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逆桶狭間

尾張 清洲城



織田信雄は徳川家が武田信勝に降ったことを知り、先手を打って三河を攻めようと考えた。

成功すれば、織田家相続は自分自身になり、

他の宿老も認めるだろうという、期待感を持ってのものだった。

信勝の家臣、津川義冬、滝川雄利などは単独での三河攻めを反対した。


信雄「信勝が三河を抑えて、日が浅い、準備が整わないうちに攻める」


雄利「なりません、こちらは上様や信忠様が亡くなり、人心が乱れておりますれば、軽挙な振る舞いをなされば、尾張を失いかねませぬ、ご再考を」


義冬「雄利殿と同じ考えでござれば」


信雄「儂一人でも兵を指揮して向かう」


雄利はすぐにお市に面会を求めた。


市「信雄殿が三河へ、馬鹿なことを、今は攻める時ではありませぬ。

人心が乱れているし、家臣を統括できる者を立てねば、織田家は滅亡しかねぬ。

長浜で会議をしているのであろう。」


雄利はかぶりふり、「結論がまだ、それに信勝殿が織田家相続を発表したことで混乱をしておりますれば」


市「なるほど、信勝殿の思惑は混乱を長引かせ、戦力充実と回復を考えている。

彼が相続の候補として認めたら、兄の娘を嫁がせている、蒲生や前田なども当てはまる。

猿の養子の秀勝も、まあ私が認めるつもりはないが

混乱に次ぐ混乱。

とにかく、今、動けば、信雄殿は破滅する、

引き止めなされ」


雄利は市の元を下り、誰もいない部屋で市は溜息をついた。


『兄の天下は兄の死で終わったのだ。

力ある者が、天下を取ればよい。

私は如何に動くべきだろうか、今、主導権を握ろうとしているのは・・・』


市の信雄、引き止めは失敗に終わり、三日ほど大人しくし、落ち着いたかと家臣達は思ったが、信雄は抜け駆けして矢作川河畔まで進軍していた。


義冬と雄利が知ったのは、信雄が矢作川に着いた頃だった。


義冬、雄利は、慌てて追いかけた。

全軍を出撃したことで城の守備が手薄となり、武田、徳川勢の別働隊が侵入してくるのは無理からぬことだった。


三河 矢作川



信雄の軍は渡り終えて、陣を張り、出方を見守り、明朝、岡崎へ向かうことにした。


信勝「兵法を知らぬのか。遠征時の夜討ちには注意しないとならないのに、まあよい、

逆桶狭間にしてやろう」


昌幸「油断している、徳川と武田が合力するとは思ってないのでしょう」


信勝「誰とて、短期間では無理、時間をかけるしかないと思うであろう。」


数正「時間をおかずに、攻めてくれたことで」


信勝「人心を集約しやすくなったが、織田家を倒した後、考えなければならない。

それに離間の策を弄する者もいるだろう。

誰とは言わぬがな」


忠世、重次らも頷いた。


昌幸「ここには来てないのが、楽ではありますな、あの軍師が」


信勝は笑みを浮かべた。




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