、貴方がもし新しい天下人になるのであれば、私の娘を利用するのではなく、娘を妻に迎え、新しい天下人の後継者を産み育てるようになさいませ。」



信勝「私に天下を狙えというのかな」



お市「貴方なら狙えます、信勝殿、この短期間で兄、徳川三河守、明智日向守など亡くなり、その隙に乗じて、貴方は北條氏を追い詰め、武田の旧領を取り返し、徳川氏を降伏させ、日も浅いうちに尾張を奪取した。」



信勝「確かに、狙えるが、難しい。

勢いでここまで来たのでな。

勢いはいずれ止まる。

領地を維持せねばならないし、統治方法を考えていかねばな。

だが、貴女の言う通り、貴女の娘を正室に迎える、か。

織田家臣達には衝撃を与えることになるだろうな。

考えさせて貰おう。」



お市「早い返事をお待ち申し上げております、娘を説得せねばなりませぬ故」



信勝は笑って、部屋から離れて行った。



信勝『流石に信長の妹だ、私を利用して、天下人の血筋の確保か、まあ、妥当だが、やはり、舞台から降りてもらうより、監視せねばなるまい。

放っておくと、あの影響力は危険だ。

どんな人物が彼女を利用するかわからぬからな』

と信勝は思わざるを得なかった。



一方、長浜での会議は拗れに拗れ、信雄の失敗と尾張の織田一族が武田に捕らえられ、浜松に連れて行かれたことを知り、軍を派遣しようとする柴田に、様子を見て武田との交渉する羽柴とで対立することになった。



近江 長浜城



羽柴秀吉は憂悶の表情を浮かべていた。

明智を討って、織田家家中の主導権を握り、

簒奪し、天下を握るという考えを持っていた。

軍師の黒田官兵衛が信長の死を天運が転んできたと言っていたが、武田信勝の復活と彼の謀略、調略、電光石火の攻めに主導権を握る筈が、信勝に主導権を握られてしまっていた。

しかも、織田信雄の尾張失陥により、お市様を奪われたことも大きかった。


秀吉「どうしたものかな、天下を得る予定の筈が、盤面をひっくり返された気分だ。

信勝殿がこれほどの人物とは思わなかった。

僅かな期間で、旧領に徳川領を取り込み、

尾張を得おった。

官兵衛の考えを読み取ったかのような動きだが、どうだ」


黒田官兵衛「恐らく読み取ったのでしょう。

信勝殿の元にも軍師がついているようで」


蜂須賀正勝「誰だ」


秀吉「信玄が我が両目と評した、真田安房守昌幸。

これはまた、厄介だ。

勝てるか、官兵衛」


官兵衛「武田が次にどのように動くか調べる必要がありましょう」


武田信勝らの動きを探る忍びを放つが、かなりの犠牲を出し、後手を踏むことになった。


官兵衛「かなり、厄介な防諜を、情報は得にくいか、儂が信勝らの動きを読まねば、織田の領地は武田に蚕食される」


やりにくい強敵の出現に官兵衛は武田との戦いを決意せざるを得なかった。



そんな中、長浜城に、信勝の動きを知って秀吉が驚愕することになる。



秀吉「やってくれる、信勝殿とお市様の娘がな、名実とも織田家継承を得るようにした。

お市様の発案とは。

厄介なことを、まあ、よい、本当にこれだけかな」


官兵衛「まだ仕掛けがあると」


秀吉「わからん、不安があるがな」


その不安は的中することになる



武田信勝の外交と尾張への兵力を集中により、隙を、付け込まれることになる。


飛騨への侵入が始まることになる。
































評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ