三話
次の日の朝…
ローナはいつも通りの時間に集合場所へ着くように部屋を出た。
「おーい!ローナ!!」
駆け寄ってくる男は知り合いだった。
「あ、ライアスだ。」
「いやぁ~いつもながら朝早いよなぁー」
朝日が如く眩しい位の笑顔の主の名前はライアス=トゥティール。
彼は騎士団に所属している。オレンジ色に近い茶色の髪と同色の眼。鍛えてある美しいフォルム。人懐こい笑顔が可愛らしい。
「で?なんか用事?」
「おいおい…久々に会ったのにその冷淡な口調何とかならない?」
ライアスは苦笑いを浮かべている。
「これでも結構喜んでるよ?やった!!って。ライアスみたいにニコニコ出来ないの。したいけど…」
「うわぁ~小さいのに可愛いこと言うなよ~」
ムッとする。
「小さいは余計よ。」
「ごめんごめん。じゃなかった。ローナさぁ、買い物付き合ってくれねぇ?」
「うん。丁度服を買行こうかと思ってた。」
「あぁ~例の行事か…いやさぁ、もうちょっとで俺のお、お、奥さんの誕生日なんだよ//」
照れて顔を赤らめているライアスはこの前結婚したばかりだった。童顔のせいで若く見えるがライアスはもう三十路であった。奥さんは美しく、10コも下。
「三十路が照れないでよ…というか惚気?こっちが恥ずかしい。」
溜息が出る。
「悪い悪い。俺、今から休暇取りに行くんだけど明々後日でいいか?」
「うん。頼んでみる。」
幸いいままであんまり休んでなかったので休暇位とれるだろうと思う。
「んじゃ、明々後日の9時に部屋迎え行くよ」
「わかった。」
ライアスはヒラヒラと手を振って風のように去っていた。
「おはようございます。」
集合場所はいつもより混雑…というか慌ただしかった。
もともと人が多いのに大勢で動いたら鬱陶しいことこの上ない。
「どうかしたんですか?」
私は、ニルバーニャさんを発見して尋ねてみた。
「えぇ?ああ…なんだかねぇ、国王様の執事が直々に私たちの力量を図るんだってさ…確かに召使の数が半端じゃなくなってるのは確かなんだけど…」
まずい…非常にまずい…
宮で給仕のできないメイドなど赤子ほども必要としていないだろう…
「あの…その試験(?)に合格できないとどうなるんですか?」
怖いが聞かなくては…
「うーん確か、配属先が変わって、出来るまで指導が入るんだったはずよ」
おぉう…折角南宮まで頑張ったのに…
南宮まで務めるまでにも何度か試練はあったが全部総合的に考えてOKを貰えてきた
まずいなぁ…
そんなこんな考えているうちにやってきてしまった。
どんな髭を蓄えたお爺ちゃん執事かと思えば深緑の髪の長身でスラッっとした立ち姿で眼鏡の似合う言わばイケメン(?)だった。
私は緊張のせいで客観的にしかその人を観察できないが、女性はみんな黄色い声を一瞬あげて止めた。
「私は王家専属執事エリオット=ランドマンです。これより選別を開始いたします。左から順に西・北・東・南と務めている順で並びなさい。早く。」
選別て…しゃべり方先生みたい…
エリオットは男子女子(特に女子)をジロジロと眺めた。そして突然
「そこのとそこのとそこからそこのやつ一つずつ降格です。」
と、指を差し告げた。
理由を聞こうとした女の人がいたがそれより早くエリオットは話し始めた。
「メイドは仕えるもので、滅私奉公の精神が必要です。よってこの時点でメイクや装飾品などは言語道断です。分かったら私語はしないようにしてください。それと貴方。」
指を差されたのはローナだった。
「貴方のその髪の毛はパーマメントですか?地毛ですか?」
この朝の早い時間帯に二回もムッとするとは…
「地毛です。」
少々冷たくなってしまったが仕方がないだろう。
「これは失礼しました」
敬語なのに全然謝られていない…
腹が立つなぁ…
試験は淡々と進められた。
中には降格では済まされず、辞表届を提出するように言われたものもいた。
ついに私の番が来てしまった。終わった人は次々と仕事へ戻るし、個室でやるので2人きりである。
内容は至極簡単だった。
ベッドメイキング、掃除、軽食、力仕事。
ランドマン様は力仕事の時とてもビックリしていたようだった。
そして難題給仕…
お題はロイヤルミルクティー自分自身あまり飲んだことのないお題に愕然とした。
えぇと…たしか…お湯150ml?
ちゃ、茶葉を入れて…5分?
…え、えぇえっと……
無表情で動きはないがヤカンをもってオロオロしている。
見かねたランドマン様は「そこまで」とだけ言った。
「貴方は、給仕…給仕以外は!!軽くこなしましたね。降格は無しにいたしましょう………」
沈黙。考えているのだろう
「仕方がありません…給仕まで教えるとは思いもしませんでしたが、貴方一人だけ特別指導です‥」
ランドマンは長い溜息をついた。
「まぁ、幼いのですぐに覚えるでしょう」
今日3回目にムッと…いや、もうプッツーンってカッチーンときた。
冷たく注意してやろう…
「大変申し上げにくいのですが。幼くなどありません。貴方様にはいったい幾つに見えるのですか?」
少し考えるエリオット
「…16、7歳ですか‥ねぇ…」
社交辞令。それが常識だがこれは酷すぎる!!
「申し訳ありませんが、私、24です。」
少々強めに言った。
ランドマン様は目を見開いて小さく「えっ!…同い年」っと言った。涼しいお顔が台無しである。
「失礼、します。」
内心穏やかではないが一応お辞儀をして去ろうとした。が、エリオットは「待ちなさい」と言った。
何?最近呼び止めるのが流行っているの?てか、貴方がいけないんでしょうが!!
ムスッと「はい?」と答えるとエリオットは手帳を開き
「今日から午後2時から3時は給仕指導です。」
「無理です。その時間帯は私の唯一の休憩時間です。」
「では、私からずらす様に言いましょうそれで問題ないでしょう?」
「…………はぃ。」
なんだか負けたみたいでふて腐れて小さく返事をした。
「それでは。次の方を呼んでください。」
「失礼いたしました。」
今度こそローナは立ち去れた。
全然知らない給仕の話なんて書かなきゃよかった‥。




