2025年7月 ――デビュー1年目。高1の夏の話【1】
生成AIが徐々に文字を紡いでいる。そんな画面を俺はただ、眺めている。
真夜中の部屋、エメラルドグリーンのスタンドライトの白い光の下、俺は作業を進めている。右手にコーラを持ち、それを一口飲む。口いっぱいに甘さが広がった。
少しだけ炭酸が抜け、刺激が減っていた。コーラをデスクに置き、キャップを締めた。そのあと、再び、画面に視線を向ける。
部屋の中の32型のモニターには、ウインドウが2つ並んでいて、右側には、AIが書き出しをしている様子が映し出されていて、もう一つの画面で、Amazonプライムビデオで再生している、アイロボットが映し出されている。
俺が生まれる前に作られた04年の映画。
もう何度となく、作業中に何故か流している映画。
若かったウィル・スミスが、機械音痴の刑事になって、ロポットと世界を救う話。
2025年から見て、2035年にロボットが普及しているかなんて怪しい。
いや、見えていないだけなのかもしれない。親世代の子供の時は、インターネットどころか、スマホすらなかったらしい。
いや、そんなこと武勇伝的に語られても、知らんし。って思ったりするけど、結局のところ、技術革新は日進月歩で20年ごと、いや10年ごとに世界の常識は更新されているに過ぎない。
アイロボットみたいにロボットが街の中を歩いている未来はまだ先だけど、AI生成は違った。
映画の世界では、きっと、AI技術よりも先にロボット工学が発展したんだ。
だから、2035年のウィル・スミスは警察署のなかで、ペンを持ち、紙に手書きをしている。
AIに書き換えさせている文章は、たぶん、日本のなか。いや、世界のなかで俺にしかまだできないことだと俺は勝手に思っている。
自惚れかもしれない。
だけど、俺は本当にそう信じている。
AIで書いていても、俺の小説であることに変わりはない。
むしろ、なんで大人たちが、まだAIを使わずに小説を書いているのか。多くの人たちを共感させるプロンプトを発明した俺は理解に苦しむ。
今、書き出している原稿は今年の9月末、市場に出回る予定の2作目だ。デビューしてまだ1年目。高校1年生の15歳の俺は優雅な夏休みを過ごしている。
そんなことを考えているうちに、書き出しが終わった。
大人たちには、まだ信じられないことなんだと思う。
小説のほぼすべての部分をAIが書いているということを。
そして、人が書いているという前提のまま、接する大人たちは、今の俺のことを受け入れないかもしれない。
だから、俺は未だに、誰にもこのことを話したことがない。
AIで小説を書いていることを。
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