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ヒモ日和~孤独な兔達~

作者: 黒兎と満月

駄目男に堕ちるとナカナカね!

肌を刺す様な朝の冷たさで目が覚め、隣では独り占めした毛布にくるまりながら眠る彼女は胎児のように丸まり、穏やかな寝息をたたえ眩しい朝日に背を向けている。


時計を見ると午前6時五分前、彼女を起こすにはまだ半時間ははやかった。

まだまだ寒い2月、もう一度温かな寝床に潜り込みたい誘惑を振り切り、冷えきったこの1LDKを暖めようとベッドから抜け出た。


フローリングの床はひどく冷たく部屋の寒さも重なり鈍かった頭も一気に覚醒する。


背後で彼女が動く気配を感じ振り返れば、寝返りをうっただけのようだ、眩しそうに顔をしかめ毛布に潜り込む姿がひどく可愛らしく自然と口角が上がってしまう自分を自覚し、

「俺もなじんでしまったなー」そんな言葉とともに自嘲の笑いを重ねて暖房のスイッチを入れて、なかなか止められない馴染んだタバコに火を着け深く吸い込んだ紫煙を吐き出し彼女のいる部屋に戻りベットに腰を下ろす。


立ち上る煙を眺めながら後ろでいまだ眠る彼女と自分の出会いを思いだしたのはキットこのシチュエーションと煙草の匂いのせいだと僕は思いたい。

~桜の季節には早くまだ早く、コートがまだ手放せない日々、繰り返される日常のなかで純粋な将来の夢も追われる仕事と人間関係の中でも磨り潰され、会社という組織に馴染み尽くしていた俺は、仲間に裏切られ会社に切られた。


一流と言えない地方の私立大を卒業し、氷河期と呼ばれた就職戦争も社内の出世争いも、生来の真面目さと競争心で乗り越えストイックに日々を過ごしてきた俺は、切られた事実で今までの価値観を殺され砕かれ俺は自分を見失ったんだろう。


送別会なんてモノもなく人目を避けるように素早く私物をまとめて慣れ親しんだフロアとビルに別れを告げる、、振り返り見上げた建築物よどんだ空に圧迫観を感じたが一瞬であった。

「感慨深いと思うんだろうが以外と何も感じないな、そんな言葉も虚しいだけか。」

踏み出したとたんに重い空から雨が降り始め俺を濡らした。

「なんてタイミングに降るんだ、いや、今の俺の惨めさへの当て付けか」

この重なった不運で諦めがついたのか、少し気持ちが軽くなり俺は、忘れていた明日からの不安と解放されたような安心感とともに前に歩き出そうと思い、雨宿りできる場所を求め最寄り駅へと駆け出した。


オフィス街を抜け駅前まであと少しのところで今日までの気にとめもしなかった古びた雰囲気のいい喫茶店を見つけ駆け込んだ。


カランコロン!


店内にベルの音が響き、俺と同じような雨宿りの客で店はあふれているかと思ったが客はまばらであった。だが席は埋まりカウンターにも人がいた、常連客が多いのかめいめいに親しそうにはなす人達を見て、疎外感を感じた。

自分が今までとはまるで違った異質なモノになったようなきがして前を向きかかった気持ちを落ち込ませた。


見回した店内は芳ばしく豊かなコーヒーの香りにあふれ、木調で落ち着いており少し薄暗い、耳に心地よいボリュームで流れるのはジャズのようだが詳しくない俺には判断できなかった。


満席では無いがほどよく埋まった席を眺め迷っていると店員と思われる女性から声を掛けられて我にかえった。


「いらっしゃいませようこそ、申し訳ないのですがお客様、今は座席の空きがすくなく、カウンターか相席なりますがよろしいですか?」

そう問われ少し動揺しながらも首を縦に振り肯定を示すと。

「そうですか、では少々お待ちください。」と言うと扉近く道に面した四人がけの席に独り座り本を読みふける女性のほうへと店員はすすみ、本から顔を上げた女性に声をかけた、二言ほど会話したあと二人揃いこちらを見たので、俺は変に緊張しあわてて会釈し曖昧な笑顔を晒してしまった。

その後女性が頷き、店員が頭を下げるとこちらに戻ってきた。

「おそれいりますが、あちらの女性と相席していただいてよろしいでしょうか?」と言われ

「はい、かまいませんよ。」と短く答え窓辺の女性の席に向かいあるいた。

俺が向かう姿を女性はこちらを見ながらあ待っていてくれたのは少し嬉しかった、そして俺から挨拶しようとしたが、先に声を掛けられてしまったのだ。

その時の笑顔と彼女の声を今もよく覚えている。キット生涯忘れなと約束するよ。


使いふるされた安い出会いといわれるのだろ、だが俺の、君のあの時あの場所での出会いが今の始まりで、俺が変わり君を知った。

新しく創造された世界で繰り返されるこの日常が始まったんだよね。



今の俺は彼女のヒモだ、男として情けなくとも、彼女から与えられたこの日常も彼女も「俺は愛してるんだよリオ」と呟く


さて、続きは君を送り出してからかなー?


時間はもういつもの時間だ、今日は俺が飯作ろうかな。

起きる時間だよ、柔らかなリオ髪を撫で声を掛けると、大きな伸びをして抱きついて来る彼女が愛しくてたまらない。


こうして俺のヒモ生活は続いている。今日までのゴタゴタやイザコザも乗り越えて。

続きはどうしましょう?見てくれる方々の反応みたいです。ヨロシクお願いします。

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