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おいでよ!サノバビーチ!  作者: たけしば
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1-5 街に飛び入れピーポー超無限大!

今日はボクはお休みの日だ。今の所、週休二日制。火曜日と木曜日に休みを入れてもらっているんだ。せっかくの休みだ。今、住んでいる村をもっと知っておこうと思って、散歩をすることにしたんだ。村の家々は、敷地をブロック塀で囲っている為、迷路のような村になっている。まるで要塞の村のようだ。こういう村の造りはヤバミ大島では普通だとの事。村には小さな漁港があって、船はみんな陸揚げされてて、ちゃんと動くのかよくわからない。漁港の近くには墓地があるんだけど、お寺のような建物は存在しない。そういえば、神社っぽい建物も見かけない。でもなぜか、村の真ん中には小さな教会があるんだ。日本っぽくない雰囲気を感じる。

ある程度、村を探索したから、お昼ごはんを食べて、家の周りの草むしりをしようと思ったんだ。昼食を終えた頃、亀さんがやってきた。

「知り合いの中古車屋が10万円で車、売ってくれるって言ってるんじゃがね。自分が立て替えるから、英輝くん、今より新しい車、乗るのがいいと思うんじゃがねっち。」

まあ、なんと優しい亀さん。

「そんな、立替えなんて申し訳ないです・・・」

「まあ、すぐにとは言わないけど、せっかくなら今日、その車を見に行かんがね?」

「あ・・見に行きたいです」

っという事で、亀さんの知り合いの中古車屋さんに行く事になった。場所は村から遠い、山向こうの島で一番大きな『ナンダ』という名前の街にある。

山を登ったり下ったりと、細い山道を走り続けると、それまでうっそうと茂っていた木々は切り開かれてきて、進行方向に大きな港町が見えて来た。ナンダの街はヤバミ市の中心で、ヤバミ市役所もあるそうだ。例のトクステイツ会の大きな病院もある。他にもイオンの看板も見えた。山に囲まれた少ない平地に広がる小さな街というかんじである。海岸沿いの通りをしばらく走って、ようやく到着した。小さな中古車販売店だった。

「おーい、サメ男~。来たっちよー」

車から降りた亀さんは大声で呼びかけると、店の事務室の奥からおじいさんに近いおじさんがやって来た。

「ハゲー!早いじゃがね!」

早いと迷惑に思われるのかしら・・・

「ハゲー!この子がその、英輝くんかい?ハゲー、男とは思えないっちよー。かわいいの塊じゃがね!」

っと、ボクを見て、おじいさんに近いおじさんは述べた。

「あはは、よく言われます」

ボクはちょっと照れくさそうに答えた。どうだ、あざといだろ?

おじいさんに近いおじさんは、中古車屋のオーナーで、名前はサメ男。日本本土から安く車を買って、島で販売しているそうだ。サメ男さん曰く、島は潮風の影響を受けやすいから、中古車の終焉の地になりやすいそうだ。

「そうそう、車が必要って聞いて、台車で使っていた車だけど、カーナビもついてて、バックモニターもついてるやつがあるんじゃがね。走行距離は10万キロなんだけど、全然調子いいし、車検もまだ先の軽自動車だっちよ」

「カーナビはありがたいです。ちなみにあれですか?」

ボクはわざと大きなハーフトラックを指さした。

「あれはダッチだっちよ」

うん、ただ、その一言が聞きたかっただけなんだ。満足。一言満足。

サメ男さんが進めてくれた軽自動車は日産のモコだった。コンパクトの見た目の割には荷物は多く詰める中が広い作りをしている軽自動車だ。色は薄いピンクでかわいらしい。

「あ~、なんか、とてもいいですね!これで10万は安いと思います!」

っと、ボクはぶりっこぶりぶりと車をほめまくってみた。

「はげ~、そんなに喜んでくれたら。。。どうせ置き場所も無いし、廃車にしようと思ってたから・・・特別に1万円でもいいっちよ」

わあお、ボクは罪なオトコだぜ。

1万円なら、ビーチの日給手渡しのおかげですぐに支払える。財布から出したお金で車を購入するなんて、夢にも思っていなかったぜ。

かわいいは罪だ。

でも、引き渡し前に少しメンテをするみたいで、明日の朝、家まで持ってきてくれるとの事だ。ありがてぇ!車庫証明書とか、やってくれるとの事。ありがてぇ!

・・・あれ?住民票・・・まあ、いいか。

せっかく街に来たから、すぐに帰るのはもったいない。亀さんに案内してもらい、街を探索する事にした。

携帯ショップを見つけたので、新しい携帯電話の契約をして、新型のアンドロイド携帯をゲットした。その後、商店街を見に行く。寂れた商店街。シャッターがしまったままの店が目立つアーケード通り。郊外の大型店、ビックリ・スリーが出来てから商店街は廃れ、さらにイオンも出来たからさらに廃れてしまったそうだ。

帰りにイオンで買い物をして、村に向かって軽自動車を走らせた。

街の端っこに来た時、亀さんが漁港によってほしいというので、指示に従って街の漁港に入って行った。こいのぼりのような幟があがっていて、今日はシビがあると亀さんが言うんだ。漁港には直売所があって、そこでカツオの切り身のような魚の切り身が撃っていて、亀さんはそれを買った。

その晩、ボクは夕食を亀さん家でいっしょにすることになった。帰りに買ったシビ、シビってのは方言じゃなくてマグロの昔の呼び方らしい。そして、正体はキハダマグロなんだ。そのシビの刺身は、カツオのように血の気が強いけど、カツオまで臭みは強くない感じの、ニンニク醤油よりわさび醤油があう感じの、マグロモドキ感のある刺身だった。ボクはキハダマグロの刺身を食べるのが初めてだったんだけど、この癖のある刺身、ボクは好きになれる味だった。

後、ヤバミ大島の醤油は甘い。東京の醤油になれていると違和感があるんだ。甘い醤油で刺身を食べるなんて、刺身が勿体ないように思えたのだが、食べているうちに、この味もありだなって気持ちになるのが不思議である。

夜、寝る前に、夜空に向かって祈り、宇宙にいる母と念話を試みた。

でも、母さんは昨日テレパシーを送った相手の宇宙人が、地球侵略を試みている悪い宇宙人だとわかり、攻撃を仕掛けて、絶賛戦闘中との事だ。

夜空の星々に紛れて小さく瞬く光がほのかに点々と見えた。母さんが地球の為に戦っている・・・

頑張れ母さん。負けるな母さん。母よあなたは強かった。



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