プロローグ
この世界では誰もが必ず色能力を使う事ができる。
色能力には六つの色が存在し、赤、青、黄、緑、白、黒にわけられる。
その為、古代の人々は自分と違う色の者を怪しみ、終いにはその者達を集落から追い出した。
そして、人間は同じ色の色能力を持つ者同士で国を築き上げた。
その国は赤国のサンライン、青国のシーランス、黄国のライアント、緑国のプラントール、白国のインフィスト、黒国デルキシニアである。
国ができた頃、人々には色能力の色が同じ者が仲間、それ以外は敵という感情が長年に渡り植え付けられていた。
そのため、国同士の壮絶な戦争が起こり、世界は破滅に追いやられた。
しかし、そこにある一族が現れた。
その一族の名は純白、ピュアホワイトとも言われている一族であった。
その一族は姿を現すと、戦場を飛び交う全ての色魔法を自らの魔法で受け止めた。
それから時が経つにつれ、国々の仲も改善され戦争も終戦を迎えた。
「とまぁ、こんな感じですかね。汚れのない白……存分に汚してやりたいですね…グスス」
1人の女教師がゲスい顔で言う。
「先生、チャカ先生! 素が出てますよ。」
副担任のエヴァンが担任である女教師に注意する。
「ひっすいましぇん! みんな? 変な人みたいな視線を向けないでー!」
「向けてませんよ。」
1人の生徒が教える。
「あっ、え? 向けてないの?」
「はぁ…チャカ先生、子供達の前でそんな事は言わないでください。それと、いつも思うんですが被害妄想が激しすぎます。」
「それは癖というか何というか、私にはどうする事もできなくて」
「はぁ…本当に何で貴方みたいな人が教師になったのやら。」
エヴァンは溜め息を漏らすとそう嘆いた。
「エヴァンせんせー、そんなに溜め息してたら幸せが逃げてっちゃうよ?」
「そうだぞ! エヴァン副担任!」
「ありがとうナリア。先生これから気をつけるね。 アウス、なんかその呼び方だと軍の兵みたいだからもうやめてくれ。」
「なんだよ!かっこいいのに!」
「いや、響きはよくてもよくよく考えたらめっちゃ微妙な事に最近気付いたんだよ。」
「そうなのか…」
アウスはこの呼び方を気に入っていたらしく少し落ち込む。
「あはは。まぁ、面白いからいいか。」
エヴァンはアウスに気を使い了承する。
「ほんとか!」
「ああ。」
「みんな、今日の授業は今のが最後だからもう帰ってもいいわよ。」
担任であるチャカがそういうと、少しずつ皆教室を出て行く。
生徒達が皆出て行った事を確認すると、エヴァンとチャカは教員室に向かった。
エヴァンは教員室のドアを開けると中に入る。
チャカもその後ろに続いて中に入る。
「来ましたか2人とも。少し話があるのですが、今は空いてますか?」
「大丈夫ですよ。校長先生。」
「私も大丈夫です。」
「では、話します。次の月曜日にそちらのクラスに転校生が来る事になったので、その子の対応を頼みます。入学手続きは既に済ませているので、学校の案内をしてあげてください。」
「その転校生はどこの子ですか?」
チャカが校長に尋ねる。
「白国出身の子ですが、生徒達やその他にも公表しないでください。この子はその……今噂になっている子なので、これは保護者様のご意向でもあります。なのでくれぐれもそういう事がない様にしてください。」
「「わかりました。」」
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