~五話~無表情
夏休み終わったら、不定期更新開始です。
苦しい。まだその声が頭に残る。
そんな状況でも、目の前の変化は分かった。それ程ここは異常な『自然』であった。
大地から生える草花は異形のものだったり、見た事のある形だったり。先ほどつまずいた木・・・否、大樹も日本ではあり得ない大きさであった。
「・・・・・」
沈黙。
可笑しいのはこの刀だってそうだ。たかが家宝の刀だろ?100年ぐらい前の刀って言ってた気がする。折れるよね、普通。今も5、6人切ったのにピンピンしてる。素材が違うのか?
「・・・血、拭くかな。」
結論。折れる気はしない。漫画みたいな強度してる。木も真っ二つだ。もう夢だと言っても信じます。
「・・・でも出れない。」
終わりが無い森。熊とか出たら困る。今なら切れそうだけど。俗に言う『チート』かもしれない。帰っても師匠に申し訳がつかない。そもそも、これ切れるとか知らなかった。抜いただけで下半身消えてた気がする。・・・夢なら覚めて欲しい。頬に涙が流れる。
「~ーーーーー!?」
顔の血、拭いていませんでした。
服は返り血すら付いていない。辺りは相変わらず『自然』に包まれている。二時間は歩いているが、動物もいない。鳥は時々見るが、腹は満たせそうに無い。・・・腹減った。
「・・・にく。」
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
「ブォォォォォォォォォォォォン」
「にく?」
あらら豚肉発見!
「おぉぉぉぉぉぉにぃぃぃぃくぅぅぅぅ‼」
「ブォォォオオ?」
ドスッ ズパン
切ったはいいが、焼く方法が思い付かない。最後の頼み綱とばかりに鞄をひっくり返す。出てきたのは、道着と、ガムと、グミに飴・・・そして煙草と・・・
「ライター!」
今ばかりは父親に感謝だ。あのヘビースモーカー人の鞄にまで煙草を入れていたか。薪を集めて、火をつける。後は焼けるまで待つだけ。
「ーーー~~♪」
「そろそろかな・・・。」
こんがり美味しそうに焼けた。モン○ンを思い出す。・・・イノシシって禁漁だっけ?まあいいや。
「いただきます・・・」
はむはむ・・・
「ーーー~♪」
普通に美味しいです。さすが禁りy
「ゲハゲハハハハハハハ!」
「キシャァァァァァァァ!」
「!?」
おぞましい声と共に現れたそれは、緑色の肌を持ち、目に見えて不潔な・・・ゴブリンと言う架空の生物だった。