3話「すれ違う2人たち」
放課後がダメならば、朝ならどうだ。と、私たちは考え、早めに登校してお姉さまを待っている作戦を思いついたのだが……
「んー……むにゃむにゃ……」
「沙希ちゃん……きて……起きて!!」
「んんー…………ハッ!? 今何時!?」
「もう7時半……たぶん間に合わないじゃないかなぁー……」
いきなり出鼻をくじかれてしまった。残念ながら、私は朝にはめっぽう弱い。でもお姉さまのためになら早起きだって出来る、自分の弱点を凌駕できると淡い期待を抱いていのだけど、所詮それは淡い期待止まりだったみたいだ。やっぱりムリなものはムリ。
「あぁー! お姉さまにまた会えなーい!」
完全に自業自得とは言え、悔しい気持ちが心を支配する。しかもいよいよこれだけ会えてない時間が続くと、もう今日からは禁断症状が出始めるだろう。わかりやすいのが、気が短くなること。イライラしなくてもいいところでイライラしたりする。今の私も、ちょっとそれに近いかもしれない。そして無意識的に貧乏ゆすりをしてしまう。まだこの段階では日常生活に支障をきたすほどではない。でも、体育祭の時は支障をきたすレベルまで達していたのだ。だからこそ、なんとしてでも策を練ってお姉さまに会わなければ、再び気合を入れ直し、私はベッドから起き上がるのであった。
Φ
「はぁ……」
私はいつもの待ち合わせの場所で彼女がこないことに大きなため息をつきつつ、左腕の腕時計を見てそのまま学校へと歩き始める。沙希がもし、私と同じ考えなら朝早く出て登校する時間を合わせてくる、そう思っていのだけれど、あの子は相変わらず朝が弱いみたいだ。たぶん私が沙希なら、絶対に朝の登校の時間に目をつけるはず。それなのにも関わらず今日姿を見せないのは、それはたぶん意気込んだはいいけど朝に起きれなかったというオチだろう。これでもうかなりの時間、私たちは会えていないということになる。どうやら私は考えが甘ったかったようだ。こんなにも彼女とすれ違って会えない時間が続くなんて。もう既に私の体には禁断症状が出始めてしまっている。きっと彼女もそうだろう。怒らなくてもいいことに色々とつっかかってしまったり、無意識のうちに貧乏ゆすりをしたり……兎にも角にもこれ以上この状態が続くと、私たちにも知らない領域に足を踏み込んでしまうかもしれない。予想のつかない領域ほど、怖いものはない。何がやってくるのか全くもってわからないのだから。だからこそ一刻も早く彼女に会わなければ……と思うのだけれど、如何せん自信がない。昨日の放課後といい、今日の朝といい、すれ違ってばかりだから。このうまく噛み合わない状態で、はたしてうまくいくのだろうか。そんな不安が私の頭を支配し、恐怖へと陥れていく。
「がんばろう」
でもそんな弱気になっていてはダメ。こういう時だからこそ、前向きな気持が大事なの。私は両手で頬を強めに叩き、気持ちを改め直し、学校へと歩いていくのであった。




