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20 ミサキは百合じゃ無いけどナターシャを取り込みたい


ケンタローとココアは王都に向かい、ミサキとナターシャの二人はケンタローが借りた一軒家に住まうことになったんだ。


初日は生活用品などの買い物と生活の基盤作りで、あっという間に終わってしまった。


ナターシャは若干コミュ症気味なところがあるので一人で買い物もお留守番もさせられないとミサキは思ったのだ。

ミサキも少しそういうところがあるので良く理解しているんだけれど、そのお陰でやりたいことはあまり捗らなかったんだ。


そして、二日目は町の商店に売り込みに行ってみたのだ。

ケンタローの置いていった鉄や銅の剣(ほとんどゴブリンの剣なのだが……)に剣術や電撃、布の服に物理防御や魔法防御を付与してそれぞれ一点ずつを試しに出してみたのだ。すると店主から……


「お嬢さん方、これをどちらで手に入れましたか ?」

などと聞かれてミサキはとっさにヤバイか ? と思った。


「師匠の付与したもので、私はお使いで来ました」

嘘はついていない。隣に師匠がいるだけだ。


「そうでしたか。剣はそこそこですけど付与術が素晴らしいですね。そういう事でしたら是非今後ともお願いしたいので少し色をつけましょう」


店主はそう言うと予想外の金額を提示したのだった。

剣術+3は5万ギルになった。物理防御+3、魔法防御+3の服と電撃の剣は3万ギルで合計14万ギル(日本円で約14万円)なってしまったのだ。


「スゴい♡ ! いえ、それでお願いします♡」

「んっ… 」

ミサキの瞳は金貨に変わって、彼女の脳裏では何らかの計算がスーパーコンピュータのように繰り返されていた。


「あの、実は取って置きのこれがあるんですけど……」

ミサキが取り出したのは鉄の剣に剣術+5を付与したものだった。


「うぬっ !! これは ? 剣術+5ですか ? 素晴らしい出来ですな !! 30万ギルで買いましょう !!」


ミサキもナターシャも、たまたま付与術のスキルを所持していたが、この国では付与術のスキルを持つものはそれほど多くなかった。特にレベル5以上は珍しく、その為これらのアイテムは大変高額で取り引きされていたのだ。


結局、商店では合計44万ギル得ることができたのだ。元手はほとんどゼロなのだからミサキは天にも昇る気分だった。

金貨4枚と銀貨4枚を使いやすいように金貨3枚と銀貨13枚と大銅貨10枚にしてもらい、巾着に入れて仕舞い込んだ。


「これならこの世界でも稼げるわ♡♡♡」

実は彼女。お金に目がない、お金大好き少女だったのだ。元世界では、高校生ながらに株式投資やFXからダウ平均や原油取引まで手を出す切れ者だったのだ。


二人は商店を出て、次の店(武器屋)を探して歩き出した。


程なく武器屋を見付けて、ミスリルの剣を1本買い、防具屋に行ってたくさんの布の服と皮の服を2着買ったんだ。次はこれらの素材に付与したい。


「良ーーーーし !! これで良いわねぇ !!」

「うん… ?」


しかし、ミサキは大変なことに気が付いた。このレベル5の物は全部ナターシャが付与したものだよね。私は精々レベル2までよ !

あああっっ !!!! 大変だ ! ナターシャがいないと全然儲からないよ !!


ミサキは高速演算を駆使してナターシャを取り込む作戦を編み出したんだ。


「ナターシャ ! 疲れたねぇ。市場でも行こうか ?」

「うんうん !」


良かったー、ナターシャは乗り気みたいだ。

スロベールの市場も人が多かった。ナターシャはサムウェイのパンで肉や野菜を挟んだものとオレンノ身のジュースを食べた。


ミサキはナターシャと同じ物と高級肉のハイオーク肉ステーキを大銅貨三枚(日本円で約3000円)で買い足してナターシャと半分こした。資金はさっき売れた剣のお金がたっぷりあるからね !!


「美味しいね~ !!」

「うんうん !」

それからミサキの強い薦めで食後に焼き菓子を食べた。薄い銅貨くらいの大きさで甘くて美味しかったけど、ナターシャはちょっとお腹を押さえてさすっていた。


その後更にお店を何軒か回って買い足りない食材や生活雑貨を買ったのだが、ここでもナターシャの喜びそうな服を買い与えたりしていた。


「ナターシャ ? 今日はいろいろ食べたり買い物したりして楽しかったね !」

「うん…」


「何が一番嬉しかったのかな ?」

ミサキはナターシャの好みをリサーチしようとしていた。

「ミサキと一緒が楽しい… 」

えええー ? ナターシャってば何て可愛いことを言うの ? だけど、リサーチしないと……


「ハイオークのお肉はどうだった ?」

「うーん… 」

「えっ ? 可愛い洋服は ?」

「うーん… 」

「何か欲しい物はないの ?」

「うーん… 」

「お姉さんが買ってあげるわよ♡」

「ええっ…… ?」


ミサキの企みは上手くいかなかったけれど、一緒に居ることが楽しかったと言ってくれたんだからある意味では上手くいったと言えなくもないかな ?


ナターシャってば案外手強いね !


「やあ、可愛いお嬢さん !! 荷物が重そうですね」


道端でお腹をさすって話している彼女等に後ろから声を掛けてきたのは少し明るい色の服を着た冒険者だろうか、体の大きい二人の青年だった。


こちらはお婆さんでもあるまいし、だとすればナンパだろうか ? 自分は地味だと思ってたけど、こっちでは意外とストライクなのかな ? ナターシャは相当可愛いしね。とミサキはかなり良い方に考えていた。


彼女は良いことが続いて少しばかり浮かれていたのだろう。元々異性絡みの諸々は疎いのだから仕方が無いのかも知れないけれど……


「セレブな旨そうなもん食ってやたらと買い物して、金持ちの貴族かよ ? いい気なものだぜ !」


そう言いながら、話しかける前から狙いを付けていたミサキの金貨満載の巾着をあっさりと盗み取り、もう一人の男は大きな荷物を奪った。


ミサキは呆然として、自分の身を守るのに精一杯、男達はスゴい速さで逃げて行った。彼等のスピードはかなり速くて、それなりのレベルだろうと思われた。戦いになってもミサキが勝てる可能性は無さそうだ。


やられた !! アイツ等、ステーキを食べてるところから見ていて、私達に目を付けていたのね。商店で剣を売っているところを見られたのかもしれない。

なのに私は巾着の金貨をチャリチャリと音を立てながら歩いていたのよ。ああ、馬鹿だったなぁ !! 後悔しても仕切れないよーー !!


あれ ? ナターシャがいない。ナターシャ !! 大丈夫かしら ?

「ナターシャ !! どこーー ?」


あっ逃走した二人の男の方を見やると、二人の影にナターシャを見付けた。

えっ ? 何で ? 連れて行かれちゃったの ?


ナターシャは、ガツンッと近くにいる方の男の脇腹を殴り付けるとボコッッと大きな音がして男は吹っ飛んだ。

「うわっっっっ !!!!」


「ハイサンダーボルトーー !!!」

「「うわあああああああーーー ‼‼」」

バタン、バタン !!


更にナターシャが魔法を放つと強烈な電撃が二人を襲い、二人とも、倒れて気を失った。


すると、ナターシャはスタスタスタと巾着の袋と大きな荷物を回収してミサキの方へ帰って来た。


「うん… 行こうか… ?」

「あっ、ああそうね。なんだかあなたってスゴいのね、ナターシャ !!」

「えっ そう… ?」


襲って来た男達は相当鍛えられていて、自分よりも強いと思ったけど、そんな彼等を簡単に捕まえて倒してしまったのだ。ナターシャのとんでもない力にミサキはとても驚いた。


家に帰って買ってきた物を二人で整理して晩御飯の準備をした。買ってきたパンとスープ、あともう一品をこれまた市場で買ったカモン鳥で作ることにした。


ミサキはキッチンや道具の使い方も、知らない世界のことで全然解らなかった。一人だったらどれだけ心細かったか ? ミサキはナターシャからいろいろと聞いたりしながら、一緒にあれこれしたけどナターシャが居てくれて本当に助かった。


「ナターシャ、ありがとうね !」

「うん… ?」

ナターシャは何がありがとうなのか分からなかったけど、とりあえずうん、と言っておいた。



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