忠次の説得
三河 岡崎城
忠次が「のう、作左衛門、儂はまだ、あのことを後悔しておる。
もし、あの方が、生きておれば、この場で指図したであろう。」
四人の顔色が変わった。
あの方とは誰のことか悟ったからだ。
忠次「儂の力不足が招いた結果が、この様じゃ。
だが、その後悔を晴らしたい、あの方の仇とも言える織田家も混乱しておる。
儂は宿敵とも言える武田家と組んででも織田家相手に戦うべきじゃと思う。
あの時は勝てないから、何も言えなかった。だが、今は状況が変わった」
重次「じゃが、勝てるのか」
忠次「織田に恨みを持つのは何も当家だけではあるまい。」
数正「第一次、第二次の織田包囲網があって、第三次がない訳ではない。
北陸の上杉、東海の武田、徳川の連合、四国の長宗我部、中国の毛利。」
重次「武田と組むのは、やはり反対じゃ。
武田には多くの者が討たれておる。
納得しないだろう」
数正「それを言うなら武田も同じよ。
山県、馬場など設楽が原でやられている。
殿を暗殺したと言うが、信勝殿の父、勝頼殿を滅ぼしたのは、当家も加担しておる。
穴山梅雪を調略した件もな」
重次は天を仰ぎ、感情を露わにするのを止め「くそ、賛成してやる、早々、数正、武田と交渉せよ。
だが、今川の時のような屈辱は御免じゃ。」
数正は「分かっている。
それだけはさせぬ。」
数正は先の今川のような状況になることを覚悟したが、杞憂に終わることになる。




