表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

緑ヶ丘高等部2年B組〜序章

作者: もえちう

容姿はそれぞれ。

だから気にしたことなんかない。


なんだっていいでしょ?


そんな私も

いつか気にする日がくるのかな

綺麗になりたいなんて。

長身が嫌だなんて。


バカバカしい。

私は私。

他の誰でもないし、誰にもなれない。

つまらない世の中に

一体なにを求めて今日を生きているんだろう。


私はいつも

ただ自由だった






的場 遥

小学部から大学部まで成り立つここは

緑ヶ丘高等部 2年B組の教室

窓側一番後ろの席。

窓から見える桜の木は、もうすぐ枯れてしまう花をつけている。

教室を出て突き当たりまで歩くと、階段を下った。

別になにかあるわけではないが、1人で過ごしたい時がある。

全寮制のこの学園は、校舎も寮もやけに眩しく明るいのだ。そして友人たちも。


カタン、と小さな物音がした。

遥は踊り場で立ち止まり、来た道、つまり階段を見上げた。


「………」


遥は黙ったままそれを見つめた。

驚くでもなく、恐怖でもなく、

ただそれを見上げていた


「えっと。」


それは気まずそうに笑った


「……普通騒がん?その方がスリルあるのになぁ。」



小さな

いや、正確には小柄なそれが遥を見つめて笑っていた



「べつに。珍しくもなんともないし。」


遥はまた前を向いて歩き出そうとした。


「えっ、ちょっ」


小柄なそれは、遥に歩み寄ろうとした。


「はるかちゃーん」


廊下で遥を呼ぶ声がした



「遥ちゃん、また中庭に行くのー?」


廊下からひょこっと顔を出したのは深山琥珀

遥の友人の1人で、綺麗な顔立ち

やや濃いめのメイクだが、けっして下品ではなく

彼女の顔立ちをより一層際立たせていた

そして小柄なそれと鉢合わせた瞬間、琥珀は彼の腕を掴み上げ背負い投げた


はずだった。


「おっと!あぶねー!」


それは琥珀に捕まれ宙に投げ出されると、空中で一回転して綺麗に着地した

ここで初めて遥の表情が変わる



「…驚いた。琥珀ちゃんに倒されないなんて。牙以外にもいたんだね。」


遥は琥珀の元に駆け寄った


「何者!?」


琥珀は身構えた。


「普通いきなり掴みかかるか?」


それは嬉しそうに笑った


「ここの生徒は全員顔見知り。つまりあんたは外部者。怪しいでしょどうみても!」


「え?どこが?怪しくなんかないっしょ。まぁいいけどさ。綺麗なお嬢さん方。俺はのぼる。坂井のぼるや。以後お見知りおきを。

まぁ俺としてはどっちかっていうと可愛い女の子がタイプなんけど…」


小柄なそれ、つまりのぼるがグダグダと喋り出したのをしらっと見ている遥と琥珀。


「で?なにしてんの、あんたは」


イライラした様子で琥珀はのぼるに尋ねる

のぼるはピタリと喋るのをやめ、そして言った。


「偵察…かな?」


「はぁ?」


琥珀はさらに苛立ってみせた


「この学園にもうすぐ送り込まれるんよ。だから偵察。可愛い子がいたら従ってもいいかなってさ。俺の特技は鍵開けなんよ。だからここの窓をちょいちょいとやって入ってみたら、人がいたっちゅうわけ。」


ペラペラと喋り出したのぼるに、もはや興味も失せていた遥。大きな欠伸をして早く授業の鐘が鳴らないかと考えていた。

琥珀はのぼるを聞いて思った。

彼もまた、自由を求めているのか

それとも嫌気がさして逃げてきたのかと。


「あれ?聞いてる?」


のぼるは問いかけた。


「聞いてない。この学園に来るんなら気をつけることね。噛み殺されないように。」


琥珀はそう言って、遥と一緒に階段を降りていった。

そのあとのぼるがどうしたのかは知らない。

ここに転校してくるならまた会うだろうが遥と琥珀にはどうでもよかった。

今はただ、昼寝がしたい。

遥はそんなことをぼんやり考えていた。


坂井のぼる

こいつのおかげでこの先の人生の荒波に飲まれるとも知らずに遥は風に揺れる桜の樹の下で

琥珀と眠りについた

ここまで読んでいただきありがとうございます。

緑ヶ丘高等部2年B組はもう少し続けていこうと思います。

お付き合いいただければ幸いです(^^)



今回出てきたキャラの整理

・的場 遥 まとば はるか

長身で身なりを気にしない

割とつねにボサボサの黒髪セミロング

家柄は普通

やる気のなさから学校の成績も普通

親のススメにより中等部より外部受験し現在に至る


・深山 琥珀 みやま こはく

遥よりは低いが背は高め。170台。

美麗でやや濃いめのメイク

黒のロングヘアを束ねていることが多い

両親は警察官 柔道黒帯

スカウトで高等部から外部受験し現在に至る


・坂井 のぼる さかい のぼる

165㎝小柄 深緑のやや長めな髪を外ハネにしている

喋り方が時々変。鍵開けが得意という謎な特技。

実はバスケ部。

彼もまたスカウトで転入予定とのこと。


・清水 牙 しみず きば

琥珀の会話の中に一回出てきたクラスメイトの名前

詳細は現在不明

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  学校は謎です。 [一言]  これだけでは、話は読めないです。
2015/11/09 19:20 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ