17話「決意を報告」
私が帰ってくると、明らかに私のことを気にしている様子の亜弥ちゃんたちだった。そのそわそわ具合に、面白いなと思いつつ、早速あのことを報告することに。
「私さ、謝るよ」
「おー! ようやく心を決めてくれたんだね!」
「まあ、誰よりも私たちを知っている人が教えてくれたからねー」
そう言うと2人はわけの分からないような顔をして、互いを見つめ合っていた。
まあ、それだけじゃわからないよね。でも、これは恥ずかしいから教えてあげない。私だけの秘密だ。
「はは、とにかく私は亜美に謝りますよ。放課後にする予定」
「そっか、とにかくよかった」
「ごめんね、色々と迷惑かけちゃって」
「いいよ。私もまりちゃんには色々便宜を図ってもらったから。おあいこってことで」
「うん、ありがと」
「ねえ、落ち着いたから言うけど、この間まりちゃんが言っていた『好き』って亜美ちゃんに全部当てはまらない?」
「え?」
唐突な訳の分からない話に、ついていけず思わず聞き返してしまう。
「ほら、『最も心の許すことのできる人』って言ってたでしょ?それ、当てはまってるよね?心を許せるからあんな風に喧嘩できるんでしょ。それに気兼ねなくいられるでしょ?」
「いやいやいやいや、まさか」
意外や意外。そう言われてみれば、驚くほどに私の言ったことに当てはまっている。もしかすると、私は亜美のことが好きだったのかもしれない。だから亜美のことを思ってそういう発言をしたのかもしれない。
これか、襟香ちゃんが散々悩みに悩んでいたのは。確かに実感がわかない。そうは言われても、好きかどうかなんてわからない。
「まりりん、実は好きなんじゃないのー?」
そう言ってニヤニヤしながら肘で私をついてくる亜弥ちゃん。
「ちょっ、亜弥ちゃん茶化さないでよー」
まさか亜弥ちゃんに茶化される日がこようとは。案外、される側はこそばゆいものだと実感する。
「ふふーん、私たちを茶化した仕返しだよー」
「むぅー、ようやく謝る気になったのに、変に悩ませるようなことしないでよー」
これに頭がいって、うまく謝れなそうだ。変に意識してしまいそう。
「ごめんごめん、でも純粋にそう思ってさ。一回まりちゃんも私みたく、改めて気持ちを考えてみるのもいいかもね?」
「そうだね」
『改めて気持ちを考える』……けど、それもこれも仲直りしてから考えた方がいいような気がする。
まずこのままそれも並行して考えると、絶対に襟香ちゃんみたく悩みまくることになるから。まさか同じ轍を踏むまい。
とにかくこの案件は一旦置いておいて、とりあえずは謝ろう。そう心で考えを改め、約束をとりつけるため、亜美が来るのを待った。