表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AI、100%小説で空なんて飛べない  作者: 蜃気羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/35

2024年7月 ――デビュー前、普通の中3だったときの話2【6】



「ねえ、川崎くん。この小説読んでみてほしい」

 全ての授業が終わり、教室中がガヤガヤしているときに、山本瑠奈は一冊の文庫を俺の机の上にそっと置いた。俺はそのまま、置かれた文庫を手に取ろうとしたら、手と手が重なった。

 意図せず、たまたま触れてしまって、俺は思わず、山本瑠奈を見た。山本瑠奈も驚いたような表情で俺のことを見た。

 

「――ごめん、事故」

 そう言って、とっさに右手を山本瑠奈の左手から離した。

「事故らなくてもいいよ」

「こういう感じの小説、俺も好きだよ」

 山本瑠奈の左手が、文庫から離れてすぐ、再び俺は文庫を手に取った。表紙を見たあと、パラパラとページをめくった。よしもとばななの『キッチン』だった。


「知ったような口きいたけど、これは読んだことない」

「きっと、気に入ってくれるような気がするから、貸してあげる」

「ありがとう。読んでみるね」

 前から気になっていた。本のことよりも、さらっとホームルーム前に本を手渡されたことが意外だった。これまで、音楽の話ばかりしていて、本の話にはあまりならなかった。自分たちが書いている小説の話はするけど、お互いにどんな作家が好きだとか、この小説よかったよ。とか、考えてみると、そういう話をしていなかった。


「TUGUMIは読んだことあるけど、キッチンはまだ読んだことなかったんだ」

「むしろ、私、TUGUMI読んでないんだ」

「明日、持ってくるよ」

「やった」

 思わず、山本瑠奈を見ると、山本瑠奈は、まだなにも起きていない口約束程度にすぎない、たったこのくらいのことで喜んでいた。


「いつかこういう物語書いてみたいな」

 山本瑠奈がそうぼそっと呟いている途中で、担任が教室に入ってきて、ホームルームが始まってしまったから、ふたりの会話はそこで途切れてしまった。




読んでいただきありがとうございます。

感想、ブックマーク、☆を★にして応援いただけると、とても嬉しいです。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ