伝説も暗黒も思い出のなか
ーーはい!今回のピックアップアーティストは、七福神トーテムポールの皆さんです!!
3人「イェーイ(笑)」
今回、七福さんには、「マジ語り」をしてもらうということで(笑)
ミノタウロス真田(以下、真田)「そーですね、ホントと嘘、半々ぐらいで熱く語ってこうかな、と思います」
嘘はやめてくださいっ!(笑)
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んーと、じゃあまずすっごく今から失礼な事、僕言いますけど、いいですか?
ボルケーノ灘(以下、灘)「中身にもよりますかねぇ(笑)」
七福神トーテムポールと、ハバネロ・オナニー・ボーイズって、ずばり!おんなじ人である!
3人「うわぁ、いきなりですけどそれはNGで(笑)」
わかりました。ダメなんですね。さよなら。
真田「ちょっ、ちょっと待って(3人でコソコソ話)」
どーでしょーか?!
3人「(せーのっ!)正解!!」
ま、予想通りということで(笑)
ロストエンジェル久保田(以下、久保田)「反応冷めてる(苦笑)」
え!?そーですか!?ま、それはともかく、なぜ改名したんですか?
灘「それはともかくって(爆笑)」
真田「なんで変えたんだっけ?」
久保田「嘘つけ!覚えてるだろ!」
灘「さあここからは重い話になりますよ」
真田「気づいてる人が大半かと思いますがハバオナでベースだった柴崎が抜けたんですよねぇ」
あ、そーですね。ライブでの激しいヘッドバンキングで倒れて以来、見てないですけど…
真田「それで入院した時に色々と精密検査をしたらですね…若年性の咽頭がんが見つかったんですよね。」
え。
久保田「え。っていうのは正しく僕らのリアクションでしたね。」
灘「なんじゃそりゃ、みたいなね。」
で、今柴崎さんは?
真田「それがまた末期までいかないけどだいぶ危険状態だったみたいで」
あ、じゃあ手術は成功したんですね。
灘「入院してます。」
はい?
真田「手術して寝た時から意識もどんないんみたいで」
え?え?
久保田「なんか、五分五分らしいです。」
な、何が?
灘「もう一度起き上がれるようになるかが」
インタビューはまだまだ続いていたが、俺はここで一度本を閉じた。
柴崎が。がん。しかも、死にそう。
ふざけるんじゃない。壁にがんがんと頭を打ちつける。
俺に何かできたという話ではない。というのは充分承知しているとはいえ、やるせない。あまりにも、やるせない。
俺は部屋の灰色の絨毯に寝っころがって、ぼんやりと真田がギボベルさんの息子だと伝えた時に「木下先輩!マジすか!マジすか!」と言いながら何故か俺に握手した柴崎を思い出した。
思えば確かに彼はひょろりとしていて、やや特徴ある声であった。ハスキーとまではいかないが、そう、「特徴ある」というのがぴったりな。
ライブはいつであっただろうか。もうそろそろだったはずだ。
「キリサク」を開けて薄桃色の紙と再び対面する。
7月7日。七福神トーテムポールはその日の夜、一番最後。一日目のトリ。
ビッグになったんだなぁ。
ぼやきながらも俺は、キャッスルレコード手作りの、深い青をメインカラーとしたカレンダーをめくって、7月7日にぐりぐりと赤ボールペンでまるをつけた。
明日はきっと、あの雑誌も最後まで読めるだろう。いや絶対読んでみせる。壁にずるずるよしかかりながら座りながら男三人が馬鹿なポーズとってる雑誌を睨んだ。
あいかわらず先頭の白塗りの真田は変顔をしたままである。