13話「乙女な私」
翌日、いよいよ告白する日が来たのだ。
告白のことを考えると、どうしても緊張してしまう。それはまるで大会の試合前の時みたいに。
なので、朝から私はいつもの本調子ではなかった。いつもならしないような、小さいミスを何度もしてしまう。さらに加えて、いつものように亜弥ちゃんと肩を並べて一緒に登校するわけだ。それが今の私にはものすごく難題だった。どうしても緊張してしまい、亜弥ちゃんとの会話もままならない。
「どうしたの? 昨日からなんか様子変じゃない?」
そんなことをしたもんだから、亜弥ちゃんがまたしても私を訝しんでしまう。
「え!? そ、そうかな……?」
私はその顔を直視することが出来ず、思わず目をそらしてしまう。
ヤバイ……絶対にヤバイ! 今度こそバレる。どうにかしないと……でも、今この状況で反らせる話題なんてないし……
「うん、なんて言うんだろう……何かそわそわしてるっていうか……」
私が焦っている中、さらに焦らせることを言う亜弥ちゃん。私を勘ぐるような目で舐めるように見つめる。
「えっ!? や、そんなことないよ!?」
「んー……わかった! 何か私に隠し事してるなぁー!? そっか! 今日の放課後の事もそれが関係しているんでしょ!」
亜弥ちゃんちょっと考えたような素振りをして、ズバリ答えを言い当ててしまう。
でもそれを今ここで『はい、そうです』と答える訳にはいかない。是が非でも放課後までとっておきたいのだ。
もうちょっと待ってってね、亜弥ちゃん。
「え、えと……ナイショ!」
私はそんな亜弥ちゃんにいよいよ答えが出ず、はぐらかすしかできなかった。
「むぅー……まあ、放課後になればわかるかな? それよりも学校行こっ、ほら!」
どこかまだ満足していないようだが、とりあえずそれで納得してくれたようで、亜弥ちゃんは私の手を取り、走りだす。
「ふぇえ!? ちょっ、あ、亜弥ちゃん!」
いつか私がしたような行動が、今の私には心をときめかせる。胸が高鳴りだし、鼓動も速くなる。
たぶん、あの時の亜弥ちゃんもこんな感じだったんだろうな、と実感する。
それにしても、あれ以来私は自分でも驚くほどに乙女になっている。こんな状態で告白できるのだろうか? そこが私の不安要素であった。
それにこれからもしも恋人になったりしたら、私は生きていられるのだろうか。亜弥ちゃんへの愛で死んでしまいそうだ。