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テック・クエスト  作者: 岡山
2/8

身体中から冷や汗が出る、涙さえ出そう、そんな感覚を、少年リュウは感じていた。


ライオンのたて髪のように逆だった髪、緑色の目、小麦色の肌が特徴的な少年だ。

今は、そのライオンのような髪が、シナっと

垂れ下がっている。ような感覚を覚えている、

リュウは。


だが、それほどまでに目の前の存在が

出している存在感は強力だった。


だが、リュウの中は、そんな奴への恐怖などで

埋まって染まりきっていた訳では無い。恐怖は、確かにある。はっきり言ってめちゃくちゃ怖い。だが、今の彼には…


「さぁ、始めようぜ、犬」


こいつがいる。


テック、リュウの友人でこの話の主人公。灰色の髪に、黄色の目、肌は少し白っぽい少年だ。ちなみに、実力は折り紙付きだ。



「戦うのだな、私と」犬は、低く、ゾッとするような声で言ってきた。


「なにか不満でも?」


「ない。が、あまり良い選択ではないな!」


「茨」が、テックに向かって飛んでくる。


「ふっ」テックは、リュウを抱え、足に力を込めて跳躍した。

「茨」は、そのままテックのいた場所を叩いた。

だが、「茨」は地面を軽くえぐるだけで、あまり威力はない。


「あっぶねぇ。けど威力は無い、やっぱ不意打ちか?」テックが言い、リュウが返してくる。

「だろうな。匂いを嗅いだが、毒の匂いとかもしない、本当にただの茨だ。打ち込む力も強くない。」


テックは、近くの岩の上に降り、リュウを肩から下ろした。


「俺は行くが、何かあいつについての情報はないか?」

「無い。俺は、アイツを見た瞬間にあいつの目が光って斬撃でやられた、お前も知ってるだろうから、もう情報は無い。」


「ラジャー。んじゃ行くわ、隠れてろよ。」

「はいよ」リュウは、そう言って岩から降り、岩の陰に身を隠した。


テックが、犬の前に立つと、犬は話してきた。

「別れの挨拶は済んだか?」

「ああ、行ってくるって言ってきた。」

「意味は違うが、まぁいい。」


テックは、短剣を構えて走り出した。「茨」に飛び乗り、犬に近づいていく。


そして、「ふっ」という声と共に短剣を振った。しかし、「甘い」

犬はそう言い、「茨」で自分の前を守った。


短剣は弾かれる。だが、

「オラァ」テックはポーチの中から、

油を取り出して、「茨」にかけた。

そして、後ろに跳躍しながら、マッチを投げた。「茨」に火がついた。


「?!」犬は驚いたような声を上げ、火から離れた。

次の瞬間、犬の後ろ足が切れた。

「な?!」

そこにはテックがいた。微かに息が切れている。


(この小僧、私の「茨」を燃やし、道を開くためにマッチを使ったのではなく、その炎を陽動にして…)


サッ


犬は他の「茨」に飛び乗った。テックが2発目を繰り出してきたからだ。


「ちっ、今のでやれるかと思ったんだがな。」

テックは小さく舌打ちすると、跳躍して、犬と同じ「茨」に乗った。


(この小僧中々出来る。まさかこんな奴がいるとは。剣士も武闘家もいないぬるい時代だが、

まだまだいるではないか。)

(こいつすげぇ、マジで。こういうタイプの

魔物は、接近戦に弱いはずなのに、普通に動ける。こいつ、もしかして…)



「中々やるな、小僧。私も少し本気を出そう。」

犬はそう言うと、「茨」から降り、三本の足で綺麗に着地した。


(やっぱり、元々接近戦タイプかよ)


テックも降り立った。


「それじゃ、やろうか!」


犬は、そう言った瞬間テックに肉薄してきた。

攻撃そのものは、噛むだけだった。


(なんだ、これだけ…)


ぐふっ


テックは、自分の腹に鋭い痛みを感じた。

そこを見てみる。そこには…

(な?「茨」?!ってことは)

テックが周りを見ると、「茨」がテックの周りに蛇のようにニョロニョロうねっていた。


「何だよ、正々堂々やるみたいな展開じゃん、さっきの。やらないのか。」


「何を勘違いしている。私は、お前に本気を出すと言っただけだ。お前を人間として、

おもちゃとして見てることは変わらない。

正々堂々、戦う義理は無い。」


「お前と互角のやつをまだおもちゃ扱いかよ」

「当然だ。互角だろうとなんだろうと、お前が人間なら。人間という生き物なら。私の評価は何も変わらん。」

「ねじ曲がりすぎだろ。」

テックは文句を言いながら、短剣を抜いた。


まぁたイライラさせやがった。許さん。



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