表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/14

第一話:初めての出会い

初めて日本左衛門と沙耶を題に書いてみました(恥)

「・・・・・・はぁ」学校から帰る道で沙耶は、ため息を吐いた。


今日、憧れだったバスケ部の先輩に告白をしようとした時に、同級生が先輩と帰って行くのを目撃してしまったからだ。


『あの子、先輩と付き合ってるんだろうな』女の勘で何となく感じ取った。


「今になって思えば、何にも先輩と接点がなかったのに告白しても、無駄だったよね」


自嘲気味に笑いながら沙耶は何時も通る道に差し掛かった。



京都の三条通りの外れにある大盗賊、日本左衛門の首塚。


沙耶は中学に入ってからこの道を通っているが、今だに慣れない。


しかも今の時刻は夏の午後十一時。


先輩を待っていたらこんな時間になってしまっていたのだ。


「夏だと何時もの倍は恐いのに」


愚痴を言いながら薄暗い道に歩を進めた。


しかし、五分と経たない内に


「やっぱり四条通りから帰れば良かった」半べそになりながら後悔する沙耶。


びくびくしながら歩を進めていたが、何かに躓き盛大に転んだ。


盛大に転んだ為、制服は汚れ鞄の中身が散らばった。


「・・・・拾わないと」


散らばった筆記用具や教科書を拾っている内に一筋の涙が落ちた。


「・・・・・ひっく、ひっく・・・・えっぐ、ふっ、うっ・・・・・ぐっ」


落ちた涙は、止まる事を知らずに嗚咽も止まらなかった。


泣いていると、首塚が視界に入った。


「・・・っにが・・・・何が日本左衛門よっ、大層な名前なんかして」


何かに当たりたい気持ちになる沙耶。


「何が義賊よ!結局は泥棒じゃない!!」八つ当りに首塚を蹴り倒した。


ゴトッ


首塚は音を立てて地面に倒れたが


「痛ったー!!」首塚を蹴り倒した足を擦りながら沙耶は更に涙目になった。


「もうっ、最悪!?」


悲しみから怒りの感情に早変わりした沙耶は、ずんずんと進もうとしたが何かにぶつかった。


「・・・・・っ、今度はなに?」鼻を抑えながら見ると逞しい胸板だった。


「・・・・・・」


嫌な予感を感じながら上を見ると、鋭い目付きをした二十代後半の男性と目が合った。


『ひぃ!?ヤクザ!?』勝手に職業を決めるな。


「ご、ごめんなさい!本当ごめんなさい!!」勢い良く頭を下げる沙耶。


「・・・・おい、娘」低く鋭い声が上から聞こえてきた。



「退け座でも何でもします!だから、人身売買なんかしないで下さい!?」大粒の涙を流して逃げ腰になる沙耶。


「・・・・・・」男は沙耶の態度に閉口した。


『黙っちゃったよっ、たぶん、どこの店に売るか考えてるんだ!?」


男の沈黙を思考に取った沙耶は、逃げようときびすを返したが腕を捕まれ阻止された。


「・・・・・どこに行くつもりだ?」捕まれた腕を解こうとしながら謝る沙耶。


「身体を売る以外なら何でもするので、どうか許して下さいっ」拝み倒す勢い良いで頭を下げる沙耶。


「なら、答えろ。ここは何処だ?お前は何者だ?」男の質問に沙耶は、途切れ途切れに答えた。


「・・・・・ここは、京都の三条通りで、私は荻原沙耶です」


「京都?ここが京都だと?本当か」男は辺りを見回しながら尋ねた。


「は、はいっ」


「じゃあ、今は何年だ?」


「へ、平成、十九年、西暦2007年ですっ」


「平成?今は享保じゃないのか?」腕を離し肩を掴み揺らしだす男。


『この人、もしかして薬中か何か?』男の反応を見て沙耶は焦った。


「本当です!本当だから離して下さい!!」力の限り暴れたが、びくともしなかった。


「俺は・・・・・・・・死んだはずじゃなかったのか?」無意識に沙耶の肩を掴んでいた腕に力を込めた。


「痛いです!離して下さい!人を呼びますよ!!」大声を出すが、何の反応もなかった。


「・・・・・この墓は・・・・・・?」肩を掴んだまま横を見ると小さな塚があった。


「・・・に、ほ・・・・・ん・・・左衛、門の墓・・・・・・・」


呆然とした表情で塚を見つめる男の様子を見て、沙耶は何かを感じ取った。


『この人、何か変だ』


薬中か何かと思っていたのだが、本当に何が何なのか分からない様子だった。


『この人、まるで母親とはぐれた子供みたい』


呆然とする男は、親とはぐれた迷子の子供のように困り果てていた。


「貴方、名前は?どこから来たの?」沙耶は、男に恐る恐る尋ねた。


「・・・・・俺は、日本左衛門だ」


これが沙耶と男、盗賊、日本左衛門の最初の出会いだった。

感想評価を待っておりますので、よろしくお願い致します!?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ