07 今さっきレベルが上がったのに又上がったよ
俺とナターシャは王都の市場にやって来た。とても賑やかで随分多くの人が行き交っている。
「屋台で好きなものを買ってきて食べようか ?」
「うんうん !」
俺はオーク肉の串焼きと肉まんじゅう、そして鳥のスープを買ったんだ。
オーク肉は銅貨3枚(日本円で約300円)肉まんじゅうと鳥のスープは銅貨1枚だ。
ナターシャは肉や野菜をパンではさんだサムウェイとオレンの実のジュースを買って、合計銅貨5枚だった。
「あそこのテーブルが空いてる !」
二人向かい合って食べる。ナターシャのご機嫌そうな表情を見ているのも悪くないな。火傷の痕が可哀相だけど俺は気にしない !
「王都は初めてなのかい ?」
「うん、初めて」
スライムはオーク肉も肉まんも差し出せばたくさん食べた。肉はどこに行くのだろう ? 足りなくなったので同じ物をもう一度買ってきた。
「この子達… 名前は ?」
「スライムって呼んでるけど…… そうだね、だったら名前つけてあげようか ?」
スライムをテーブルの上に乗せて4人で名前会議だ !!
「すら太郎とすら二郎で良いんじゃない ?」
「うーん !」「キュムッ!」
「スラえもんとスラとりくん ?」
「うーん !」「…… 」
「いっそのこと、ロッキーとエイドリアンとか ?」
「ひどい ‼」「キュムムッ」
「ダメだー !!!! ナターシャが考えてくれー !!!」
「う~~ーー ?? ……スラコ… と… スラミ… ? 」
「普通だなぁって、おおっ !」
「キューンッ キュー キュー キュー キュキュッ ‼‼」
しかし、この名前にスライムはピョンピョン跳ねて喜んでいるようだ。
そんなにスゴい名前でもないと思うけどな~。まあ、オレの最低なネーミングとのギャップが功を奏したか ? ある意味、オレの功績じゃん。
「おっ、決まりだな。お前等は今日からスラコとスラミだぜ !!」
すると、スラコとスラミが少し光った気がしたけど、まあ、気のせいかな !
ところがスライムたちは名付けられたことで俺たちの知らぬ間にパワーアップしていたのだ。
それから、水や食料を大量に買い込んだ。更にナターシャは遠慮したけど服や靴を買ってあげた。
「さあ戻るよ、ナターシャ ! 俺の腕に掴まって、離すなよ ! イージー村の宿へ…… 転移 !!」
「あっ わわわー !!!」
「キュー !!」
王都からイージー村まで転移した。
「もう、離して良いよ」
「あっ… うん… 」
ナターシャはもう少し掴まっていたいと思っていた。ただそれは、好きな人に…… ではなく頼りになるお兄ちゃんに…… という気持ちだったのだが……
そして、いつもの宿に帰って泊まったんだ。
王都に泊まるのは気が進まなかった。女神といい、ギルドといい、良い印象が何も無いからね。
ナターシャは都会の雰囲気を喜んでいるように見えたから、彼女には悪いことをしたけれど……
まあ、彼女も冒険者としてそれなりに成長してきたし、俺たちの付き合いもあと少しの事だろう。
俺のレベルは15で、ナターシャは13まで上がった。そろそろあの森では上がりにくくなってきた。
そんなことを考えている最中、宿屋の女将さんにこの村の周辺のことを聞いたら、すぐ近くのイージーダンジョンは三階層の初級のダンジョンで、特に何の制限も無く初心者も安心して入れると教えてくれたんだ。
ダンジョンボスはゴブリンジェネラルだけど倒しても体や魔石は残らなくて、そこそこの経験値とごく稀にアイテムが得られるだけで、また次の冒険者の戦闘時には再生するようだ。
魔石が残らないのが大きなマイナスポイントのようで、それだと全然お金にならなくて冒険者には人気が無いようなのだけど……
「明日はイージーダンジョンへ行ってみようか ?」
「うん… 」
俺達は初めてのダンジョンなので、経験できると思えば調度良いだろう。
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翌日
朝からダンジョンへやって来た。
宿から本当にすぐ近くだったけど……
入口から普通に入れるけど誰もいないし、なんの変鉄もない普通の洞窟みたいだよ。
「本当にここで良いのかなぁ ?」
「う~ん… 」
疑問を感じながらも奥へ進んでみると、ゴブリンばかりが現れたんだ。
ゴブリンを倒して少したつと、地面に吸い込まれるようにして倒したゴブリンは消えてしまった。草原や森などのフィールドとは全然違うぞ !!
魔物が現れて、倒すとダンジョンが回収するのか ? ひょっとして俺たちも殺られたら吸収されちゃうのか ? きっとそうなんだろうなー。イヤだイヤだ(怖)!!!
怖い妄想を振り切ってゴブリンをどんどん倒すと、割とすぐに2階層へ進んだ。
2階層と3階層ではハイゴブリンやメイジゴブリンが混ざった。エンカウント率(敵と出会う確率)は高いけど、森の敵と変わらない感じだったね。このくらいの相手なら大丈夫だ !!
メイジゴブリンを倒して確認すると、俺とナターシャのレベルが上がっていたんだ。気が付くとそこはボス部屋の前だった。
それほど苦労せずに2~3時間でボス部屋まで辿り着いた。ゴブリンばかりで本当に何のへんてつもない、アイテムもぜんぜん無かった。
「人気が無いのも頷けるな。ボスを倒したら俺たちももう引き返そう !」
「うん… 」
そして、SPを触ろうか悩んだけど、うす気味悪いダンジョンの中では集中できないし、今のところは放置することにした。
ボスは情報通りゴブリンジェネラルだったんだよね。……ということは、やっぱりここが教えてもらったダンジョンで間違い無さそうだな。
俺が盾となって戦う。ジェネラルは俺よりもステータスが上で一瞬も気が抜けない。
向かい合うと今までの敵と迫力が全然違う。
ビクビクしながらも、牽制するようにして2〜3度、剣を振ってみたのだが軽くいなされてしまい、お返しとばかりにガツンッと強力なひと振りを浴びせられた。
ヤバい !! そうとう警戒していたから剣で受けることができたけど、ものすごい衝撃だった。
コイツ、すごく強いぞ。
それならばと、素早い動きで斬り付けようと狙ったけれど、読まれて受け止められてしまった。そして、つばぜり合いの形になった。
しかし、こうなれば俺達の必勝のパターンなのだ。
肩の上のスラコがゴブリンジェネラルに向けて酸を放った !!
シューーーー !!
「ブオッ !! ヴうあーーーーー !!!」
放った酸は間近にいたジェネラルの顔面に直撃すると、奴の視界は塞がれて一気に俺が押し込んだ。
ジェネラルは満身創痍の中でも薄目を開けて反撃しようとするが、そんな雑な攻撃など当たらない。
しかし、あんなに速く、強く、迫力のあった剣さばきが見る影もない。一人で窮地に陥るとこんな状態になってしまうのか ? 明日は我が身か、クワバラクワバラ !
当てずっぽうに振りまわす剣を何とか受け流し、確実に一撃づつ入れていく。そこへナターシャのファイヤーアローが放たれ勝負あり ! となった。
火魔法はゴブリンには、とても効果的な攻撃だ。
俺一人では倒せない強敵も二人と二匹で協力することで何とか倒すことができたんだ。
俺たちはダンジョンボスのゴブリンジェネラルを倒した。
ホッとしたところで、スキルをどうしようかと思って自分達を鑑定すると、俺とナターシャのレベルが又ひとつ上がっていたのだ。
「ええっ なんで ???」
「んっ ?」
「おかしい、なぜだ ?
ちょっと待ってくれよ !!!!
だって、今さっきレベルが上がったのに、又上がったんだよ。
ジェネラルを一体倒しただけなのにレベルなんて上がる訳がないよな !!
どういう事なんだ ?
もしかしたら、ここのダンジョンボスを倒すとレベルが上がるのか ?
もしそうだとしたら……
これは検証が必要だぜ ?!」
「うん… 」
暫くすると、俺達はダンジョンの外へ転送された。
「良し、もう一度ボスを倒そう」
「うっ うん… 」
「キューキュー !」
今度は二時間もかからずにボス部屋に到着したんだ。
このダンジョンは不人気なので、ほとんど他の誰かに会うことが無い。
普通にゴブリンジェネラルが現れて、問題なく倒した。
「やたっ… 」
「………… 」
俺はすぐにレベルを確認する。
「上がって……
)
いた…… !
やったぞーーーーー !!!!! 」
「うん… やたっ…… 」
「キューキュー !」
「ここのボスを倒すとレベルが上がるんだ !!」
オレが鑑定のスキルを持っていたから、たまたま良いタイミングでレベルが上がったから気付くことができた。それに、仲間のサポート無しではきびしかったろだう。どうにかジェネラルを倒す力を俺たちが身に付けていたから。
俺ひとりだったら、きっとボス部屋には入らなかっただろう。
本当にいくつもの偶然が重なってこの機会を得たんだ。
周回してダンジョンボスを倒しまくれば、たくさんレベルを上げられるかも知れないぞ !!
ケンタロー スキルマスター 16才 男
レベル:18 人族 異世界人
攻撃力:60
守備力:41
ラック:26
体力 :52
速さ :46
魔力 :40
HP:61/69 MP:21/39 SP:30
スキル:・探知LV1・転移・鑑定・アイテムボックス
ナターシャ 魔術師 14才 女
レベル:16 人族
攻撃力:17
守備力:20
ラック:15
体力 :25
速さ :15
魔力 :56
HP:23/30 MP:23/53 SP:113
スキル:生活魔法LV1・火魔法LV2・付与術LV1




