11/13
初仕事は刀身を抜いて。
たどり着いたのは、何の変哲もない道だった。
どこにでもある閑静な住宅街の一角にある路地。
さて、敵を倒すんだっけか。それがどんなものかなんて想像もつかないけど、やってみるしかない。腕の中のクマのぬいぐるみを使って。
「さーって、ここはどこだと思う?」
腰に手をあて、口を弧に歪めながら先輩は言った。この様子から察するに、素直に答えたなら不正解だろう。
彼女が楽しそうな顔をするなんて、他人をからかう時か貶める時ぐらいだと自負している。
路地、道、住宅街。
一見して見て取れる情報はこのぐらいだ。これ以外で、ここにふさわしい言葉を探せたらそれが正解。
どこか、と聞いてきたのだから、必然的に場所を示す言葉であるはずで、今俺たちは敵を倒すためにここに来た。
と、いうことは敵を倒す場所、つまり戦う場所……。
相撲だったら、土俵。
プロレスだったら、リング。
サッカーだったら、コート。
なら、この場合は……
「バトルフィールド?」
読んでくださり、ありがとうございます。
感想などありましたら、残してくださると幸いです。