第五話:盗賊がお迎え
何だか手抜きになってしまいました↓↓↓
スーパーで買い物を済ませ自宅に戻った沙耶はさっそく調理に取り掛かった。
「相変わらず姫は料理が上手だね」鮮やかな包丁捌きで魚を捌く沙耶に日本左衛門は舌を巻いた。
「小さい頃から両親が留守で祖母が料理を教えてくれたんです」
「へぇー、俺に何か手伝える事はある?」
「今の所は大丈夫です」
「でも、料理が出来るまで暇だよ。もう勉強する事はないし〜」どうしても何かを手伝いたがっている様だ。
「それじゃ、お風呂を沸かしてくれませんか?」苦笑しながら言うと
「分かった」子供のように笑うと浴室に向かった。
『何だか本当の子供みたい』そんな事を思いながら沙耶は料理に集中した。
「うん。この鯖の味噌煮美味しいよ」沙耶が苦労しながら作った鯖の味噌煮を日本左衛門は良く味わって頂いていた。
「ありがとうございます。ちゃんと出来たか心配でした」ほっと胸を撫で下ろす沙耶。
「大丈夫。これなら、店を出しても平気な位の出来栄えだよ」
「そんな・・・・・・・・」照れたように頬を染める沙耶。
「本当だよ。今まで生きてきた中で一番、美味い料理だよ」
「ありがとうございます」ぺこりと頭を下げる沙耶。
「そう言えば、姫は将来の夢ってあるの?この時代だと好きな職業に着けるんでしょ?」不意に質問する。
「実はまだ、決めてないんです。そろそろ決めないと不味いんですけどね」苦笑しながら答える沙耶。
「友達とかはどうなの?」友達という言葉に沙耶の箸が一瞬、止まった。
「・・・・さぁ、皆、色々と忙しくて話す事も間々ならなくて」
「・・・・・・・・・」沙耶の表情に陰が差しているのを日本左衛門は見逃さなかった。
「・・・学校で何かあったの?」
「・・・・・何も、なかったですよ」笑顔で答える沙耶。
『何か隠している』長年、働いてきた盗賊の勘から日本左衛門は沙耶の嘘を見抜いた。
『無理に聞き出しても口を割らないだろうな』沙耶の性格からして口を割る事はないだろう。
「・・・・そうそれなら良いけど。何かあったら相談してね?」
本当に心配した様子で言う日本左衛門に沙耶は笑いかけた。
「心配してくれてありがとうございます」
『この娘を守りたい』心の中で日本左衛門は、沙耶を守る事を心に誓った。
「さぁ、食べましょう。美味しくなくなっちゃいますよ?」
「・・・そうだね」沙耶の言葉に頷きながら食事を再開する。
翌日、何事もなかったように朝はきた。
「それじゃ、行ってきますね。日本左衛門さん」
「気を付けてね。姫」心配な表情の日本左衛門に
「大丈夫です。お仕事頑張って下さいね」
二度目の行ってきますを言って沙耶は家を出た。
「・・・・・・・・」沙耶が出て行ったドアを無言で見ていた日本左衛門は不意に踵を返した。
リビングにある二人のソファーに身を沈めながら
『・・・・・やっぱり何か隠してたな』
沙耶の笑顔が曇っていたのを見て確信した。
『しかし、姫の言葉を無視する訳にはいかないしな』
沙耶の事を思えば何かするべきなのだが、無理に詮索して不許を買う訳にもいかない。
『どうしたものか・・・・・・・・・・?』一人、頭を悩ませる日本左衛門。
しかし、リビングに置かれていた高校の入学式の写真を見て決意した。
「嫌われても姫の笑顔を守るためだ」
ソファーから立ち上がって財布と携帯を手に取ると家を出た。
一方、学校で勉強している沙耶は
“死ね!!根暗!?”
“消えろ”
“社会のゴミ”
クラス全体から虐めを受けていた。
黒板には誹謗中傷の言葉が延々と書かれ沙耶自身には紙屑などが投げられた。
「・・・・・・・」沙耶は黙って耐え続けた。
沙耶の虐めは入学式が終わり初日から始まった。
沙耶が高校に入学してから両親は海外に住み込みで行ってしまったので、頼れる者もなく沙耶は虐めに耐えるしかなかった。
教師も見て見ぬ振りをしていて役に立たない。
仲の良かった友達も虐める側に周り孤立無縁の状態が二年間も続いた。
その間、沙耶は何も抵抗せずに耐え続けた。
ある意味、学校に失望したからなのかも知れない。
投げられるゴミを受け止めながら
『日本左衛門さんには言えない』
沙耶は居候の盗賊には虐められている事を言わないと改めて思った。
自分が虐められていると聞けば学校に乗り込んでくるだろう。
盗賊でありながら非道を嫌った日本左衛門。
その事を一緒に暮らしている沙耶は分かるのだ。
盗賊なのに正義感溢れる盗賊の日本左衛門を自分の些細な事で迷惑を掛けたくない。
沙耶は歯を食いしばり投げ掛けられる言葉とゴミの攻撃に耐えた。
やっぱり手抜きの作品になってしまいました(爆) すいません!?