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第三話:盗賊の留守番

更新が遅れてすいません。読んだら感想お願いします!?

日本左衛門が半ば強引に沙耶の良心に付け込み同棲を始めてから早一週間。


幸い、沙耶の両親は二人揃って海外赴任で、年に一、二回帰って来る位だ。


そんな事もあり、二人の同棲は問題なかった。


同棲を始めた沙耶は手始めに日常生活の基礎を教え始めた。


開始から二日で日常生活に支障がない知識を身に付けた日本左衛門に沙耶は驚きを隠せなかった。


次にパソコンと携帯電話の使い方を教えた。


パソコンと携帯電話は父親のお下がりを与えた。


コンピュータ関係は少し手間取ったが、直ぐに物にして今では通販を出来るようにまでなった。


もう教える事もなくなった沙耶に日本左衛門は外に出たいと言い始めた。


日常生活の基礎もコンピュータも覚えたから、近くの店に買い物くらいは行かせられたが今だに一人で外に行かせるのは危険だと判断した沙耶は、学校の日は家から出ないよう勧告した。


日本左衛門は少しブーイングを言ったが、直ぐに受け入れた。


そして今に至る。


「私が学校から帰るまで家の中で、大人しく待っていて下さいね?」


夏の制服に着替え鞄を片手に沙耶は玄関で、ジーンズに黒いTシャツの日本左衛門に言った。


「分かってるよ。俺、もう二十七だよ?そんな子供の留守番なんて簡単だよ」へらへらと笑う盗賊に沙耶は眉を潜めた。


「・・・本当ですか?」


「そんなに信用ない?これでも盗賊界では信用あったんだよ」肩を竦める日本左衛門。


「・・・分かりました。じゃあ、お昼は作って置いたご飯を食べて下さいね」


母親のような態度の沙耶に日本左衛門は笑いを我慢できなかった。


「・・・・・何を笑ってるんですか?」少し怒った口調になった沙耶。


「何でもないよ。それより早く行きな。遅刻しちゃうよ」


そんな沙耶の反応に楽しみながら日本左衛門は、送り出した。


「・・・・・それじゃ、行ってきます」渋々と言った状態で沙耶は家を出た。


「さぁてと、商売でも始めるか」


沙耶が学校に行ってから日本左衛門は、パソコンを起動し慣れた手つきで仕事を始めた。


沙耶が学校に居ない間に彼も自分なりに、現代の勉強をして少しでも、彼女の荷を軽くするように努めた。


元々、物事を理解するのは早い方で直ぐにパソコンの使い方をマスターした。そして、インターネットで商売が出来ると知ると独学で経済学を覚えた。


元盗賊だった事を活かしセキュリティー関係の仕事を始めた。


沙耶に内緒で外出した折りに知り合った男の伝手でセキュリティー関係の会社と手を組み、防犯システムや対泥棒システムを開発するなどの功績を上げた。


その礼として会社に就職し自宅で仕事をさせて貰っている。


ファックスで送られた書類を見ながらパソコンでデータを作成する日本左衛門。


「んー、この件は少し手間が掛かるな」


独り言を言いながらパソコンを操作する。







一方、日本左衛門を一人残して学校に行った沙耶は気が気でなかった。


『お昼、食べたかな?外出してないよね?』


などと勉強そっちの気で日本左衛門を心配する沙耶。


「・・・・・はぁ」教師に気付かれないように小さくため息を吐く沙耶。



「・・・・ふぅ、少し休憩するか」


書類を片付けていたが、休憩を取ろうと席を立つ日本佐衛門。


「コーヒーでも飲むか」


家にある物は自由に使って構わないと言われているので使っているのだが、


「まず、やっぱり姫が淹れたコーヒーが一番だ」自分で淹れたコーヒーの不味さに不評を漏らしながらも飲む。


この世界に来てから、コーヒーや紅茶、炭酸飲料水と言った飲み物を知ってからコーヒーを好んで飲むようになった。


しかし、自分で淹れたコーヒーや他人が淹れたコーヒーは不味い。


『早く帰って来ないかな?姫?』不味いコーヒーを飲み終えて仕事に戻ろうとした時であった。


「・・・・・ん、鼠か」自分以外の者が家に入った気配を瞬時に気付く日本左衛門。


「ちょうど良い。姫が居ないから寂しくて苛々していた所だ。憂さ晴らしと行くか」


沙耶には見せた事のない笑みを浮かべる日本佐衛門の姿は、天下を騒がせた大盗賊の姿だった。







「・・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」沙耶は急いで鞄に荷物を入れ教室を出た。


午前の授業が終わり昼食になる時に教師から家に泥棒が入ったと言われたのだ。


『日本佐衛門さん、大丈夫かな!?』走りながら居候している元盗賊を心配する沙耶。


元盗賊とは言え、古風な盗賊。現代の武器を持つ強盗に太刀打ち出来る訳ない。


「無事でいて!日本左衛門さん」元盗賊を心配しながら自宅に着いた。


「す、すいませんっ。こ、この家の者です!!」


近くの警官に話し掛ける。


「君が?じゃあ、こちらにどうぞ」


案内されて行くと


「あっ、お帰り。姫」警官と会話をしている日本左衛門がいた。


「大丈夫ですか?!」慌てて近付く沙耶。


「ん?心配してくれたの?ありがとう。姫」にっこりと笑って一目を憚らず抱きしめる。


「ちょっと何するんですか!?」突然、抱きしめられて驚く沙耶。


「ん?抱きしめてるんだけど?」首を傾げる日本左衛門。


「そうじゃない!」力の限り暴れる。


「あー、お取り混み中すいませんが・・・・・・」警官が気まずい顔で話しかけて来た。


「この男性が、泥棒を捕まえたのですが知り合いですか?」


「え、えぇ。私の母方の親戚です」


警官の質問に内心焦りながら冷静に答えた。


「失礼ですが職業は?」


『まずいっ』家に居候している元盗賊とは言えず、どうしようかと思っていた時に


「職業?職業は、この会社に勤めていますが?」


警官達に名刺を渡す日本左衛門。


「っ!?」警官達に渡した名刺には、新セキュリティを造った事で有名に会社名が載っていた。


しかも、肩書は開発部長だった。


「娘のように可愛がっていた沙耶が一人暮らしをしていると聞いたので、一緒に暮らしているんですよ」温和な表情に沙耶を労るように頭を撫でる。


その姿は、中々な様になっていた。


「そうでしたか。大変失礼しました」納得して謝る警官。


「いえ、お勤めなのですから仕方ありませんよ」


「では、これで」一礼して警官達は去って行った。


「さぁ家の中に入ろうか?沙耶」優しく肩を抱きながら呆然とする沙耶を連れ家に入った。


こうして、日本左衛門は沙耶の保護者として地位を確立させた。

次回は早く更新するように努力するのでご了承を

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