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第23話 鎖腐華、作詞作曲中

 アイドルデビューからしばらくして、私たちはポッフンのとある宿を拠点にして活動していた。

 雲行きは思ったよりも順調。

 この世界の住民はほとんどはノリがいいのか、未知のジャンルであるはずのラップも受け入れてくれた。

 宿の一室で三人で住み、今私は歌詞を考えていた。

 DRAGON SOULの作詞作曲はもっぱら私だ。どちらも趣味程度だからどうしても時間がかかる。

 逆に言えば時間さえ貰えば出来なくはないと言うことだけど。

 こういうとき、叔父が演奏家でよかったと思うよ。

 お堅い人だったから本当にゲームをするのは大変だった。

 そんな生前の辛い記憶を思い出しつつ考える。

 次の曲はどんな歌詞にしようか、何を伝える歌詞にしようかと。

 沢城雪菜を討つためには、トップアイドルクラスになるしかないのだから。


「フカ、難しい顔してる……」


「ん、まあね……」


 フィーネに言われてしまった。

 でも仕方ない。

 無から有を産み出すのはいつもながら苦労するものだ。

 ラップもそうだった。

 今でこそ慣れてポポポポンと出てくるけど、最初の頃はガタガタだったっけ?

 音楽に乗せて喋るだけに見えて、実はかなり難しいんだよね。

 韻を踏むよりもフロウ、つまり歌い方がわからないと言うのが一番の要因だと思う。

 それを考えるとフィーネは本当に出来るようになるまでが速かったなあ。

 才能あるんじゃないかな。

 ちらりと視線をフィーネに向ける。

 彼女は今は私から視線を外して、衣装について考えているみたいだ。

 私は裁縫ができないから、フィーネと祀が衣装を作ることになってる。

 祀に言われたな、女子なのに裁縫できないのと。

 女子にだって料理や掃除ができない人いるじゃないか。

 それと同じなだけさ、私は器用万能じゃないんだよ。

 と、考えがずれてしまった。

 何にしても、女子力についてはフィーネの方が私より上なんじゃないかな。

 家事一般のうち料理掃除はまだ見たことないけど、多分出来るだろうし、ラップ以外の歌も普通にうまい。

 小さい頃にバイオリンを習ったとも言ってたし、音楽関連でも高いな女子。

 しかし小さい頃にか……フィーネって年いくつなんだろう。

 見た目こそ私や祀より下だけど、そういえば聞いてなかった気がする。

 いつか機会があれば聞いてみてみようかな?

 そんなことを考えつつ、私は歌詞を作る。

 ……閃いた!

 フィーネのおかげだ。

 私はすぐさま浮かんできた歌詞を書き始める。

 頑張っている人へ届ける歌として。


「できた。あとは作曲!」


「おー! それじゃあアタシたちも気合い入れないとねフィーネ!」


「は、はい!」


 こうして三人はいつも次の舞台の準備をコツコツ積み重ねていた。

 その結果が報われると信じて。

 チートに追い付くために努力するか……悪い気はしない。

 そんなことを思いながら。

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