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11 心に沁み入るような癒しの光がハラハラと……


この日は何のトラブルも無くダンションボスを20回倒しレベルを20上げることができた。更にその翌日は30回倒して、俺のレベルがなんと77、ナターシャは75になってしまった。驚きだ。


二人共にSPは1000を軽く超えたので大量のスキルを取る事が可能になったのだ。


「スキルどうしよっか ?」


「お願い… 」


「じゃあ、宿に帰ってゆっくり考えようか ?」


「うん… 」



さて一任されたものの、どうしようか ? 宿の晩御飯を食べながら考えた。

今日のメニューはボロロン鳥のステーキだった。


とりあえず今、所有しているもので使えそうなスキルはレベル5まで上げることにした。

レベル1から2に上げるのにSP20、レベル1から5まで上げるのにSP140が必要だった。


いろいろと悩んだけど結局、俺は駿足、拳闘技、威圧、縮地、毒耐性、麻痺耐性、魅了耐性、風魔法、物理防御、魔法防御を、ナターシャは探索、探知、雷魔法、物理防御、魔法防御、毒耐性、麻痺耐性、魅了耐性を取得した。


魅了は女神対策だ。

ナターシャが一人でもやっていけるようにと考えて、スキルを取得したんだ。


「ほええーー ! スゴい…… 」


ナターシャは自分のステータスを見て驚きの声を上げている !! んっ ? 驚きの声だよね ?


「俺もナターシャもスゴいステータスになったね !」


「うんうん !」


「ナターシャはもう一人でもやっていけるんじゃないのか ? 俺なんかと一緒に居なくても良いんだよ。俺は少し寂しいけどね !」


「えええええええっ… ???」


元々厳しい環境に置かれたナターシャを助けたいとは思ったけど、このまま一緒に行動するなんて考えてなかったんだ。

オレみたいな素姓の知れない、明日の暮らしも見当のつかない奴なんかと一緒に居ても良いこと無いだろうし、若くて未来のある女の子の人生を預かるなんて、有り得ないし想像もできないよ。


最初の約束なら、卒業しても良いくらいの実力は十分過ぎるほどに身に付いたはずだ……


「私、邪魔かな… ?」


「全然邪魔じゃないよ」


「役立たず… ?」


「ううん、スゴく助けられているよ」



☆☆☆☆☆一方のナターシャはこれまで、生きる希望が全く何も見えなかった。


しかしそこに突然現れたケンタローがふと口にした"七色の未来"というものが、実体ははっきりと見えているわけでは無いけど、なにやら朧気(おぼろげ)に見えてきたような気がするのだ。


それはやっぱり彼がもたらしたもので、そんな今となってはケンタローの事を神様のように崇めるようになっていた。そして感謝の気持ちにはいくらか好意も混ざっていた。


しかし口数の少ない彼女の気持ちは、女ごころの分からない鈍感な少年にはぜんぜん伝わっていなかった。★★★★★


 感謝の気持ちはつのるばかり。

 だけど想いは届いてないと気付いた。

 このままでは、置いていかれてしまう。

 これまでのいつかのように……


 それは悲しすぎる !! 

 心に絶望がよぎる。


 どうにかしなきゃ !

 そういえばいつかどこかでこんなことを耳にした。

 「想ってるだけでは伝わらない。言葉にしなければいけないよ」


 だから、ナターシャにしてはかなり頑張って想いを言葉にのせてみた。


「一緒に行ってケンタローを助けたいな…… 」


「あっ ありがと…… 」


俺は辛い環境のナターシャの手助けをしたいと…

俺が守らなければと思っていた方なのに…


彼女のなんでもない、助けたいって言葉が嬉しくって……


何か胸がジーンとしてしまって……


自分でも知らないうちに涙がこぼれていたんだ !


すると、ナターシャは何も言わずスッと近寄った。


何をするのかと思えば、オレの肩に手をかけ…


やがて優しく包容して……


背中をポンポンしてくれた。


いつ以来だろうか ? ほんのりと人の温もりを感じた。

ホントに優しい子だ。




俺はこの世界に来てからずっと、厳しいことばかりで頼るものも無くて思っていたよりも張り詰めていたのかもしれないな。

やる事が次から次にあってドタバタしていたけど、自分で思っているよりも精神的に辛かったのだろうか ?


ダメだ、ダメだ !

そんなことされたら、号泣しちゃうじゃないか !

いやいや、泣いてなんかないぜ ! ちょっとだけ涙がこぼれちゃっただけなんだ。

男だからな。人前で泣いてるのなんて見られたら恥ずかしいからな。

オレはシャツのウデのところで目から出たヤツをぬぐって、手の甲でまぶたをグリグリした。


「ずっと一緒にとまでは自信が無いけど、もう少し助け合ってやっていこうか ?」


「うん 」


「じゃあ改めて宜しくな !!」


「よろしく… 」


俺達は両手で握手をした。そして、その握手の上にスラコとスラミがピョンピョンピョンと移動してきて、4人で宜しくという感じでプルプルしていた。


「ごめんごめん ! スラコ、スラミも宜しくな !!」


「フフッ… カワイ… 」


「キューキュー !!!」


「あらあら。あんた達、心配してたんだけど良い感じになって来たわねぇ」


「心配掛けてすみません。俺がもう少ししっかりしてたら……」


「あんたもまだ若いんだから…… ほら、このお菓子サービスしとくから元気出しなさいよ !」


「わああ… !」


「あっそう言えばナターシャ ! MPはまだ残ってるよな。火傷の痕に回復魔法を掛けてごらんよ ! ひょっとしたら……」


「あっ…… ‼ うんうん」


「ヒッ ヒール !!」



「ダメダメ…… ヒールじゃないよ、ハイヒールでも多分ダメだ。最低でもグレートヒールじゃないと !」


ナターシャの火傷した腕を良く鑑定してみたら治療が可能だって判ったんだ。決してハードルは低く無さそうだけどな……


「うん !!」


「グレートヒールってあんた、冗談キツいよ !! ハハハッ、女神様じゃあるまいし…… 」


そうなのか ? グレートヒールは女神級かぁ ?


「グッ グレートヒール !!!」


シュバッッ…… ボムッッッ !!!


魔力は霧散してしまった。


「ほらぁ、ムリムリ ! まあねえ、あんたたちの気持ちは分からないでも無いけどね !!」


「レベル5でもダメなのかぁ ! 良し、ナターシャこうなったらあとふたつレベルを上げて7にしてみよう ! SPはまだ行けるからな !」


「うっ、うん !」


「えー ? 本気で言ってんのー ?

 逆にスゴいなぁ !

 ハハハハハ、まああんたらはまだ若いんだし、せいぜい頑張りな !」


「さあ、これでどうだ !! 頑張れ、ナターシャ !!!」


「うん !

 スーー ハーー。

 ……

 いくよ…

 グレートヒーーール !!!!!!」



すると今度は先ほど霧散してしまった魔法とは打って変わって、ナターシャの周辺には強力な魔力と共に金色の光が放たれたのだ !!!


そしてその魔法の光はたくさんの優しい金色の粒となりハラハラと舞い降りていく。


「あっ… あわっ… おおおおっ…… 」


俺達の誰も見たことも無い、超高度の魔法だった。


(まばゆ)くも、心に沁み入るような癒しの光が彼女をまとい、ナターシャの火傷を負った身体は少しずつ、顔も腕も足も、みるみると健康な肌の色を取り戻してゆき……  何ということだろう、色白で美しい少女の本来の姿を取り戻したのだった。


俺達は奇跡の魔法の一部始終を目の当たりにしたんだ。



「えええええええええええええええええええええええええええええっっ !!!!

 うわあーホントにーーー ???

 ほんとにやりおった !

 うわああああ !!

 あんたらすごいわーー !!!!!」


「オオオオオーーーーー !!! やったぜっ !!! 」


「キュー キュキュー キュー キュー キュー !!」


ピョコピョコ ピョンピョン ピョンッ ピョンッ ピョンッ……


スラコもスラミも、ものスゴい勢いでジャンプして興奮して喜んでいるようだ。


まるで、夢か幻の世界のようだった。

ほんとうに素晴らしい !!


「なんて魔法なんだ ! 異世界万歳。バンザーーーーーーイ !!!」


「本当にキレイになって……

私よりも全然キレイな肌ねー。ちょっと妬けちゃうわ !

だけどナターシャ、良かったわねーー ! その辺の女の子よりも、全然可愛いわよ !!」


「えっ ? うん… 」


「やったやったー 良かったあーー !! 良かったなあ、ナターシャーー !! うううっ 良かったなあ」


「うんうんうん !!」


「キュー キュー !!」


どうにも涙腺の緩んでしまった俺と宿屋のねーさんは、涙を流しながらナターシャに抱きついて、スライム達もつぶれそうなくらいに抱き合って、みんなで喜びを分かち合ったんだ。


いつもうつむいてばかりのナターシャが、顔を隠していたストールのような布もぱぱっと取り払って、真っ直ぐ前を見て、腕や足の痕があったところを何度も見ていた。


もうなんて言って良いのか分からないほどに嬉しかった。

紛れもない異世界に来て一番嬉しい出来事だったんだ。

それどころか、生まれてから今までで一番嬉しいことなんじゃないかな !? 

あゝもちろん、元世界の時からね。


美しい肌になったというだけじゃ無いんだ。

彼女の持ち合わせた才能と能力なら、これからたくさんの第2のナターシャをも救えるはずなんだ。


彼女には治す立場の喜びも待っているはずだから……


そうなれば、本当に七色に輝く素晴らしい未来が拓けていくことになるだろう。

本当に良かったな、ナターシャ !!!

ああ 良かったー !


それから、この前助けたシャルミーノとゴン、そしてモーリーの三人組にどうやら懐かれてしまった。

主にナターシャがね。

彼らは夢いろ亭のすぐ近所に住んでいるようで、今日も遊びに来ては、オレからは大盛り肉うどんをタカっていった。

あーシャルミーノは普通盛りだった。

まあ、こういうのも慣れてなくて照れくさいけど悪い気はしないよね。



ケンタロー スキルマスター 16才 男

レベル:77 人族 異世界人

攻撃力:237

守備力:171

ラック:62

体力 :218

速さ :169

魔力 :100

HP:203/262 MP:21/103 SP:362

スキル:身体強化LV5・駿足LV3・威圧LV5・剣技LV5・拳闘技LV5・縮地LV3・探索LV5・探知LV5・隠密LV5・毒耐性LV1・麻痺耐性LV1・魅了耐性LV5・風魔法LV5・物理防御LV5・魔法防御LV5・転移・鑑定・アイテムボックス


ナターシャ 魔術師 14才 女

レベル:75 人族

攻撃力:76

守備力:108

ラック:44

体力 :129

速さ :103

魔力 :220

HP:103/130 MP:19/213 SP:577

スキル:身体強化LV5・探索LV1・探知LV1・隠密LV5・毒耐性LV1・麻痺耐性LV1・魅了耐性LV5・生活魔法LV5・火魔法LV5・雷魔法LV3・物理防御LV5・魔法防御LV5・回復魔法LV7・付与術LV5



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