対話と契約
「これ、どうしますか?」
トウコクは聞こえないぐらい小さな声でファナに問いかけた。
「どうしようかね。ほっとくわけにも行かないし、戦うとなったら今の装備じゃきついし、どうしたもんかね。」
「あ、あれ、私達はもう逃げられませんね」
「何で?」
トウコクがエリシアの方を向くと、エリシアはドラゴンの方を指さしておどおどしていた。
「何があるんだよ?」
トウコクはエリシアが指を指しているドラゴの方を向いた。
「なあ、ファナ。もう諦めるしか方法はないのかな?」
「何でだよ。てか、普通に喋んなよ。ドラゴンが起きるだろ。」
ファナはトウコクに注意しながらドラゴンの方を見た。
「あ、本当だな。普通に喋ってももう変わらねーや」
ドラゴンはその4本の足でしっかりと立っており、こちらをじっと見ていた。
「絶体絶命だよなこれ。ドラゴンって言葉喋ったりできないのかな?」
そんな叶うはずもない願いを口に出しながらドラゴンの方を見ていると、何処からか声がした。
「汝らは我に危害をなすものか?」
「え?なんだこの声は?」
「声?何も聞こえないですけど」
「そんなもん聞こえないぞ。空耳じゃないか?」
「そうなのかな?確かに聞こえた気がしたんだがな」
「空耳などではない。我が話しかけているのだ。汝もずっとこっちを見ているではないか」
「ずっと見ている。まさか、この声の主はドラゴンなのか?」
「いかにも。それで、汝は我に危害をなすのか?」
「いや、危害は与えない。僕もまだ勝てないことぐらいわかる。それに死にたくないし、死なせたくない。だが、そちらがこちらに危害を加えるのなら容赦なく抵抗させてもらう」
「そうか、我も無駄な争いは好まぬ。だが、口約束だけではいささか不安だからな。汝よこっちに来て契約を結ぼう。内容は相手に危害を加えない。」
「待てよ。俺だけじゃなくて人間にしてくれないか?攻撃してきた奴は殺していいから」
「まあ、それぐらいなら許そう。」
「じゃあ、そっちに行くよ」
トウコクは歩いてドラゴンの方へ向かっていく。
「トウコク、危ない」
「トウコク君、危ないよ」
後ろからそんな声が聞こえたが無視してドラゴンの方へ歩んでいく。だが、ドラゴンの近くまで来ると横から何かが迫ってきた。
「そう来ると思ってたよ。『来い。ゲイ・ボー』」
その瞬間トウコクは槍を呼び出し、迫り来る攻撃を避けながらドラゴンの顔に槍で攻撃を入れた。油断していたドラゴンは呆気なくトウコクの槍を受けた。
「汝、なかなかやるな。あの攻撃を避けるなど。しかも、我に一太刀入れるなど。なかなかの手練じゃな」
「そりゃどうも。でも、攻撃を与えれたのはあんたが油断してたからだ。それと、相談なんだが。やっぱり契約して戦わない方がいいんじゃないか?このまま戦ってもどっちもただじゃ済まないだろうしな。」
「ふん、汝の攻撃など通じない。だから、我は無傷なんだよ。この傷だってここの通り治るだろ?」
ドラゴンは得意げに治そうとしたがその傷は治らなかった。
「何故だ、何故治らない」
「それは簡単。この槍だからだ」
「何?それはどういう事だ?」
「教えてやる義理はねぇ。それでどうだ?契約して人間に危害を加えないか?」
「そうだな。これ以上やると確かに我もただではすまんじゃろうからな。分かった。契約しよう」
「そうか、じゃあ、頼むぜ。もし、変な契約にしたら殺すからな。」
「ああ、分かった。」
そうしてドラゴンは契約の呪文を唱え始めた。
「『汝、我と契約するものよ。我は人間に危害を加えないことを約束しよう。しかし、そちらから攻撃してきた時は迎撃しよう。』」
「『我は汝たち、ドラゴンには危害を加えない。だが、そちらから攻撃してきた時は対処する』」
「『我らはこの内容で契約する。』」
詠唱が終わるとトウコクとドラゴンを光が包み込み契約が完了した。
「ちなみに契約を破ると死ぬからな」
「まあ、それぐらいが妥当だろうな。あと、お前ここにいると人間に襲われるから、早くどこかに行ってくれないか?」
「それもそうだな。時が来たら移動しよう」
トウコクは会話を終えてファナ達の方に戻った。
「トウコク、あんまり危ない事するんじゃないよ」
「そうですよ、トウコク君。死んじゃうんじゃないかと心配しましたよ。」
「すみません。でも、あのドラゴンはこちらが攻撃しない限り攻撃してこないので安心です。」
「そうなのか。だが、このまま放っておくのも危険じゃないか?」
「大丈夫ですよ。そのうちどこかに行くそうですから。」
「それならいいが」
「今日は疲れました。帰りましょう」
「そうだな。ドラゴンに会ったら疲れるわな」
トウコク達は来た道を戻っていき、森を抜けて城壁の近くまで来た。そして、門を通ろうとすると門番に止められた。
「なんだよ。また検問か?」
「いえ、違います。最近、この近くでドラゴンの発見情報があったので聞き込みをしてるんです。」
「そうなのか。まあ、私達は見てないな。なあ、2人とも」
「「はい」」
「そうですか。ご協力感謝します。」
門番はそれだけ言って持ち場に戻っていった。
「さあ、家に帰るか」
「「はい」」
3人は数分かけて家に帰った。家に帰ると使用人が手紙を持ってきた。
「ファナ様、学校の方からお手紙が来ております。」
「手紙?また何で?」
ファナはそんなことを言いながら手紙を開けた。中には2枚の丈夫そうなカードと紙が一枚入っていた。
ーーー
この手紙の中に入っていたカードは試験資格みたいなものだ。それが無いと受けれないので忘れずに持たせろ。あと、試験は来年の1月20日だから忘れるなよ。
学長
ーーー
「なんか、試験資格みたいなのが届いたみたいだ。無くさないように私が持っていよう。試験は来年の1月20日みたいだからそれまでに出来ることはやろうな」
「「はい」」
「だが、今日は疲れただろうからゆっくり休んで明日から始めよう。」
ファナが手紙を読んでその内容をトウコク達に伝えていると、使用人が「ご飯のご用意ができました。」と、トウコク達を呼びに来たのでトウコク達はリビングに移動して夜ご飯を食べた。その後、お風呂に入ってから自分の部屋で眠りについた。
こうして、長かった1日が過ぎていった。そして、時は直ぐに過ぎていき、試験日当日となった。
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