人材の復帰と上野の国造り
上野 岩櫃城
連日、武田の旧臣達が訪れてきた。
特に上杉、徳川家で匿われた家臣達が訪ねてきた時、信勝は喜びを露わにしていた。
信勝は早速、軍師に真田安房守昌幸を。
軍目付に曽根昌世。
諜報には風魔小太郎。
副将に内藤昌月を充てた。
依田信審、横田尹松、岡部正綱、保科正直、初鹿野昌次、加津野信尹には一軍を指揮させるようにした。
経験のある者を充てたが、かつての四天王の子弟達に軍を任せるには経験不足は否めなかった。
昌幸は育成から始めざるを得ず、経験のある者達の副将として充てることにした。
内政には小幡信貞、思い切って信勝は、大蔵長安を抜擢し、古いやり方に囚われず、新しいやり方で国を富ませることにした。
長安は作事、鉱山開発、経理に優れていたため、信貞は彼らと相談して、ある事を決めた。
上野で作られている、生糸を生かし、上方や西方で生糸を売り、資金を得て、火縄銃を得て軍事力を強化する。
これを聴いた長安は「どのような物かによりますが、良ければ、思惑通りとなりましょう」
今まで通りの武田の軍法では、軍事力の強化は図れないと信勝は感じたからだ。
そこで小太郎、昌幸、長安らと図り、風魔や真田の忍びから商人になって貰い、上方、堺、西方に店を作り、そこで火縄銃を得るようにした。
信勝「店の名前は上州屋でよかろう。
義祖父には分かるだろうけど」
昌幸「火縄銃は得れる可能性がありますが、硝石などは如何しますか?」
長安「中国地方の雄、毛利では厠の裏の土を利用したら取れるという話を聞いたことがあるので、村々で土を貰い、醸成しては如何ですか?」
信勝は賛成し、硝石醸成を図ることになる。
そんな中、小太郎の手の者から、安土で信長の西征と信忠の東征の準備が行われつつあるとの報が入り、6月には出発するとあった。
信勝は覚悟を決めて、織田との戦いを決断したが、この時、ある人物が謀反し、天下が混乱することになるとは思いもしなかった。
信勝もその渦中に巻き込まれることになる。




