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14/20

14 巨大パイソンが予想外のスーパー高額査定だったよ 

 

王都のギルドではホントに散々な目に遭ったけれど、タチの悪い奴らには、しっかりお灸を据えてやったので、多少は懲りただろう。

もっと普通にギルドが使えると嬉しいんだけどね。何故人の嫌がることを言うのだろう ? そんなことをしても何も良いこと無いのになぁ !?


それから魔物の買取りを頼んだらギルマスが対応をしてくれて、すんなりいきそうで良かったよ。


ちょうど今、倉庫でグレートレッドパイソンを取り出して見てもらっているところなんだ。


「ナターシャゴメンな、ごちゃごちゃしちゃってさ !!」


「大丈夫… 私もスッキリした… 」


「これでアイツら、大人しくなると良いな !?」


「うん… 」


「いやぁ、もう大丈夫っすよ。ヤンチャな奴らは大概オレの知り合いっすから。ケンタロさんに盾突くようなヤツはオレがシメてやるっすよ !」


「そっか。だけどオレは穏やかに暮らせればそれで良いんだ。手荒な真似はよしてくれよ」


「分かったっす」


「それで、どうですか ?」

オレは向きを変えて解体してくれる職員に話しかけた。


「いやあー近年まれに見る大物ですねー !!! 新鮮で品質も最高ですよ。解体冥利に尽きるというところですかねぇ ?」


「こんなデカイ奴を解体するなんてスゴいですね…… 」


「キューキュー !!」


「うううっ… 」


「ハハハハッ。私たちからすれば、このような大きな魔物を退治してくる君の方がとんでもないと思いますよ !! これは間違いなく災害級の化け物ですからね !!」


災害級 ? そんなにヤバい魔物だったのか ? 確かにこれまで戦った魔物とはケタ違いのステータスだったよな。危ないアブない、これからは気を付けよう !


コダックさんは終始ご機嫌で、査定に色をつけてくれたんだ。

魔石込みで550万ギル(日本円で約550万円)で引き取ってくれる事になった。


「おおおーー !! そんなに良い値が付くのか ? 有り難いよー ! これなら、しばらくはお金の心配もいらないし、良かったなナターシャ !!」


「うん ! ヘビ恐いけど、良かった…」


「ハハハ ヘビは俺がやっつけてやるから心配するなよ !」


「うーん、私も頑張る… 」


「アニキ ! こんな化け物みたいな魔物を倒しちまうなんて、あんたやっぱスゲーっすね」


おお !? 今度はアニキに格上げかい ? 俺もゴブオから随分出世したもんだね。まあ、好きに呼んでくれ。


それからワイバーンも80万ギルで買い取ってくれた。まぁまぁだね。

もちろん尻尾のお肉は出さなかったよ。旨かったからさ、焼肉用にしたいんだよね。


すると、倉庫を出てギルドの方へ行っていたギルマスが早足で戻って来て、俺たちに話し掛けた。


「ケンタロー ! お前とナターシャ嬢ちゃんは今日からBランクだ。俺から直接認可する形だからさ。良いよな ?」


「ぶほっ、スッ、、、スゲーっす !!!」


「はい、ありがとうございます」


「ございます… 」


「本当はAランクでも良いが急ぎすぎるのも何だからな…… だけどな、こういうモンは持ってれば助かることもあるんだぜ !」


「そうなんですか ? そんなにこだわりは無いけど、貰えるものは有り難くいただきます !」


「そうだ ! わしらのような年寄りの言うことは何でも聞いといて損は無いんじゃよ ! まあ、あまりうるさいと若い奴らには耳が痛いじゃろうからこの辺にしとくかな ?」


ギルドカードの事務処理や換金やなんやかんやを済ませてから俺達はギルドを後にした。


ギルドを出て市場で食事とたくさんの買い物をした。バネネとかオレンやアッポの実などの果物は店にあるだけ全部購入したんだ。


お金も余裕ができたからね、物質も充実してきたよ !


 「もう食えねえっすよケンタロっち」


一生ついてきますとか調子の良いことばかり言うゲルマ君が、まさかと思ったけど本当についてきた。

そして、ただ飯をガッツリ食べて満腹のおなかをポンポンとたていている。

 

 「じゃあごちそうさまだろ !」


 「ごちっす !」


コイツは何かの役に立つとは思えないが害はなさそうだし、まあー、好きにさせとこうか。

収入が増えて、やっとこれから先の目処が立って来た。そうなると、急に前から心配していた仲間の事を思い出して、ハッとした。


レベルアップが調子良く進んで止まらなかったってのもあるけど、今までぜんぜん余裕が無かったからな。目先のことで手一杯だった。


「ナターシャ、あのさ、前の異世界の仲間に会いたいんだけどさ……」


「うん、いいよ… 」


「仲間が嫌な目に合ってないか心配なんだ。ナターシャも一緒に行くかい ?」


「うん、もちろん行く… 」


ゲルマ君も付いて行くと言って駄々をこねたので、最終的にはオレの方が折れた。

しかし、変に気に入られたものだ。





さて、王城には随分久し振りに来た。追い出されて以来だ。


「うおー !! スゴいっす。感動もんっす」


「んっ」


「キュ〜 ?!」


当然、転移のスキルで移動は一瞬だった。

しかしなあ、あの時は叩き出されるようにして追い出されたんだよな。あの感じじゃあ普通に訪ねても入れてもらえないだろうな。


とりあえず、探知のスキルで探ってみた。レベル5で100メートル先まで人の気配を追えるけど、城の外からでは仲間は見つけられなかった。


森ではとても役に立つんだ。だけど、大きな城では距離が足りないのか、そしてまた、途中で探知を阻害されているような気もする。

何かそうした対策がされてるのかも知れないな ?

それなら仕方がない。


「隠密のスキルで潜入しようか !?」

「んっ !」


俺達の隠密スキルのレベルは5だ。探知と隠密、非常に実用的でスパイ活動には必須だろう。よっぽどじゃなければ見つからないはずだ。

もしそうなったとしても俺はレベル87でナターシャは85。相手の命の方が心配なくらいだ。


城の中は入り組んでいて、残念ながら経路をハッキリとは覚えていない。ただ、あの広間は3階くらいだったはずだ。


狭い通路を監視している兵士のすぐ隣を通った。

どうしても、こうした関所のような場所を何か所か抜けなければならない。不審者を簡単に奥へ通さないように工夫されているのだろう。


僕らは隠密のスキルで完全に気配を消して、兵士の隣を通った。

バレないかと、すごくドキドキする。


大丈夫だった。


人は結構多いけど隠密のスキルを使って上手く気配は消せているようだ。今のところどうにか問題ない。ドキドキは止まらないが、誰にも悟られずに順調に進んでいる。


「楽勝だね。何とかばれずに来れたね !」

「んっ… 」

「キュー !」

 

 「あっしまった。楽勝って言ったのに、さっきまで一緒にいたゲルマが居ないよ。」


「むむ ?」


 思い返せばあいつは隠密のスキルが無いし、俺たちとはレベルが違いすぎて、進むスピードについてこれなかったのかな ?


 「どこかで面白い人か美味しそうな物でも見つけたのかな ?

  それか帰ったのかな ?  

  どうしようか ? 

  まあ、去る気ならそれで良いし、そうでなくても、アイツなら何かあっても上手く切り抜けるだろうってことにしとこうか ?」


 「んっ」


 「キュー !!」


ということで、先へ進むことにした。

しばらく進むとやっと仲間たちの気配がした。

良かった。

まだ、状況は分からないけど、生き残っていてくれただけでも良かった。

僕らは少しペースを上げて気配のする方に進んでいった。


「おおっっ !!!! 見つけたよ !! イチカだ !」


まだ少し距離があるので急いで近くに行く。すると二人の文官とダークウルフがイチカと一緒に居た。


申し訳無いけど文官には当て身を入れさせてもらった。

二人共に一瞬で崩れ落ちる。怪我をしないように寝かせてあげた。


ダークウルフは探知スキルに味方マークが付いているから使い魔なのだろうか ?

かすかな記憶によれば、確かイチカはテイマーだったような…


「えっ ?????」


突然、文官が崩れ落ちるように倒れたのを見て、イチカはとても驚いていた。

オレたちは気配を完全に殺しているため、彼女はオレたちの存在には気付いていない。驚くのも当然だ。


「大丈夫だからね !」


「大丈夫… 」


イチカとダークウルフは突然文官が倒れたので驚いてかなり警戒していた。なので、俺とナターシャはひと声かけてから隠密を解いて姿を現した。


「俺だよ ! 久し振り、元気 ?」


「ケンタローーーー !!!!!! 良かったぁ !!!」


イチカはシュタタタタっと駆け寄って来て俺に抱き付いた。


「むむっ… !!!!」


「ええええっ ?

 大丈夫かぁ ?

 ええっ ?

 俺達、多少は仲良しだけど、そんな抱き合う程の関係じゃ無かったと思うんだけど ???

 どうした ?

 ここの生活って、そんなに辛かったのか ?」


「バウバウバウバウ !」


「キューキューキューキューキューキュー !!!」


ウルフもスラコ達もナターシャも、ものすごく動揺してるぞ !


女子に抱き付かれるなんて元世界では経験したことも無いしスゴい嬉しいけど、動揺しちゃってあんまり長く耐えられないからなあ。俺ってダメダメだなーー !!


「ゴメンね。ケンタローを捜したんだけど見つからなくって、心配してたのよ本当に ! 私達もギリギリだったの。だってとうとう昨日、ミサキも追い出されちゃったし……」


そうかぁ、イチカ達もいろいろあって、かなり動揺しているみたいだなー !?


「何故追い出されたんだ ?」


「……あの子不器用で、レベルとかステータスの事は女神様に言われてたわね。そんなだからさ、私だって、いつ追放されるか分からないから不安で不安で… ミサキ大丈夫かなぁ ?」


「心配だな。どこに行ったか知らないか ?」


「突然だったから全然何も分かんないんだよーー !! あっ そうだわ !! この子だったら匂いで分かるかもね ? ココア ! どうかな、分かりそう ?」


「わうっ !!!」


「行けるって、ケンタロー ! どうかな ? ミサキのことお願いできないかな ?」


「えっ ? お願いって何をだよ ? 俺達とココアでってことか ?

 ん〜〜………


 良いぜ、任せてくれ。

 うーーん… !?

 あっ、じゃあスラコ、スラミ ! お前らがココアのかわりにイチカを守ってくれ !」


「キューキュー !!」


スラコ達は分かったと言わんばかりにイチカの肩にピョーーーンと乗った。


「良いの ? すごーい !! 赤くて白くってスベスベで可愛い♥」


「キューーン♡」


「おおっ ! さすがテイマーのイチカだな。仲良くやれそうじゃないか ?! コイツらは酸やブリザードや電撃を吐くし、多分お前より強いぞ !」


イチカはレベル40で前より二つ上がってた。そんなにレベリングしてないんだな ?

高レベルだと中々上がらないし、しょうがないか ?


「うん、分かるよ。私も一応テイマーの端くれだからね。ところでケンタロー、このカワイイ娘は彼女なの ? アンタ、そうとうシャイな感じだったのに、異世界に来たからイメチェンでもしたのかな ??」


「チガウチガウ !!!!!! ナターシャはスゴく厳しい環境に居たからな、助けたんだよ ! それからなんだかんだで助け合ってるんだ !」


「そう、助け合ってる !!」


おおっ ! ナターシャが腕を組んできた !


「へーーーーーー !!」


何だナンだーー ?! 二人とも、別にそいつもコイツも彼女でも好きでも何でもないのに、ちょっとだけ変な空気だぞ ?! どんなに冷静に分析しても、モテてるまでは絶対届いてないはずだろ !? 女の娘ってホントに分かんねーよ !



さて、ここは女子部屋で男子部屋は女神の近くのようだ。しかし今、残りの三人は女神と戦場に行っているそうだ。


女神の魅了は女子は気付いて解除できたけど、男子は傀儡状態だそうで、状況はかなり良くない。


更に情報交換をして王城を出た。隠密で……


「うわあ、消えた、隠密って言ってたわね、スゴいスキル ! それに何だかスゴいオーラまとっちゃって、結局ケンタローが一番凄いのかもね ? ハルトとリューイチはすっかり女神様の言いなりだしねー !」




「さて、ココアと一緒に頑張ってミサキを捜すことにしようかね !?」


「バウ !」


「うん、頑張ろ… 」


王城の中はココアを抱えて脱出した。

城さえ出てしまえば後は姿を現しても大丈夫だ。ここからはダークウルフのココアの嗅覚が頼りだ。

俺とナターシャは後を付いていったんだ。


ココアは鼻をクンクンしながら街中を少しずつ進み、くねくねと右へ行ったり左へ行ったりしながら、だいたい北の方へ北の方へと進んでいった。


「どうだ ? 大丈夫かい ?」


「バウバウッ !」


大丈夫だぜって感じか ? ココア、お前スゴいな、頼むぞ !


ココアは鼻をクンクンしながらそのまま少しずつ進み、やがて北門の方へ行き、更に町を出てしまった。


「ええ ? 王都を出たのか ? これは心配だなあ…… 急ごうか !?」


「うん… 」

「バウーーー !!」


更に街道を進み森へと向かう。もう夕方だというのに……


「魔道師でレベル20そこそこのアイツじゃあ一日でこの森を抜けるのは難しいだろうな ?

引き返しているなら良いが、これはマズイぞ !!」


「うん !」

「バウ !」


ココアも俺の言うこと理解してるっポイな ? 返事するし……

かしこい奴だ。こういう時は頼りになるな !!





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