意外な関係
アレから1週間が経った。
試験の結果は1週間程度で来るようで、レインはもう来ており最優秀クラスに配属されることが決まったらしい。
まぁ……レインなら魔力も多くマーカスを倒せるだろうし実技は問題ない。
王族だし知識テストも問題無かっただろう。
ルナは帰りに聞いたが私と同じように魔力を判定する水晶を触れる前から色を変え、試験官を一瞬でボコしたそうだ。
ただ最後の知識テストで最終問だけ問題がそもそもわからなかったらしい。
何も考えずに聞いて解いていたがアレ確かに古代語だったか……。最後のは解かせる気絶対無かったんだろうな……
「てかよくもわからない古代語をテストに出すってどう言うことよぉ、正解なんかわかりっこないじゃない……」
「まぁ魔法が勝手に判定するんだろうよ。古文書から引っ張り出してきた文を読み上げてそれに対応する回答を得れば正解、とかな」
「へぇ〜なんて言ってたの?」
「なんだったかな。この国の名前を答えよ、だった気がする」
「めっちゃ簡単じゃないの」
「まぁ古代語で聞かれちゃ分からんわな。今度教えようか?」
「うん」
自室でくつろぎながら私たちはそんな話をする。
コンコン。
と何かが部屋の窓を叩いた音がする。
窓の方に目を向ければそこにはくるくる巻かれた紙が足に括り付けられた鳥が二羽クチバシで窓を叩いている様子が見えた。
「お、結果かな」
レインから結果はこう来ると教わっていたので、すぐに窓を開け鳥達を中に入れる。
鳥の足に括り付けられてある紙を取り、差出人と受取人欄を確認する。
「あぁ、これルナのか。ほい」
ルナは私の方を取っていたようで交換した。
紙には
合格 配属先 A
と書かれていた。
「どれどれ……お、合格だ。ルナは?」
「私も合格だったよ」
「おめっとさん」
「お姉ちゃんこそ」
「で、確かAが1番優秀なクラスってレインは言ってたか」
「あ、じゃぁ私も優秀クラスか」
どうやら二人ともAクラスでの合格らしい。
紙を置いて下にいる父さん達に言いに行こうかと思った瞬間、紙がカサカサと動いた。
「ん?」
すると紙は突然分解され魔法陣の形を成す。
一瞬身構えたが特に敵意もなく、おそらく映像記憶の類だろう。
『合格おめでとうございます!コレを見ていると言うことは本学院の試験に合格したと言うことですね。私は学院長のメルディア。では今後の学院入学案内について軽く説明いたします!』
魔法陣から突然声が流れてきた。
声と同時に映像も流れてきて、青い瞳に青い髪、青いタキシードを着込んだ青まみれの女性が現れた。
『まず、クラスについて説明させてもらいます。クラスはA〜Dまであり、Aが最優秀クラスという立ち位置になっています。本学院では生徒毎の成績によって毎年順位が変動する制度があります。例えば一期生の時にAクラスでも成績がCクラス相当であれば二期生になると同時にその生徒はCクラスへ落ちる、ということです!逆に一期生でDクラスでも成績優秀になれば上位のクラスに上がることも出来ます!』
なるほど、そうやって生徒達の競争心を煽っているわけか。
『学院の歴史上、一期生でAクラスの生徒が三期生までずっとAクラスであったことは20年ちょっと前の一度しかありません。貴方達もそれを目指して頑張りましょう!』
どうやらその学年のAクラスは優秀だったようだな。
20年ちょっと前と聞くと父さんと母さんが学生の頃かな……多分そうなんだろうけど今はやめておこう。
『制服は四日後までに学院で各自受け取りに来てもらいます。そこでまた必要書類等の受け取りもありますので絶対に来てください。それでは来年お会いしましょう!』
元気よく言ったあと映像の女性と声は消えた。
魔法陣も元の紙に戻った。
「終わりか、それじゃぁ父さんと母さんに報告にでも行くか」
「そうだね」
ルナと一緒に下へと降りて父さんと母さんに報告する。
「合格したよ」
「おぉ!そうか!どこのクラスだ?」
「Aだったよ。ルナもな」
「やっぱりか!お前達なら出来ると思ってたよ!」
父さんが抱きついてきた。
重い。
「ま、まぁ簡単だったよ」
「貴方達ならどれだけ慢心しても合格するとは思ってたけどやっぱりAクラスになったのね」
「父さんと母さんが入った時はどこだったんだ?」
「そりゃ俺らはAよ」
「おぉ、さすがは英雄笑」
「もうやめてくれ……」
最近父さんを英雄って言って揶揄うのにハマった。
その時の父さんはなかなか痛い言動をしていたらしくそれはもう……なんだ。
思い出したくない過去なのだそう。
「なんなら入った時のクラスは卒業まで誰も落ちなかったしな」
「あぁやっぱりアレ父さん達なんだ」
「ん?なにが?」
「さっき入学案内の奴に20年ちょっと前に一回だけ全員Aクラスの生徒は入学から卒業までAクラスだったっていう話があったからさ」
「そりゃぁ俺らのことだな」
「さすがえ「やめろ」はい」
いじり過ぎたか。そろそろ父さん怒りそうだ。
「というか意外だったのは母さんが王族の血筋だってことだよねぇ」
確かにそれは意外だった。
あまりに貴族らしさがないというか、お高くとまった雰囲気じゃないもので母さんはてっきり平民とかそんなもんだと思っていた。
「なんで言ってくれないんだよ」
「だって言ったって貴方達信じた?」
非常に返答に困る反論をされた。
多分知る前に聞かされてたら
父さんについて行って山でヒャッハーして魔物を狩る母さんが王族の血筋?寝言は寝てから言ってくれ。
ってなる自信がある。
「それに母さんはそういう話あまり好きじゃないのよね。今だって基本私の血筋には隠してるのよ。辺境以外になると知ってる人ばかりになるけど」
「フリーナが俺と結婚するって言った時それはもう学院中の男どもが面食らった顔してたからなぁ。今でも思い出すよ」
「だってあなたが良かったんだもん……」
「フリーナ……」
「はいはい、いたいけな16歳の前でいちゃつくな」
「おっと、失礼」
父さんと母さんは家にいる間はずっといちゃついてる。
そろそろ妹か弟が一人増えるかもしれないと思うぐらいだ。
「母さんと父さんが惚気るのはいつもの事だけどさ、コレってどういう状況?」
今父さんと母さんはテーブルを片付け、いつも以上の部屋を綺麗にしている。
服もいつもの貧乏人モード、もとい、通常の服とは違って外行きの服を着ている。
「あぁ、今日はアイツが来るからな」
「アイツ……?あぁ!ゴードンおじさんか」
ゴードンおじさんとは前からよく家に来る金髪の髭もじゃのおじさんだ。
父さんの学生時代の知り合いらしく毎年この時期になると家に来るのだ。
ここ最近前世だ試験だで全く意識してなかったが。
「後他には……ルディとかグランも来るかな」
「なんかえらく大勢くるな……ルディって誰?」
「あれ、学院の入学案内見たなら学院長のメルディアって奴いただろ?アイツだ」
まさかの父さんがあの学院長と知り合いという。
なかなかに濃いそうな人だったが色んな人と知り合いなんだなぁ。
「え、あの人知り合いなの!?」
「おう、学院時代の同級生だよ」
「ほえ〜」
「それにゴードンは……あ、来たみたいだ。リーシャ、開けてきてくれ」
コンコンとドアを叩く音が聞こえる。
「りょうか〜い」
玄関に行ってドアを開ける。
「は〜い、どうも〜…………」
目の前にレインがいた。
「やぁ」
ドアを閉めた。
今何がいた?レインがいた。なんで?知るか。幻覚か?うん、そうに決まっている。
再びドアがコンコンと叩かれる。
「は〜い……」
「やぁ」
幻覚じゃないようだ。
目の前にレインがいた。
え、まじでなんで?
「久しぶりだな、リーシャよ」
「あ、ゴードンおじさん、お久しぶりです。寒いだろうし中に入ってください」
流石に外で待たせるのは酷だろうと思い一旦中に入れる。
外は今水が凍りつくぐらい寒い。
ゴードンおじさんはモコモコのコートを着用している。
「初めましてリーシャちゃん、さっき入学案内が来たみたいだしさっきぶりかしら〜」
「あ、初めましてメルディア学院長。中にどうぞ」
次に入ってきたのはさっきの案内の映像で見た青髪碧眼で青いドレスを着た女性。
「ふふふ、そんなに畏まらなくて良いのよ。出来たらゼニスみたいにルディって呼んでくれて良いのよ?」
「いや、流石にそれは……メルディアさんって言わせてもらいます」
てかこんな寒い中ドレスで来るとか正気かこの人。
まぁ似合ってるし本人が良いなら私は何も言わないが。
その次に入ってきたのがグラン爺。
グラン爺もゴードンおじさんのようにモコモコのコートを着用していた。
なんか童話でこんなドワーフいたな……。
「グラン爺、久しぶり」
「うむ、入らせてもらうぞ」
そして最後に入ってきたのがレイン。
「はぁ……寒かった。早く入れてくれたら良いのに」
「あのなレイン、いきなり目の前に王族が居たら平民気質な私でも流石に固まるんだわ」
「でも君なら大丈夫かな〜って」
「説明になってねぇ」
「なんだリーシャ、うちの息子とはもう仲良いのか」
「そうだよ、全くコイツと来たら……うん?息子?」
ゴードンおじさんがレインを息子と呼んだ……?え、どういう事かな。
いや、分かるんだよ、分かるんだけどね。
「え、ゴードンおじさんってまさか……」
「おっほん、我が名前はゴードン・フォン・ハイゼラード。この国の国王である」
「えぇ…………」
父さんの知り合いはなぜこんなにも大物が多いのか。




