妖怪の山 その壱
東方二次創作です
天狗の社会は妖怪の中で最も上下関係を重んじているとされている。上下関係は生まれた時にはその家柄で決まっている。しかし、いくら良い家柄だとしても社会のルールを破り人間と契を交わして出来た子は最底辺として扱われる。
-------妖怪の山-------
ドン!
後ろから何かがぶつかった。いや、"ぶつかってきた"と言った方が正しいだろう。
「あるぇー?白鴉クンじゃないかぁ?」
「……チッ、なんだよ。ゴミが」
「ゴミは!どっち!だよ!」
ドカッ!
ボコッ!
殴られているというのに何故か他人事のように思えた。抵抗したところで無駄だろう。いや、人間と白狼天狗のハーフだからそれなりに妖力はあるが反撃したらこの社会で生きていけなくなる。
「こら!白鴉をいじめんな!」
「はぁ?射命丸姉ちゃん、何言ってんの?!コイツは最底辺だよ?」
「いじめんなって言ってんだろ?」
また…か、いつも苛められては射命丸さんに助けられる。
「チッ…運が良かったなぁ?白鴉クンよぉ」
「まったくあいつら…」
「白鴉、大丈夫?」
優しい、慈しむ様な表情だ。しかし射命丸さんはこの社会でかなり上位に位置する天狗だ。あまり俺なんかと一緒にいると危ないだろう。
「いつもありがとうございます」
簡潔に挨拶を告げて立ち去ろうとした。
「ちょっと待って、白鴉さ…もう少し私を頼ってよ…」
「俺の両親を守れなかった罪悪感ですか?そんなことは気にしないでください。それと俺はこの山を出ようかと思ってます。」
「………え?」
「だから、この山を出ようと思っています。」
これは前々から考えていた。この上下社会は俺にはまったく合わない。
「だ、ダメだよ…そんなことしちゃ…」
「あぁ射命丸さん、この天狗社会で平気ですもんね。だからそんなふうに思えるんですよ。」
「私が!私が…ダメだったの?」
「いや、この山で俺のことを理解してくれる数少ない理解者です」
はたてさんや椛さんも良くしてくれたと思ってる。
「そ…か、新聞の取材とかで会った時は話してね?」
「この事は誰にも言わないから…元気でね?」
なんで射命丸さんは目に涙を浮かべているんだろう…俺と一緒にいていい事なんてないのに…
「はい、射命丸さんもお元気で」
「姉ちゃん…」
「え?」
「最後に1回でいいから『姉ちゃん』って呼んで?」
あぁ、俺のことを弟のように思ってくれてたのか。
それぐらいの希望なら叶えよう。
「元気でね、姉ちゃん」
「う、うん…ひぐっ、げん…気でね?ひっ…」
大切な人を傷つけるのは当たり前だが気が引ける。
元から決めていた事なのに心が揺るぎそうになる。
あまり別れを惜しんでも居られない。
椛さんやはたてさんに会わずに出ていくのは気が引けるがそんな事を気にしている暇はない。
いつかきっとまた会えるだろう。
そう信じて…
程度の能力能力は次話で分かるかも?




