紅き剣士 その1
文章は全体的に拙いです。
ある程度許容して下さい!
俺は、大陸の伝説に登場する「赤の剣士」と呼ばれた父と、「白き巫女」と言われた母の間に生まれた、平凡だが元気な男だった。
姉は伝説の「レッドナイツ」こと「赤い騎士団」の団長で、生まれた時からずっと一緒だった。
母は俺を産んで直ぐ、呪いによって亡くなってしまった。
そして父も、俺が生まれて直ぐに見えたたった一回の哀しみと安堵が混ざった笑顔を見て以来、姿を消した。
「今何をしてるのだろう?」そう時々思う。それでも、答えは返ってこない。
もちろん俺にとっての家族といえる家族は姉しかいない。
生まれて直ぐ、姉の「赤い騎士団」の直属の組織とやらの管轄の「ラスマ村」という村に預けられた。
生まれた頃から13年、ずっとラスマ村に住み、日々剣の鍛錬に励んでいた。
姉は剣の時だけ「師」だった。 伝説と呼ばれた赤い騎士団の団長、絶対に追いつく。
小さな声で、大きな決意と共に、そう誓った。
それから毎日を剣に捧げ、時には村の将校と手合わせをし、確実に成長を遂げた。
そう思っていた。それでも、いつまでも姉は背を向けていた。
大きく可憐な「最強」と言われた姉は、振り向きもせず、唯其処に止まったままだった。
姉が王国最強の赤い騎士団の団長、それなのに実力は並くらいだなんて、俺はどうして弱いんだ?
「とにかく、訓練場に行こう」
そう、声に出した。
「訓練場にはやはり誰もいない....か。姉さんとまた手合わせをしたいな。」
夜の訓練場は危険だ。
暗くて視界が悪く、地形が分かりづらい。
暗いから無理、そんなものは甘えだ。
剣士たるもの、実力で示さないと姉には追いつけない。
俺は追いつく。いや追い抜く。
その輝く剣を超える輝きを生み出して、きっと。
ふとした瞬間だった。
俺は背後からいきなり奇襲をかけられた。
「....誰だ!」
激痛が走る中、大きな声で叫んだ。
「...?」
誰だ。そもそも人間なのか?
訓練場に極希に侵入してくるモンスターでも、こんな攻撃をする事はない筈だ。
そう考えるのは、時間の無駄だと直ぐに気付いた。
「少年、貴様があの赤髪の剣士の弟なのは知っている。大人しく来てもらおう。」
脚が震えるこの恐怖と、絶望を象徴するかのような数多くの傷を持つ魔族らしき者の姿がそこにあった。
「私の名前はスカー。死ぬ前に名乗っておこうか。」
圧倒的な威圧感に、俺は手も足も出なかった。
いいや、こいつには勝てないと本能が言っているのだ。
戦わないと、死ぬ。
こんな時に姉がいればと、そう考えてしまう自分の弱さというのを実感しながら、ひたすら絶望した。
「 貴様の命、狩らせてもらう。」
「 ...ッ!」
俺はこんな所で負けるわけにはいかないのに。
俺はまた、守られるだけの剣士なのかよ。
俺は守る為に剣士になるんじゃなかったのかよ。
守る為に力が欲しい....圧倒的な力が欲しい!
その瞬間だった。
『 私の名前は天より出でた神の代行者、ガイン。原石と共鳴する正義の少年よ。力を貸そう。 』
身体に激痛が走る。
「あ゛あ゛あああ゛ああ!」
先ほどとは比べ物にならない、まるで生き地獄のような激痛が、俺を支配する。
「 貴様...この力は一体!? エーテルの原石が光っているだと?」
『「執行します。」』
圧倒的な破壊の力が溢れるのを俺は実感した。
「貴様、次会うときは命無いものと思え。」
『 逃しません。』
「クソ...これが原石の力なのか...?」
「ヘニルを主とし、我を時とし、力を代行する。 少年、さらばだ。」
『標的の火のエルの消滅を確認。離脱します。』
俺はその時には、意識を失っていた。
記憶も次第に無くなり、あの激痛の後の記憶が無くなった。
それでも俺は覚えていた。
神の代行者、ガイン。
そう名乗る彼が俺に貸した力の使い方を。
溢れ出る「破壊」を。
俺は、それでも姉に追いつけない。
その夜、自分の力を確認する為に必死に考えた。
考えるうちに夜は終わる。
考える暇があるなら剣を振れ、そう教わった筈なのに、俺は考えるのをやめなかったのだった。
あの力の事だが、この世界は魔法というものがあるらしいが、というよりあるが、俺がその素質があると村の占い師に言われた。でも、そんな物に頼る選択を俺はしたくなかった。
俺は剣を極めると決めたのだ。
最強の剣士になると決めたのだ。
護りたい者を護るんだ。
俺は、ナイトエンペラーになると決めたのだ。
破壊に支配される自分を情けなく思いながら、俺はそう決心した。