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妖精の限界
エンドレスに続く日々に、私は少し疲れていた。
毎日毎日、空手の稽古をひたすらやりつづける。
あたしの家は灯火流という日本でもトップクラスの空手道場である。
灯火流に、男の跡継ぎはいない。
母親は私を生んで直ぐに交通事故で他界した。
そして父は再婚する気などはさらさらないらしい。
その結果、私は灯火流の女跡継ぎになるように一生懸命稽古した。
人に好かれるために何時でも笑顔を絶やさないようにした。
確かにそれでうまくいってた節はある。道場の生徒は増えたし、私も父のように強くなった。
だけど、15歳になったとき、限界がきた。
あたしだって、皆みたいにおしゃれしたい、
部活にも入りたい。
帰りにMACによっておしゃべりしたい。
でも、父はそれをゆるさなかった。
そんなことするくらいなら瓦割りでもしてろ、といわれた。
年頃の女の子にとって、自由にできないことが辛いことだとなんでわかってくれないのか。
一人で悩みに悩んだ末、
あたしは、家出した。