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76.5話:根を張る者たち

いつもお読みくださり、本当にありがとうございます。


 『水戸藩から始まる幕末逆転録 〜俺、公務員だけど、日本を救います〜』が、2025年8月5日(火)のお昼更新(11時〜12時)にて、


日間パニック(SF)ランキングで、初の第1位をいただきました!


 ひとときの順位とはいえ、ここまで押し上げてくださった皆さまの応援あってこそです。心から感謝申し上げます。引き続き、歴史と現代知識が交錯する“幕末逆転”の物語を、精一杯お届けしていきます!

万延二年正月の末。未明の霜が残る江戸城下に、かすかな緊張が満ちていた。


 対馬の沖合いに、一隻のロシア軍艦が現れた――その報せは、まるで冷たい風が喉元に突きつけた刃のようだった。


 その名は「ポサドニック」。


 ロシア帝国が極東へと進出を強める中、ついにその矛先が日本の領土に向けられたのである。対馬の浅茅湾に突如として現れた鉄の巨体は、上陸と同時に兵舎の建設、砲台の設営を始め、島の北部に緊張を走らせていた。


     * * *


 「やはり、来ましたか……」


 江戸・西の丸下屋敷。常陸藩江戸詰の仮政庁にて、藤村晴人は報告書を静かに読み下ろしていた。


 机の上には、航路図、寄港記録、長崎奉行所から届いた逐次報告が並んでいる。いずれも、慎重に裏付けを重ねてきた「対馬動乱」の兆候だった。


 「昨年から繰り返されていた洋式艦の寄港、不審な測量船の接近、地元民との接触――全ては、布石だったわけですね」


 そうつぶやく晴人の声に、陪席していた中堅藩士がうなずく。


 「藤村様のご懸念、常陸政庁でもすでに共有されております。佐久間様からの指示により、哨戒拠点の設営、沿岸警備の強化、さらには英側との連絡調整も進められております」


 「ありがたい。象山先生の働きがあってこそだ。……私はここで、将軍家への奏上と、斉昭公・慶喜公への進言を急がねばならない」


 晴人は静かに立ち上がり、裾を正した。


     * * *


 同日午後、江戸・一橋家上屋敷。


 「対馬に、ロシア軍艦が現れました」


 その言葉に最初に反応したのは、一橋慶喜であった。


 「ついに来たか。……藤村殿、予兆があるとは聞いていたが、思ったより早いな」


 「はい。昨年末には、すでに測量船が島の北側を回っていた記録があります。朝鮮半島の情勢を踏まえれば、対馬は“どちら側”にも使える地形です。ロシアにとっても、それは同じはずです」


 斉昭は黙って耳を傾けていたが、やがてゆっくりと口を開いた。


 「晴人、これは“攻め”ではなく“試み”だな?」


 「はい。今の段階では、本格侵攻というよりも“常駐化のための様子見”です。ここで強く押し返せば、相手は引きます。だが、緩く対応すれば、なし崩し的に支配が定着するでしょう」


 「わしらは、どう動けばよい?」


 「江戸の将軍家には、すぐに幕議を通じて動員の手筈を整えていただきたい。加えて、イギリス公使ブルワー殿に対しては、すでに常陸政庁から通告を送っております。今は、幕府と英国が協調して、事を大事に至らせぬことが肝要です」


 慶喜が腕を組みながら言う。


 「幕府にとっても、外国勢力に対し『守れる領土がある』という姿勢を示す絶好の機会だな」


 「はい。今回の対応次第で、国内外に“今の日本がどういう国家であるか”が伝わるはずです」


 晴人の声には、理知と胆力が宿っていた。


     * * *


 同じころ、常陸・羽鳥政庁。


 佐久間象山は、報告を受けながら口元に手を当て、深く頷いていた。


 「藤村晴人……よくぞ、此度の兆しを見抜いておったな」


 傍らの幕臣が問う。


 「江戸との連携は?」


 「すでに動いておる。常陸政庁としても、外交部を通じて英国公使との非公式交渉を行っておる。加えて、長崎、下関、壱岐と対馬への中継警戒も配置済みじゃ」


 象山は地図を前に、独りごちる。


 「対馬は、ただの島にあらず。“極東の鍵”よ。ここを押さえることで、朝鮮・清・琉球・日本の全ての針路が一変する」


 外は雪混じりの風が吹いていた。


 だがその風を迎え撃つように、常陸と江戸、二つの地点で――静かに、だが確実に“侵略をはね返すための意志”が動き始めていた。

――対馬・浅茅湾。


 朝霧が晴れきらぬ海岸に、異国の黒艦はなおも不気味な影を落としていた。土砂を盛り上げた即席の塁が三段、木材を組んで建てられた兵舎が一棟。そしてその背後には、鉄の塊のようなロシア兵たちが、寡黙に陣を構えている。


 「……まるで、占領地のようじゃ」


 村の長老・佐志原惣左衛門が口を噤みながら、岩陰からその光景を見つめていた。


 傍らでは、若者たちが息を殺して槍を握りしめている。だが、村に残された武器などは、古びた火縄銃数丁と農具ばかり。これでは軍艦どころか、ロシアの見張り一人にすら歯が立たない。


 「何をする気じゃ、あの者らは……。島を奪うつもりか?」


 「わからぬ。だが、一昨日から浜の者が何人か連れていかれたと聞く。強制ではなかったが、訳のわからぬ命令を受けてな……」


 この島に、津波でも疫病でもない、もう一つの“異質な恐怖”が芽吹こうとしていた。


     * * *


 江戸城西ノ丸――。


 「常陸の言う通りかもしれん」


 老中・安藤信正は、渋面で藤村晴人からの提出資料を眺めていた。文面には、過去数年の海防記録、長崎奉行所からの報告、英国公使館との情報交換の経緯などが綴られている。


 「ロシアは、清の沿岸から朝鮮へ、そして次はこの対馬へと……順当に、道を進めていると?」


 「はい。列強の動向を見れば、彼らの“押し出し”が東へ向かっているのは明白。しかも、ロシアの動きには前例があります。オホーツク、樺太、そして千島……彼らは一歩ずつ、海から地を奪うのです」


 藤村の口調は淡々としていた。だがその一語一語は、鋼のような芯をもっていた。


 「幸い、英国公使ブルワーは、ロシアの膨張に強い警戒心を抱いております。我らがすべきは、英国と足並みをそろえ、ここで強く“拒絶”の意思を示すこと。さもなければ、対馬は第二の樺太になります」


 安藤が小さく息を吐く。


 「すでに幕議にはかけておる。水戸の意見ということで、反発もあったが……一橋様と斉昭公の名が後押しとなって、ようやく動きが出始めておる」


 晴人は頭を下げた。


 「出兵の範囲については、あくまで“防衛のための臨時措置”として整えられるよう、法制担当と調整を。加えて、報道の統制と、江戸市民への混乱防止もお忘れなく」


 「ふむ……おぬし、軍だけでなく民政まで見ておるのか」


 「“現場”に秩序があってこそ、国の柱は立つのです」


 それが、藤村晴人の信念だった。


     * * *


 翌日――羽鳥政庁。


 佐久間象山は外交部からの報告を読み上げていた。


 「英国公使ブルワー、我らの意図を理解。すでに香港よりフリゲート艦一隻を長崎沖へ派遣するとの返答あり。併せて、極東英艦隊が対馬沖に向けて展開準備中との報」


 「よし。ここで英との共同行動を明確にすれば、ロシアも引かざるを得まい。欧州同士での衝突を望むほど、今のペテルブルク政府は強気ではあるまい」


 象山の言葉に、周囲の幕臣や藩士たちが頷いた。


 さらに象山は、藤村晴人が提出していた“対馬現地支援計画”の書状を取り出す。


 「江戸の藤村から届いた新案。……対馬在住民への支援物資搬入、宗家への直接指導、現地巡検官の増派、および暫定的な常陸藩出先政庁の設置についてだ」


 「宗氏の領分にまで手を伸ばすのは危険では?」


 「いや、むしろ宗氏にとっても助けとなる。今、あの島に必要なのは“外からの秩序”じゃ。兵を派遣するだけでは、民の心は救えん」


 象山の言葉に、静かな決意が滲んでいた。


     * * *


 数日後――対馬・浅茅湾。


 ロシア軍艦「ポサドニック」は、艦の一部機構に異常を来たしたことを理由に、次第に撤収の準備を始めていた。


 だが実際には、それはイギリス艦隊が目前に迫っていたからにほかならない。


 湾外には、白い帆を広げた英国フリゲート艦がその姿を現していた。艦上の砲列は、いつでも撃てるように整えられ、ロシア艦の退路を封じるように湾を囲んでいた。


 「……異国の争いに巻き込まれておる、そう思うていたが……違ったのかもしれん」


 対馬の村長・惣左衛門がつぶやいた。


 「この国には……まだ、立ち向かおうとする者たちがいる。常陸という国の名を、ここまで響かせた若者がな……」


     * * *


 江戸・常陸藩邸。


 「――以上、対馬におけるロシア艦の動きは沈静化に向かい、現地からの報告でも軍事的拠点は撤去されたとのことです」


 報告書を読み上げた藩士の声に、藤村晴人はそっと目を伏せた。


 「……終わった、わけではありません。彼らは、また来ます」


 「ですが、今回は防ぎ切った」


 「いいえ、“押し返した”のです。だが、この一勝が“連勝”に繋がるとは限らない。次は、どの島か。どの港か。そして――どの民か」


 静かに、しかし確かに、晴人は見据えていた。


 地図の向こうにある、まだ見ぬ戦場の影を。

対馬・厳原いづはら城下。


 異国の艦が港から姿を消して三日後。城下の空気は、まだどこか張り詰めていた。


 住民たちの顔には安堵と警戒が入り混じり、道端では老若男女が不安げに語り合っている。


 「イギリスの軍艦が睨みを利かせてくれている間は良いが、またロシアが戻ってくるのではないか……」


 「幕府は動いてくれたが、普段からこうして守ってくれるわけじゃない……」


 「常陸の役人はしっかりしておった。あれほど早く物資が届くとは……」


 その“役人”たちは、すでに対馬城に詰めていた。


 


     * * *


 


 厳原城本丸。対馬藩主・宗義章むね よしあきらは、やや疲れた顔で政庁役人と向き合っていた。


 「常陸からの支援、痛み入る。まこと、民のためを思う対応であった」


 柔らかな口調の裏には、警戒も滲んでいた。大名としての矜持と、島国の当主としての孤独が混じるその声音に、応対するのは常陸から派遣された政務官・野田弥八郎であった。


 「お言葉、恐れ入ります。ですが我らが動けたのは、あくまで藩主・徳川斉昭公と政庁の判断によるもの。“対馬は我が国の盾である”――その認識なくして、この早急な動きは成り立ちませぬ」


 弥八郎は一歩踏み出し、懐から一通の書状を取り出した。


 「こちら、羽鳥政庁よりの正式文書にございます。対馬に対する物資援助の継続、ならびに外交・通商分野での連携を希望する意志が記されております」


 宗義章はその文を受け取り、静かに視線を落とした。


 数瞬の沈黙ののち、彼は言った。


 「……つまり、対馬が常陸と“同盟関係”を結ぶことを望まれておると?」


 「同盟とは申せませぬ。あくまで“提携”にございます。お互いを補い合う、地域安全保障のための繋がりであります」


 その言葉を額面通りに受け取るほど、宗義章は素朴ではなかった。


 だが同時に――この若き政体から放たれる“現実的な匂い”を、彼は無視できなかった。


 


     * * *


 


 その夜、宗家家臣団による評議の場。


 「常陸の提案、危うくはありましょうが……対馬の現状を考えれば、断る選択肢もまた難しゅうございます」


 「ロシアが本気を出せば、この島一つでは防ぎきれませぬ。今回も、結局は外の力に頼るしかなかった」


 「いっそ、“外”と盟を結ぶべきでは? 幕府の応援がすぐに来ぬなら、信じるべきは動いてくれる者のみ」


 議論は白熱し、やがて宗義章が静かに口を開いた。


 「……ならば、常陸の支援を受け入れよう。だが同時に、我らがこの島を守る“誇り”を失ってはならぬ。彼らが望むのは盟友か、それとも隷属か――それを見極めるのは、我らの眼だ」


 


     * * *


 


 羽鳥政庁。


 「対馬より、物資搬入の継続と政務交流を承諾する旨の文が届きました。宗義章公は、“常陸は海の盾”との評を自ら筆にお書き添えです」


 報告を受けた藤村晴人は、手元の茶碗に視線を落としたまま、ゆっくりと頷いた。


 「……盾とは、一度構えれば敵を防げるが、二度目には必ず試される」


 「次は……南でしょうか?」


 「いや、西も危うい。ロシアの艦は引いたが、その背後には清国の動揺がある。そして英仏は今、インドを舞台に拡大戦略を取っている。次の火種は、対馬ではなく――上海か、あるいは琉球かもしれん」


 晴人は立ち上がり、壁にかかる世界地図を見上げた。


 大英帝国の赤、ロシアの灰色、清の黄土、日本列島の小ささ――


 「だが、今日この日、日本はひとつの“戦わぬ勝利”を得た。それはこの時代にとって、何よりの武器となる」


 彼の声は、地に足をつけながらも、未来を睨んでいた。


 


     * * *


 


 羽鳥の小さな梅の木。


 わずか三年の歳月。それでも水戸から移された梅は、この地に根を張り、ようやくこの冬、ひとつの蕾をほころばせた。


 その木を見つめるのは、常陸から現地支援に赴いた若い役人である。彼は寒風の中、綿入れ羽織を胸元で合わせながら、その柔らかな花弁に視線を落とした。


 傍らの老人が静かに微笑む。


 「どこであろうと、水があり、土があり、陽が当たれば……花は咲く。人もまた、同じことよ」


 風が吹いた。冷たさの中に、春の予感が含まれていた。

羽鳥政庁の執務室。


 春人は、広げられた地図を前に、静かに筆を走らせていた。

 記しているのは、単なる備忘ではない。諸藩の兵力配置、港湾の水深、欧米列強の艦隊動向、各地からもたらされた密書の写し――すべてが、近き未来に直結する情報である。


 視線は鋭く、指先には一寸の迷いもなかった。

 まるで、この列島の運命を、自らの筆で描き換えるかのように、一つひとつを地図の上に刻んでゆく。


 「……大砲の射程、潮の流れ、風向き。これほど“地理”が外交を決する時代が来るとはな」


 独りごちたその声に、傍らの文官が静かに応じた。


 「先ほど、長崎奉行より密使が参りました。英国東洋艦隊、上海を離れたとの報です」


 春人の筆が止まる。


 「やはり、動いたか……向かう先は?」


 「断定はできませぬが、琉球、越南、あるいは……江戸湾との見方もあります」


 春人は眉根を寄せ、地図の中央に手を置いた。

 そこには、まるで無数の脈が交錯するように、航路、海流、補給拠点が細やかに書き込まれていた。


 「……いまだ我が国が、“一国”ではなく“諸藩”として見なされている証左だな。ならば――誰かが、示さねばならぬ。“日本”は、ひとつであると」


 


    * * *


 


 江戸・幕府老中屋敷。


 松平忠固が書状を読み終えると、重く沈黙が落ちた。

 紙の端を丁寧に揃えながら、彼はゆっくりと口を開いた。


 「……ふむ。常陸が対馬とここまで迅速に連携を取るとは。時世は、我らの手から、じわじわと離れつつあるのかもしれんな」


 声音はあくまで穏やかだったが、その底に潜む危機感は明らかだった。


 「だが、動いたのが徳川一門である以上、幕府としても無視はできまい」


 畳の上に正座する老中たちのあいだに、静かに波紋が広がっていく。

 その視線の先には、羽鳥政庁から届けられた“防衛連携の打診書状”があった。


 「幕府を経ずして、対馬へ直接打診とは……」


 「形式上は一藩に過ぎぬ。だが中身は……もはや“政体”に等しい」


 「これは――無視すれば独立を許し、介入すれば時勢を遅らせる。いずれにせよ、容易ならぬ局面だな」


 


    * * *


 


 薩摩藩邸・久光の私室。


 「なるほど……羽鳥の藤村殿、対馬に手を差し伸べたか」


 地図を覗き込みながら、島津久光が呟いた。

 その声は静かであったが、眼差しには確かな緊張が宿っていた。


 「南九州を睨むロシア艦の動きは、いずれ再燃しよう。だが――本質はそこではない」


 側に控える家老のひとりが、低く応じる。


 「御意にございます。藤村春人殿の動き、あまりに“先”を見すぎております」


 久光は手元の扇子を軽く握りしめると、遠くを見るように言った。


 「まるで……五年、いや十年先の景色を知っておるかのようにな」


 重臣たちは言葉を飲み込むように、深くうなずいた。


 「常陸を追うか、距離を取るか。判断を誤れば――我らもまた、“島”に取り残されようぞ」


 


    * * *


 


 対馬・厳原港。


 潮の匂いとともに、整然と積まれた木箱が並ぶ。

 干し飯、薬種、軍用綿布、筆記具、油――どれもが実用的で、緊急事態を見越した内容だった。


 その一角に、異なる木箱があった。


 「……これは、観測器材か?」


 港湾警備の役人が木札を見ながら呟く。そこには「観察用器材在中」と記され、見慣れぬ記号が刻まれていた。


 「海峡の潮流と、海底地形の測量に使うものだそうです。羽鳥政庁よりの手配と伺っております」


 そう答えた若い事務官の目は、ただ真っ直ぐに海を見据えていた。


 「……国の一省庁のような働きだな」


 そう漏らした役人に、事務官は答えなかった。ただ、静かに一礼し、再び海の彼方を見やった。


 “この備えが、やがて本州をも守る盾となる”


 彼の中にある確信は、たしかに潮風のように息づいていた。


 


    * * *



羽鳥政庁の屋上から、春人は遠くを見渡していた。


 夜の帳が下りた街は、まだ灯の少ない家々に静寂を宿し、川面には月明かりが淡く揺れていた。風は冷たくも澄んでおり、冬の終わりを告げる気配が、どこかに漂っていた。


 春人は手すりに両肘をつきながら、長く息を吐く。


 耳を澄ませば、人々の生活音が微かに届いてくる。桶の水を汲む音、幼子の泣き声、火鉢を囲む家族の談笑――それはこの国が、まだ生きていることを告げる確かな証だった。


 「守らねばならぬものは……名ではない、領土でもない。こうした“日々”なのだろうな」


 その独白に、誰が応えるわけでもなかった。


 だが春人の胸には、確かな灯がともっていた。


 すべてが変わろうとする時代にあっても――

 変えてはならぬものが、ここにある。


 彼は一歩、風の中へと踏み出した。

おかげさまで、週間・月間ランキングでも上位に入り続けています。


・週間パニック(SF)…第3位

・月間パニック(SF)…第3位

・四半期では10位以内をキープ、年間では32位に!


 長く読んでいただける物語であるように、しっかりと先を見据えて構成・描写してまいります。

 ぜひ、今後の展開もご期待ください!

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