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AI、100%小説で空なんて飛べない  作者: 蜃気羊


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2025年1月 ――中3の冬、授賞式直前の話【17】



 こうして、クリスマス直前に山本瑠奈と駅ビルのカフェレストランで話をしてから、1ヶ月くらい経とうとしていた。あの日、山本瑠奈にAIで小説を書いたことを告げたあと、原稿データを送った。ただ、そのあと、感想のやり取りとか、そういうことは一切しなかった。


 冬休みあけの最初の金曜日に、入試があった。

 ただ、この入試はこの私立中学が属している高校へ、そのまま進学するために必要な通過儀礼みたいなものだ。


 よっぽどのことが無い限り、この入試は落ちることはない。

 忙しいようで、忙しくない1月が続いたけど、結局、学校が始まってから、山本瑠奈と話すこともなかったし、廊下ですれ違っても、山本瑠奈は会釈もしてくれなかった。ただ、最初から他人だったような扱いを俺は、山本瑠奈から明らかに受けていた。


 俺は、この期間、ずっと小説を書いていた。短編を5本と、長編にする予定の小説を5万字くらい書いた。最終選考の改稿も、結局、AIは使わず自分の手で改稿した。12月の終わりから、俺はより、小説を書くようになった。

 



 

 だから、トーク画面の履歴は12月の待ち合わせのメッセージと、作品データの添付ファイルを最後に、時が止まっていた。

 iPhoneに表示された画面をぼんやりと見ながら、リビングから自室に戻り、間接照明をつけた。

 一瞬で部屋は暖かな電球色になった。


 俺はベッドに座り、数秒間、目をつぶった。

 闇のなかで、どうするのが最適解なのかを自分に聞いてみた。だけど、その闇のなかでは、なにも答えなんて得られなかった。

 結局、瞼を開き、元の電球色の暖かい世界に戻った。もう、自分から行動するしかないのかもしれない――。


『久々に小説読みたい』

 そうメッセージを送ると、すぐに既読がついた。そして、こう返信が返ってきた。

『AI川崎じゃなくて、川崎くんの小説が読みたい』

『あれから、たくさん書いたよ 見せたいのばかり』

『私もたくさん書いたから、川崎くんに読んでほしい』

 




読んでいただきありがとうございます。

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