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おもいあい。  作者: 瑠璃ヶ崎由芽
第3章『よしゆの』
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11話「私たちの関係」

 告白から一夜明け、恋人になって初めての朝を迎えた。

 とは言っても、いつもとなんら変わらない日常で、普段の私を取り戻していた。


「おはよー」


 学校に登校して早速、私は襟香えりかちゃんたちの元へと行く。

 この成果を一番に襟香ちゃんに報告して、お礼がしたかった。いわば襟香ちゃんは私たちの恋のキューピットとなったのだから。


「お、その笑顔、元気戻ったんだね」


 私の変化に気づき、そう嬉しそうな表情を見せる襟香ちゃん。やはりその周りにいる亜弥あやちゃんたちも、同じように嬉しそうな表情をみせている。私のことそれほど気にかけていたのだろう。


「うん、本当にありがとう、襟香ちゃん」


「いやいやいいよ、その笑顔見れて嬉しいから」


「あ、そうだ。今度の日曜日にどっか行かない? このお礼も兼ねてさ!」


「あーいいね! せっかくだからみんなで行こうよ!」


「うん、いいね! じゃあどこ行いこうか――」


 お姉ちゃんと一緒になれた安心感からか、今まで以上にみんなに心を開いて接することができるようになった。

 ねたんでいたのが本当に申し訳ないくらい、やっぱり友達も大切だと再認識する。


由乃ゆのさん、モテモテですね」


 そんなこんなで、みんなで時間や、集合場所などを決めている折、お姉ちゃんが頬をふくらませそんなことを呟く。

 あらら、今度はどうやらお姉ちゃんが嫉妬してしまったようだ。つくづく私たちは双子なんだなということを実感する。それがやっぱり嬉しくて。

 しかもちょっと怒ったようなそのお姉ちゃんの表情がまた可愛いことこの上ない。私は本当に幸せものだ。こんな綺麗で、可愛い人が家族であり、恋人でもあるのだから。


「ふふ、ふふふ」


 そう思うと、自然に笑みがこぼれていた。


「あ、笑ったー! わたくしは大真面目なんですけどー!」


「ごめんごめん。だって今度はお姉ちゃんが嫉妬してると思ったら、ふふふ」


 想像しただけで嬉しさがこみ上げてきて思わず笑ってしまう。

 私は今、とてつもない幸せを感じている。お姉ちゃんとのこの他愛もないやりとり。それすらもちょっと前までは許されなかったのだから。それに私たちは永遠。いつ何時も離れることのない存在。そうなれたことがいつまで経っても本当に嬉しい。


「だって、由乃ゆのが他の子と仲良くするとやっぱり嫉妬しちゃうのよ」


「ちょっとは我慢しなきゃ。私はその何倍も苦しかったんだからね!」


「んーわかってはいるのだけど……ね?」


「もーしょうがないなーはい、ご褒美」


 私はそう言いながら、お姉ちゃんのアゴを持って、そのまま唇を奪った。前みたいにそう長い時間ではなく、短めにして。

 もちろんそんなことをすれば、周りからは黄色い歓声が上がる。その歓声につられて周りに目をやると、みんな私たちに釘付けになっていた。みんな赤面させて、驚いた表情になっている。

 それになんとなく優越感を覚えて、気分が良かった。


「後は帰ったらね。覚悟しててよー? 部屋でいっぱいいーっぱい愛でてあげるんだから!」


「ちょっと! みんなのいるのに……!」


 お姉ちゃんはわかりやすいぐらい顔を赤らめていた。

 流石さすがにここはみんなの前なので、私もちょっと恥ずかしかった。でもこうでもしないと、お姉ちゃんの嫉妬は収まりそうになかったから。


「いいじゃん! 見せつけようよ! そうすれば誰も寄りつけなくなるでしょ?」


いわばこのキスこそが、私たちの虫除けスプレーみたいなものなわけだ。


「それでもモラルというものがあるでしょ?」


「むーしなかったら嫉妬してたくせにー」


「うっ……でも場所や雰囲気ってものがあるでしょ!」


「それ昨日ムードを台無しにした人の言うこと?」


 お姉ちゃんの苦しい言い訳に負けずに、私も反論しまくる。

 結局お姉ちゃんはただただ恥ずかしいだけ。ホントはされるの結構好きなくせに。


「むぅー……ああ言えばこう言う……!」


 お姉ちゃんはふくれっ面になってそう言った。その姿に私はたまらく愛を感じていた。


「ふふ、なんか私ちょっとお姉ちゃんイジりに快感を覚えてきちゃったかも」


 そして、少し前から気づいていたこと。お姉ちゃんをもてあそぶのがものすごく楽しいということ。

 私たちの恋人関係は、完全に私が上のようだ。

 まあ、お姉ちゃんは臆病なとこあるから、上になる勇気なんてないだろうけど。


「こら、変なこと覚えない!」


「はいはい、とにもかくにも続きは後でね」


 私はそういいながら、お姉ちゃんの頭を撫でていた。いつもは撫でられている側なので、とてつもなく新鮮だった。もういっそのこと私が姉でも悪くないかな、と少し思った瞬間だった。


「なんか、姉妹関係が逆になってない……?」


 お姉ちゃんはふくれっ面のまま不満そうにそう言った。でも、撫でられるのは悪くはないって顔してる。


「私たちは双子なんだしいいんじゃない?」


 所詮は便宜的に生まれてきた順番に姉と妹がわけられただけ。

 だから、結局のところは私たちは同じ立場なのだ。だって、双子なのだから。私たちの関係に、姉も妹も関係はないのだ。


「お姉ちゃんの威厳が……」


「ふふ、お姉ちゃんだーいすき!」


 お姉ちゃんへの愛を高らかに叫ぶ。

 お姉ちゃんとのこんな日々をいつまでも……いつまでも……私はそう強く願った。

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