326話:(1885年・夏)電信と災害対応
深夜二時。
江戸下町の空が、赤く染まった。
湿った夜風が吹き荒れ、木造家屋の屋根を鳴らす。どこかの台所から出た小さな火が、あっという間に乾いた板塀を舐め、通りを越えて、別の町家へと飛び火した。
「火事だ――!」
怒号が上がる。寝間着のまま飛び出した人々が、桶を持って走る。井戸から汲んでも、追いつかない。風が火をあおり、屋根瓦がぱちぱちと音を立てて崩れ落ちた。
火の手は、まるで生き物のように家々を食い尽くしていく。
鳴り響く半鐘。下町第三消防署の詰所で、若い隊士が電信機の前に飛び込んだ。
「発信、急げ!」
「はい!」
火花が弾けるような音の中、電信線が命令を運んだ。
――下町本町三丁目、出火。延焼中。
指令を受けた消防本部では、眠っていた当直が跳ね起きた。即座に一斉送信の鍵を叩く。
――全署へ通達。下町本町三丁目、大火災。風強し、全署出動せよ。
電信線の向こうで、次々と返信の音が鳴った。
「第一署、出動!」
「第二署、出動!」
「第四署、出動!」
夜の江戸に、無数の馬蹄の音と、車輪の軋みが響く。
放水車が通りを抜け、火の粉を避けながら進む。
わずか十分で、江戸全域の消防隊が動いた。
赤々と燃える炎の海に向かって、隊士たちは迷わず突っ込んでいく。
濡らした手拭いで口元を覆い、水桶を受け渡しながら、仲間の叫びが飛ぶ。
「裏手だ! 風向きが変わる!」
「逃げ遅れた子どもがいる!」
人々の悲鳴、火の唸り、そして絶え間なく鳴る電信の音。
遠く離れた本部では、指揮官が紙の地図を前に、送られてくる報告を追っていた。
「現場より:延焼五十軒、応援必要」
「了解。第五署、第六署、追加出動!」
わずか数分で命令が伝わる。
火が東へ広がるたび、命令も電線を伝って飛んだ。
「第五署到着。放水開始!」
「火勢、北へ移動中!」
やがて、夜明けとともに火勢は弱まり、午前六時、鎮火の報が入る。
焦げた匂いの中で、隊士たちは互いに肩を叩き合った。
「終わったか……」
「十年前なら、このあたり一帯、全部燃えてましたよ」
消防隊長が、焼け跡を見つめた。
十年前――あの時も同じように風が強く、夜半の出火だった。
だが、あのときは使者が馬で署を回り、伝令に二時間。
八百軒が灰になり、五十名が命を落とした。
今回、焼けたのは百二十軒。
死者、八名。
「電信が、六百八十軒と四十人を救ったんだ」
隊長はつぶやき、手のひらで焦げた瓦を拾い上げた。
瓦の裏には、まだぬくもりが残っていた。
夜を貫いた電信の音が、耳の奥にこだまする。
「命を救うのは、水だけじゃない。速さなんだ」
その言葉に、部下たちは黙って頷いた。
夜明けの空に、黒い煙がゆっくりと薄れていく。
夜が明けきらぬ江戸の街。
煤けた空気の中を、まだ焦げた木の匂いが漂っていた。瓦の隙間から立ちのぼる白煙が、風に煽られてゆらめく。そこには、昨夜まで人の暮らしがあった――煮炊きの湯気、子どもの笑い声、軒先の金魚鉢。それらが、ひと晩で影も形もなく消えていた。
第三消防署の前には、疲れ果てた隊士たちが列を成していた。袖口は焦げ、手の皮は剥け、顔は煤で真っ黒だ。それでも誰一人、口に不満を漏らさない。
「電信がなかったら、ここも焼け野原だったな」
中堅の隊士・藤井が言った。
「去年の秋に線を繋いだばかりさ。最初は『こんな細い線で火が止まるか』なんて笑われたもんだ」
若い隊士が息をつき、濡れた手拭いで顔を拭く。
「……笑ってた連中も、もう笑わねえな」
「線が命を繋ぐ。あの夜で、みんな思い知った」
焦げ跡の中では、炭になった畳が音もなく崩れていく。
溶けた金具を拾い上げた青年隊士が、唇を噛んだ。
「これ、昨日助け出した家の表札の留め具だ」
藤井は無言でそれを受け取り、掌で包んだ。
焼け跡の熱がまだ残っていた。
遠くで、馬車の車輪が鳴る。
藤村晴人首相が現場に到着した。
まだ若い官僚数名を伴い、焦げた地面を慎重に歩く。
黒いコートの裾を焦がしながら、藤村は焼け跡に立った。
「ここが出火点か」
案内する消防隊長が、静かに頷く。
「原因は行灯の転倒のようです。風が強く、あっという間に……」
「住民の避難は?」
「ほとんどが無事です。死者八名、行方不明一名」
藤村の眉がわずかに動く。
焦げた匂い、瓦礫の山、すすけた風。だが、そのどれよりも胸を打ったのは、通りに立ち尽くす人々の沈黙だった。
老女がひとり、崩れた井戸の脇で手を合わせていた。
その隣に立つのは、三十代ほどの女性――顔に煤がついたまま、目の下に涙の跡が残っている。
「お怪我はありませんか」
藤村が声をかけると、彼女は驚いたように顔を上げた。
「……はい。家は焼けましたけど、命は助かりました」
「消防の到着が早かったと聞きました」
「ええ。電信で知らせたって、隊の人が言ってました。おかげで隣の家は燃えずに済んだんです」
彼女は震える手で、焼け跡の方を指さした。
「うちと隣の間に、たった一枚の土壁があって。それが風で倒れかけたとき、すぐに水をかけてくれたんです。もし来るのが遅れていたら――あの家の子どもたち、みんな……」
そこまで言って、唇を噛んだ。
藤村は、深く一礼した。
「あなたの声を、忘れません」
記録係が、彼女の言葉を静かに筆に写した。
火事の惨状を前にしても、藤村の視線は一点を見つめ続けている。
それは――電信柱だった。
焦げ跡の中でも真っすぐに立ち、銅線を空へと伸ばしている。
風に吹かれた電信線が、かすかに鳴った。
チリ……チリ……と。
まるで、誰かがまだ遠くで命令を送り続けているかのように。
藤村の脳裏に、過去の記憶が甦る。
江戸が焼け、報せが届く頃には町が灰になっていた。
救えなかった命が、今、一本の線で救われている。
そう思うと、胸の奥が熱くなる。
その時、後方から駆け寄る足音。
「総理! 本部からの報告です!」
若い官僚が電信紙を差し出した。
『鎮火確認。被害報告終了。負傷者、軽傷二十七名。行方不明一名、捜索続行中。』
藤村は報告書を読み終えると、紙を折り、懐にしまった。
「行方不明者の捜索を最優先に。民の声を聞け」
消防隊長が深く頭を下げる。
「電信の整備が、これほどまでに力を持つとは……」
藤村は静かに答えた。
「見えぬ線が、人の命を繋ぐ。国の責任とは、そういうことだ」
焼け跡の裏手では、隊士たちが水を撒きながら、まだ燻ぶる木片を処理していた。
足元には、焼け焦げた煙草入れ、溶けた仏具、割れた鏡。
だが、そこにひとつだけ、ほとんど無傷のものがあった。
小さな木箱。
蓋の裏に、幼い筆跡でこう書かれている。
――「おとうさん おかあさん まもってね」
藤村はそれを見つめ、目を細めた。
「……線だけでは足りぬ。心を繋がねばならんな」
やがて、再建のための作業員たちが到着し、街は少しずつ動き出した。
井戸を掘り直す音、瓦礫を片付ける音。
遠くでは、被災者に配給される粥の匂いが風に乗る。
だが、藤村の胸中には別の懸念が芽生えていた。
――九州には、まだ電信が通っていない。
もし、この火があの地で起きていたら。
伝令に二時間、応援が届く頃には町は灰になっているだろう。
藤村は拳を握り、焼けた大地を踏みしめた。
「格差は、金の差だけではない。命の差にもなる」
その言葉を聞きとめた若い官僚が、頷いた。
「総理、次の閣議で電信網の拡充を――」
「提案する。遅れた地域を救うために」
朝の陽が昇り始める。
焼けた町並みに、新しい光が射し込んだ。
瓦礫の隙間に、小さな花が咲いている。
人々の暮らしも、再び芽吹くだろう。
だがそのためには――国の手が、どこまでも届かなければならない。
藤村は振り返り、立ち尽くす住民たちに深く頭を下げた。
「この火を、次に活かす。命を守る線を、もっと遠くへ――」
その声は、焦げた空気の中にまっすぐ響いた。
電信線が、またひときわ強く鳴った気がした。
その頃、南の果て――九州の港町では、まだ夜の闇が残っていた。
潮風が町を撫でる音だけが響く。静まり返った通りを、ひとりの夜警が提灯を掲げて歩いていた。
「風が強いな……火の用心だ」
そう呟いたその瞬間、どこかで「ぱちっ」と乾いた音がした。
次の刹那、古い商家の屋根裏から火の粉が舞い上がった。
「火事だ――っ!」
夜警の叫びが、狭い町筋にこだまする。
木戸を叩き、太鼓が鳴り響く。だが、知らせを伝える術は人の足と声だけだった。
火の粉は風に煽られ、たちまち三軒先の藁葺きを呑み込む。
「誰か、消防署へ走れ!」
「走ってる! でも遠い、坂の向こうだ!」
「鐘を鳴らせ!」
鐘の音が、焦げた夜空にかき消されていく。
消防隊が駆けつけたときには、もう十数軒が炎に包まれていた。
放水桶を並べ、火消し竿で屋根を崩す。だが風向きが悪い。炎は道を越え、反対側の民家へも飛び移った。
「伝令を第二署へ! 応援を頼め!」
「今、走らせました! 二刻はかかります!」
「二刻も……!」
指揮官の声が震えた。電信があれば、一瞬で伝えられたはずの命令。だが、この町にはまだ電線が通っていない。
火は夜明けを待たずして、港の倉庫街まで広がった。
米俵や材木が焼け、火柱が空を照らす。
海風に乗って、焦げた油の匂いが町じゅうを包み込む。
夜が明ける頃には、港の半分が灰となっていた。
焼け跡の間を、黒焦げになった木樽が転がる。
かつて繁盛していた酒問屋の親父が、腰を抜かしたように座り込み、燃え尽きた蔵を見つめていた。
「三代続いた蔵だったのに……」
誰も慰めの言葉を見つけられなかった。
町外れの寺に設けられた臨時の避難所では、子どもを抱えた女がすすり泣いていた。
「消防が来るのが遅かった……。灯りが見えた時には、もう全部……」
「走っても走っても、伝令が戻らなかったんだよ」
「電信があれば……」
誰かが、ぽつりとそう呟いた。
その声は、寺の軒下に吊るされた鐘の音よりも静かに響いた。
翌朝、現地を視察に訪れた県令は、焼け跡の前で立ちすくんだ。
「これほどの被害を、一晩で……」
随行していた書記官が言葉を継ぐ。
「出火から応援到着まで、約二時間とのことです」
「江戸では、火報から鎮火まで四刻以内と聞く。まるで別の国の話だ……」
報告電報はすでに本庁へ届いていた。
だが藤村の手元にそれが届くのは、翌朝のことだった。
その報告を受け取った藤村は、執務室でしばし沈黙した。
「焼失、五百軒。死者三十名……」
読み上げた官僚の声が震える。
「江戸の火災の四倍です。条件はほぼ同じ――強風、木造密集地、深夜の出火」
藤村は静かに机に手を置いた。
「違ったのは、電信の有無だけだ」
閣議の間にも、緊張が走った。
大蔵大臣が口を開く。
「電信網の整備は莫大な予算を要します。九州まで延ばすには、少なくとも二年は――」
「二年後にまた火が出たらどうする」
藤村の声は低かった。
「命は予算の都合では待ってくれん」
陸奥宗光が腕を組む。
「九州は朝鮮半島にも近い。もし戦が起きれば、最前線になります。通信の遅れは、災害だけでなく防衛にも響く」
藤村は頷いた。
「ゆえに急ぐ。命を守る線は、国を守る線でもある」
会議の後、藤村は窓際に立ち、江戸の街を見下ろした。
復興中の焼け跡の向こう、陽を浴びた電信線が真っすぐ空へ伸びている。
それはまるで、国の血管のように都市を繋いでいた。
だが、九州の空にはまだ、その線が一本も走っていない。
「技術があるのに、届かない場所がある」
呟いた声を聞きつけて、傍らにいた長男・義信が進み出た。
「父さん、この仕組み……軍でも使えます」
「軍?」
「司令部が各部隊に一斉に命令を出せる。戦場の状況を即座に報告できれば、戦の形そのものが変わります」
藤村は少し目を細めた。
「……戦を速くするより、まずは命を救う方を急がねばな」
「はい。でも、どちらも“繋ぐ”ことです」
義信はまっすぐな瞳で言った。
父はその言葉に、かすかに微笑んだ。
「お前たちの世代は、きっと私たちより早く、遠くを見ているな」
その夜、藤村は再び報告書を開き、赤鉛筆で線を引いた。
〈九州電信線――優先整備〉
その横に、彼は小さく書き添えた。
〈命の線は、国の骨〉
窓の外、夜風に電線が鳴っていた。
チリ……チリ……。
江戸の街では、その音が新しい時代の鼓動のように聞こえていた。
しかし、遠く九州の夜には――まだ、その音は届いていない。
翌朝、官邸の中庭には朝露が光っていた。
雨上がりの石畳を踏みしめながら、藤村晴人は執務室へ向かう。
夜通し議論した閣議の疲れが、肩にのしかかっていたが、足取りは迷いがなかった。
机の上には、一枚の報告書。
《九州地方大火報告》。
その見出しの下には、淡々と数字が並んでいた。
焼失家屋五百一棟。死者三十名。負傷者七十名。
そして、通信途絶の記録――出火から本部通達まで、二時間十八分。
藤村は目を閉じた。
その二時間が、どれほどの命を分けたのか。
手にした鉛筆の芯が、静かに震える。
そこへ、陸奥宗光が入室した。
「総理、九州の被災地から陳情書が届きました。地方議会の署名が添えられています」
封筒の束を受け取ると、重みが指に伝わった。
署名の多くは、煤の跡が残っている。
――現場で書かれたのだ。
藤村はひとつひとつに目を通し、最後の一枚で手を止めた。
『私たちは、声を届ける手段が欲しい。遅れた分だけ、人が死ぬ。どうか、電信を――』
文字は揺れ、ところどころ滲んでいた。
それが涙なのか、煤に濡れた水滴なのかは分からない。
だが確かに、生き延びた者の筆だった。
「陸奥、予算の枠を変える。九州への電信整備を最優先に。」
「他の地域は?」
「常陰州、北陸、四国……遅れる。それでも構わん。命を優先する。」
陸奥は短く頷いた。
「理解しました。私の方で各国の部品供給を急がせます。」
「頼む。線だけではない。人を繋ぐ訓練も必要だ。」
その日の午後、内務省と工部省の合同会議が開かれた。
壁一面に広げられた地図には、無数の赤線と青線。
赤は既設の電信線。青はこれから引く予定の線。
九州の地図には、まだ青い線すら描かれていなかった。
「総延長、六百里。海底線を経由し、九州の主要都市に中継局を設けます。」
工部大臣が指し棒で示す。
「必要な銅線は約一万貫。海底ケーブルの製造にはドイツの協力が不可欠です。」
藤村は頷いた。
「先月締結した協定で技術交換が成立している。すぐに発注を。」
官僚たちは小さくうなずき、図面に印をつけていく。
その頃、江戸の消防本部では、電信を使った新しい訓練が行われていた。
想定:午前十時、大地震。
「第一署、報告せよ!」
「建物倒壊三件、火災一件!」
「第二署、被害なし!」
「第三署、火災延焼中!」
電鍵を叩く音が、本部の室内に鋭く響く。
「第三署、第一・第四署を応援に回せ!」
命令は十秒もかからず伝わった。
訓練が終わると、消防隊長は額の汗を拭い、藤村に報告した。
「総理、この仕組みが全国に広がれば、災害は必ず減ります。」
「うむ。」
藤村はうなずき、目を細めた。
「火も地震も、人の力では止められぬ。だが、備えは作れる。」
その日の夕刻、藤村は江戸港の埠頭に立っていた。
九州行きの貨物船が出航の準備をしている。
船には、巻かれた銅線の束、電信柱の材料、工具箱、そして新しく採用された若い通信技師たち。
彼らの顔には緊張と誇りがあった。
「みんな、覚えておけ。」
藤村は船縁に立ち、静かに言葉を発した。
「お前たちが運ぶのは線ではない。人と人の声だ。
それが繋がれば、町が生き返る。命が続く。
忘れるな――一つの線が、一つの命を救う。」
海風が強く吹き、船の旗がはためいた。
技師たちは黙って頭を下げ、出航の合図が鳴る。
汽笛が、港と街の空を震わせた。
その音は、焼け跡に立つ人々の心にも届いた。
日が傾き、港が夕陽に染まる。
藤村の背後には、義信と久信、そして末子の義親が立っていた。
「父さん、あの線が届いたら、もう火事で死ぬ人は減る?」
義親が問う。
「すぐには減らん。だが、確かに少しずつ救える。」
「……じゃあ、もっと早く作ろう。」
子どもの言葉に、藤村は微笑した。
「そうだ。だから、お前たちが継ぐんだ。」
義信が前に出た。
「父さん、軍にも応用していいですか?」
「人を殺すためではなく、守るためにならな。」
「わかっています。」
久信は静かに海を見つめながら言った。
「父さん、言葉って不思議ですね。
紙に書けば遅い。口にすれば届かない。
でも線を通せば、心まで伝わる。」
藤村は小さく頷いた。
「それが文明だ。速さではなく、想いを運ぶための知恵だ。」
空の色が群青に変わり始める。
遠くで雷鳴がかすかに響いた。
藤村は空を見上げた。
「……あの音も、いつか線で伝えられる日が来るかもしれんな。」
「雷を、ですか?」
義親が笑う。
「いや、天の声をだ。」
その冗談に、三人の息子が笑った。
港を離れる船が、ゆっくりと灯をともした。
電信の銅線を積んだその灯が、海を渡っていく。
波の上に伸びるその光の帯が、まるで新しい時代の血脈のように見えた。
藤村は静かに呟いた。
「人の命は、いつも誰かの手の中にある。
ならば、その手を繋げばいい。
線を伸ばし、声を渡し、心を届ける。
それが、私たちの国づくりだ。」
夜風が頬を撫でる。
港の奥、倉庫街の屋根に掛けられた電線が、月光を受けて銀色に光った。
チリ……チリ……。
まるで、遠く九州へと響く祈りの音のようだった。




