表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

第4話 クラス召喚①

 とある学校のとある教室。その中で話す生徒が二人。



「でさ〜その時のさっちゃんの顔が爆笑もんでよ、俺思わず腹抱えて笑っちまったし」



 笑いながら話すのは出席番号8番、佐藤智也。茶色に染めた髪が特徴の男子生徒だが、決して不良ではない



「なんだよそれ、アホ過ぎんだろさっちゃん

 流石、我が校誇る天然教師」



 つられて笑うのは出席番号24番、間宮和人。彼は陸上部のエースで、家では妹思いの良い兄。



 教室に響く男子生徒の笑い声。

 そんな男子に声をかける女生徒が一人。   



「智也ー、なんの話をしてるのー?」



 男子に声をかけるのは出席番号16番、立花香奈子。学校でも上位に組する美少女で、誰にでも気兼ねなく話してくれるクラスのムードメーカー。



「やめなよ香奈子

 どうせまた先生をからかった話でもしてるんでしょ」



「ちげーし!変な疑いをかけるな!」



  何気無い会話、彼らの日常。その当たり前な毎日が今日、終わるなどこの時は誰も知らない。



 ガラガラ



「はいはーい、席に座ってー!ホームルーム始めるよー!」



  教室のドアを開き、元気に声を上げながら入ってきた女性。

  彼女は、去年この学校に赴任して来た新米の教師で、この2年B組の担任である川澄サチ子だ。



  サチ子は、まだ話している生徒を注意しながら教壇の上に立つと、日課である朝のHRを始めた。



「みんな座ったねー?それじゃ朝の出席をとるよー!」



  サチ子はそう言うと、手に持っていた生徒名簿を読み上げる。



「朝倉さん」



  生徒の名前を呼ぶが誰も答えようとしない。



「あれー?朝倉さん?朝倉涼子さーん?」



「さっちゃん先生ー、朝倉さんは隣のC組ですよー」



  「え!嘘!?間違ってC組の持ってきちゃった!」



 サチ子がそういうと、クラスに笑い声が広がる。



「さっちゃんまたかよー」



「これで今月何回目だー?」



「ふむ、僕が数えた数によると今月で、13回目ですね」



「それってほぼ毎日じゃねーか!」



 生徒の声が飛び交う。

 サチ子は申し訳なさそうな顔をすると



「ごめんねー!今取り替えてくるから!」



 バタバタと急ぎながら、教室を後にするサチ子。

 ドアが閉まると同時に、生徒たちがざわざわと話し始める。



「相変わらず天然ねーさっちゃん先生は。少しはなおらないのかしら?」



 そう言ったのはクラス番号6番、川崎怜美。ツインテールな彼女はクラスの委員長で、香奈子の親友でもある。

  そんな彼女に和人は



「そこがいいんだろ、わかってないな~」



  と、言った。

  怜美は、呆れながら



「はいはい男子はみんなあんなのか好きなんでしょ 」



「ちょっと待て、俺は和人みたくさっちゃん崇拝者じゃねーぞ」



「智也も同じようなものでしょ」



「はぁ?どこがだよ?」



「毎朝毎朝、飽きもせずさっちゃん先生について話してるのは誰よ?」



「・・・・・・」



「ほら同じゃない」



  そんな雑談をしていると、ガラガラと音をたててドアが開いた。先生が来たかと思い、智也達は見るがそこに立っていたのは一人の男子生徒だった。

  男子生徒の髪はボサボサで長く、目元まで隠れており、身体はガリガリに痩せた、見るからに不健康そうな生徒だった。



  彼は出席番号10番、菅守時雨。趣味は漫画やアニメ。クラスではあまり人とは話さず、いつも独りで本を読んでいた。



  時雨は、皆の視線から避けるように自分の席に移動すると、いつもの様に本を読み始めた。



  すると、彼に数人の男子が近づいて来た。

  彼らはニヤニヤと笑いながら時雨にこう言った。



「いよぉ〜、おまえまた学校に来たのかよ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ