宿
「「あっつ〜」」
そのような声を発しながら、テックとリュウは深い森を進んでいた。
「リュウ〜、ネツキまでどのくらいだ?」
「急げば今夜には。途中の宿で休んだとしても、明日の昼には着く。」
「んじゃ休んでくか。もうヤダ、休みたい。」
「賛成、身体中から汗が止まらん。」
「んじゃ、休んでいこう。宿どっちの方向?」
テックは額に手を当てて見回すような動作をした。
「多分、あっちだな」
リュウはそう言いながら、テック達から右の方を指さした。
「了解、じゃ、宿目指してしゅっぱーつ。
にしても…」
「はいよー。はー…」
「「あっつ〜」」
2人は、蒸し暑い森を、ゆっくりと歩いていった。
その夜
「ファ〜、久しぶりのベットだ。」
テックはベットの上で背を伸ばした。
「あぁ、最高だ。ゆっくり行くルートにして正解だったな。」
リュウも両の手を枕においてその上に頭を置いてリラックスしていた。
「なぁ、リュウ、手を使う意味あんのか?普通に枕だけで良くない?」
「わかってねぇな。こうする事で程よいくらいの重さが腕にいくから、マッサージしてるような感じになるんだよ。」
「ほーう。」
テックもやってみる。
「あ、いいわこれ。」
テックも満足気な笑みを浮かべた。
「ところでリュウ、晩飯何時から?」
「今の時間ならいつ行っても食える。6時からやってるらしいからな。」
「じゃ、飯食いに行くか。腹ぺこぺこだよ。」
「だな。」
テックとリュウはベットから起き上がり、食堂に向かって歩いて行った。
食堂
「いやー、上手いな。」
テックは大盛りのご飯を口にかきこみ、満足気な笑みを浮かべた。
「あぁ、本当にな。」
リュウも魚の煮物を食べながら、うなづいた。
2人とも、久しぶりに周りになんの警戒もしなくていい食事にとても満足していた。
「なぁ、リュウ、明日、ネツキに着いたらどうするんだ?」テックはスープを飲みながら、リュウに尋ねた。
「とりあえず、バスに乗れば半日で目的の場所に着く。そこで宿をとって、次の日に研究所へGoだ。」
「了解、あ、ご馳走様でした。」いつの間にかテックの目の前にあった様々な料理は綺麗に無くなっていた。
「俺先帰ってるよ。風呂入る準備しとく。」
「おう、俺のも頼む。」
テックは長い廊下を部屋に、向かって歩いていた。
(ふぅー、昼は暑かったのに、夜はまぁまぁ冷えるな。早く風呂入ろっと。)
テックが小走りになろうとした時。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
テックが通り過ぎようとした部屋からそんな音が聞こえた。
(な、なんだ?)
テックは、恐る恐るその戸を開けた。
そこには、真っ赤になった部屋と倒れ込む女性、そして、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴと不思議な音がなる地面が広がっていた。
「なん、だよこれ?」