序章
…進めてないのがありますが、自分でも分からなくなったのでこっちを頑張ります。新米です。よろしくお願いします。
ここはフィオリル王国。
若き国王が治めるこの王国は現在平和であった。
そんな国王様が住む宮は東西南と別れている宮だ。
東宮は騎士団が滞在している。
騎士団は何かあるときのためにいつも万全を期している。
西宮はメイド・執事たちの部屋だ。
宮に仕えるメイド・執事たちの階級は厳しく、先輩後輩にも五月蝿い。また、採用基準も厳しかった。
個人に仕えることは殆んど無く、メイドたちは任された仕事をせっせとやる。
宮ごとのメイドたちの階級は西・北・東・南だ。
南宮は王族や政について重要なポストについているもののみ住むことを許される。
北には夜会が開かれる建物があるだけだ。
独房や牢屋は王国の外れにある。
そんな王国のお話し…。
男は耳を傾けて聞いていた。
小さな綺麗な歌声。遠過ぎて聞き取れない時もままある。
ここは南宮の男の自室。
事務仕事ばかりの長身で無愛想な男は自室でしか仕事はしたくなかった。
メイドや執事も要らない。
いつものように事務仕事をしているとどこからか綺麗な歌声が聞こえてくる。
書類ばかりで気が滅入っていた男にはいい息抜きになっていた。
歌を聴きながらのびをするととてもリラックスした気分になった。
小さな歌声。
美しい歌声。
きっと、この声の小ささからきっと東宮からだろうと推測した。
誰が歌っているのだろうか…。
ふと、男はそんなことを考えた。
小さな歌声。
美しい歌声。
男は何時も午後2時を過ぎると歌い始める。と、分かった。
その時刻になると男は歌を楽しみながら仕事をする。歌声はいつも美しい。が、違った。
憤怒、楽しい、苦しい、悲しい。いろいろな歌声を持っていた。決まって一日一曲。聞き逃した日はとても悔やまれた。
歌の時もあれば物語を歌に載せているときもある。今日は「リア王」だった。
毎回思うが、きっと歌っている奴の心境なんだと思う
そんな生活が1年ほど経ったある日。
いつものように2時を楽しみにしていると美しい歌声はとても近くで歌われていた。
ガタッ
突然のことで男は席を立った。
歌声の主が近くに?
そう思うと一目くらい見てみたいと思い、仕事そっちのけでドアを開いた。すると、今まで響いていた歌声は一瞬にして消えた。辺りを見ても人っ子一人居ない。
大人しく部屋へ戻ると、また歌が聞こえた。
今日は「フーゴー・ヴォルフ」だった。今の事と良いまるで妖精だな…
しかし、今回は歌とともに箒で掃く音がする。きっと近くにいると思った男は今度は少々乱暴にドアを開いた。
バタンッ
存外、彼女はドアの目の前にいた。
目の前に居るのは少々ビックリして目を見開いた14、5歳かと思われる女の子が立っていた。
眼の色は綺麗な新緑色で髪はマロン色のくせ毛で瞳によく似合っていた。
身長は150~5位であろうと思った。
彼女はハッとしたように箒を下へ置き、前で手をそろえて深くお辞儀をした。
「…」不躾だとは思ったが女の子を上から下まで眺めた。目を伏せているせいで顔までは見えない。
…歳の割には胸が発達しているな…最近の子供とはそうなのか?
「…お前が歌っていたのか?」
「左様でございます。気分を害されたのでしたら申し訳ございません。」
彼女の声は案外低めだった。
彼女はお辞儀をさらに深くした。
もともと長身でガタイのいい男からはとても小さく見える。
「顔を上げろ」
「はい。お言葉に甘えてそうさせていただきます。」
顔を上げるとそれはそれはあどけない顔が現れた。
さっきはまじまじと見れなかったが、美しい色の瞳、白い肌、薄紅色の唇はふっくらとしていた。
…美しい
「…あの」
沈黙に耐えられなかったのか娘は話しかけた。
その時やっと男は我に返った。
「…お前は、なんだ?」
第一声に出たのが訳の分からない言葉だった。
「はい。私は、このたび南宮に仕えることになりましたメイドでございます。微力ながら全力で務めさせていただきます。」
娘はまたお辞儀をした。
「…主に何をしている?」
「…はい。午前はお食事運びや洗濯、皿洗いなどです。午後は主に庭掃きをしております。」
何故そんなことを聞くのだろうと娘は思いながらも淡々と答えた。
「名は?」
「恐れながら申し上げます。一介のメイドの名など聞いてどうするのですか?」ついつい気になってしまった。
コイツ…普通女なら満面の笑みを浮かべて喜んで教えるというのに…
しかし、考えてみればおかしい。この娘の意見は至極真っ当だ。
「確かに。俺の名は分かるか?」
「存じ上げています」
当たり前だ。メイドは自分の務める宮の人物を全員覚えなければならない。
「では、俺のことを話してみろ」
「…はい。」
なんだか面倒だなとは思いながらも話した。
「ムスク=ストーシュ様。御年27歳。爵位は公爵様。現在は官吏のようなもの。剣の腕は一級品。若き国王の右腕。国王とは幼子の時からの御学友。」
事務的にペラペラと早口で答えた。
「よろしい。」
「それでは、仕事がありますので失礼いたします。」娘はお辞儀をして立ち去ろうとした。
「待て。」ムスクは彼女を引き留めた。