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1日前にずれました。



穴でもあいてしまったのか、所々いびつに縫い合わせたあとが残るそれは、ぬいぐるみでありながらもファンシーという言葉があまりにも似合わない一品で、俺はそのぬいぐるみの異様さにも驚いたが、先輩が仕事の準備をしているという事を忘れてはいけない。


そう、彼女は仕事にぬいぐるみが必要なのだ。

この文面だけみるとあまりにも幼稚的な事のように思えるのだが、この際その事には触れないでおこう。


で、だ。

とてつもなく残念な事に、俺は今、ぬいぐるみというものを持ち合わせてはいないわけで、先輩のいうところの"支度"が出来ない状態にある。

何をどうすればいいのか……。


やがて先輩はクマとうさぎ、両方のぬいぐるみを手にしてこちらへ向かって来た。

僕にその可愛らしいものを身につけろとでもいうまいな。


「今日はメリーナ、貸してあげる。どうせ持ってないんでしょう?社長もいないから、仕方なくよ。仕方なく」


そう言って先輩はメリーナ、クマのぬいぐるみを僕にぐいっと突き出して来た。紫色という異様な色をしたクマはぬいぐるみだからこそ許されるものだ。本物だったなら毒でも持っていそうで、近づけはしないだろう。


僕がメリーナを受け取ると、先輩は何も言わずに出入り口へと足を向けた。僕は素直にそれに続く。


それが僕の初仕事の始まりだった。



読んでくださりありがとうございます。


次話投稿は、10日を予定しています。

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