ぼくの位置。ぼくの道。
ねえ、君。
君は今何処にいるの?
『ぼく?
ぼくはいま、みちをあるきはじめたところ。
ながい、ながいみちを』
じゃあ、君。
君は今何処にいるの?
『僕?
僕は今、色んなことをわかり始めたところ。
まだまだ先は長いよ』
君、君だよ君。
君は今何処にいるの?
『オレか?
オレは今、夢を探し始めたところだ。
絶対にソイツを叶えてやる』
君。
君は今何処にいるの?
『俺か。
俺は今、夢の途中に立ってる。
仲間と共に歩んでる途中だ』
それで、君。
君は今何処にいるの?
『自分かい?
自分は今、夢の頂に立っているよ。
此処からの眺めは最高だ』
君は?
君は今何処にいるの?
『ワシか。
ワシは今、道の終わりに来ている。
永かったものじゃ。しかし……楽しかった』
ところで君達は誰だい?
『わからないの?』
うん。
『そうか、だったら逆にキミは誰なのかな?』
えっ?
『ほら、思い出して』
……ああ、そうだ。思い出した。
『じゃあ、もう一度聞くよ。キミは誰だい?』
ーーそうだ僕は君たちだ。
『そう、俺達は君。君は俺達だ』
あれ? 君……
君は今何処にいるの?
『ぼく?
ぼくはいま、にげみちをさがしてる。
こんなながいみち、めんどくさいよ』
君、君。
君は今何処にいるの?
『僕?
僕は今、道の途中で休憩してるんだ。
みんな無駄な努力をしてて馬鹿みたい』
それじゃあ君は?
君は今何処にいるの?
『オレは……
オレは今、何もしてないさ。
何もかもが面倒なんだ』
君!
君は今何処にいるの?
『俺。
俺は夢を……いや、俺の夢はいったい何だったんだ。
もう何もわかんねぇよ……』
君は?
君は何処にいるの?
『自分か。
自分は今、底から何かを見上げてる。
それが何かは分からないけどね』
君……
君は何処にいるの?
『ワシは……
ワシはやっと終わりに来た。
やっと、やっと解放される……』
ねえ、君達は誰だい?
『思い出せ。ほら』
……君達は……
『…………』
君達も、僕なのかい?
『そうだよ。そっちの僕たちは、光輝いている。こっちの僕たちは、酷く淀んでいるね』
どちらも紛れもない"僕"なんだね。
『……ねえ』
なんだい?
『君は何処にいる?』
僕かい?
僕は……僕は……そう
ーー此処にいる。
始まりでも無く、終わりでも無く、成功でも無く、失敗でも無く、夢の途中でも無い。
唯一で絶対の……ココだ。ココに居るよ。
僕は紛れもなくココにいる。
ほら、ちゃんとココに立ってるんだ!
『そうだね。キミはソコに居る。
自分の足でしっかりと地面を踏みしめている』
うん。
でも、それはボクだけじゃない。
君達みんな……どの僕も、それぞれの場所でしっかりと立っている。
みんな、自分の場所で、自分の力で立ってるんだ。
『そう、なのかな?』
そうだよ。
どんなに美しくても、どんなに醜くても、みんな自分の足で立ってるんだ。
『そっか。そっか』
行っちゃうの?
『ああ。自分たちの場所に戻る。色々と、分かったこともあるから』
そっか。
『元気でね"僕"たち』
元気でね。みんな。
どうか、負けないで。
ーーいってらっしゃい。