徳川家の悩み
三河 岡崎城
石川数正、酒井忠次、大久保忠世は家康の二人の奥方に面会した。
数正「お万の方様、今の徳川家は危険な状況になりました。」
お万の方「殿に信長公まで亡くなり、武田勢が迫っているとか」
忠次「戦おうていっても戦える状況ではないのです。」
お愛の方「殿の後継者を選定しなかったことが、やはり、我々徳川家の弱点になってしまった」
お万の方「武田に降るとして、我々を受け入れてくれるでしょうか?」
忠世「御二方はご存知ないかもしれませぬが、殿は一度、滅びた武田の旧臣達を織田家より匿い、命を助けております。
彼らに接触し、信勝殿と面会し、交渉しようと考えておりますれば」
お万の方「分かりました。
そうなれば、私たちも考えねばなりませんか。」
数正「はい、それと」
お万の方は頷き、「これも、戦国の世の倣い、酷いことですが、致し方ありません」
武田の人質として、出されることを覚悟した。
お愛の方「督姫の北條への縁組は取り消し、
武田信勝殿に嫁がせるようにしましょう。
信勝殿はまだ、独身とか、打てる手は打ちましょう、ただ本多殿は」
数正「納得しないでしょう。
今、ここに呼び、説得するしかありませぬ。
重次殿は頑固者ゆえ」
重次の説得は難しいと五人は考えざるを得なかった。




