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忘却の転生者  作者: 波来
第一章 前世を探す者
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入学式

「はい、これ制服と教科書」


メルディアがそういえばとカバンから出してきた制服と教科書を受け取る。

制服は今まで見てきた軍服のような奴で青色だった。

同じ学年だからルナも当然青色だ。


「あ、書類とかはゼニスに渡しておくから、はい」


父さんがメルディアから何枚か紙を受け取る。


「軽くだけ言っておくと。まず制服には実習とかで使えるように諸々付与魔法とかが掛けられてあって、バランスが崩れたら意味をなさなくなるからそれは弄らないように。教科書は抜けとか無いと思うけどリスト通りか確認してちょうだいね」


紐で括られた教科書類の1番上に紙が挟まっている。

紐を解きながらリストを確認する。


「う〜ん……なんかその制服見覚えあるなぁ……」


父さんが私たちに渡された制服を見てつぶやく。


「そりゃ前行った時に見たからじゃ無いのか?」


「あぁいやそうじゃなくてもっと前に見たことがあるなぁって……。俺たちが学生の頃はこんなのじゃなかったからさ」


「あぁそれね。見たことがあって当然よ。何せあなた達が暴れ回ってた時の私兵隊の服がモデルなんだから」


「あぁー!それだ!……え、俺らがモデル?」


「もちろんそうよ。アレだけ暴れ回ったんだから色んな人の目に触れたに決まってるでしょ?それでその年の生徒会があの服をモデル〜って来年から変わったかしらねぇ」


どうやら父さんと母さんのやらかし?でこの服に変わったらしい。


「そうだぞ。俺のところの兵士もあの制服に皆憧れを持っとるものも多かったな。流石に国軍までお主らの軍服がモデルの服のデザインを使うわけには行かんかったからの」


父さんと母さんって思ったより有名なのか……?

いつもやってる事だから気にしてなかったけど外に行く時毎回認識阻害の魔法を掛けているのってそういうことか?


「やめだやめだこの話は!恥ずかしくて聴いてられん」


「紅蓮の魔術師」


「やめろぉぉぉぉぉぉ!」


あ、ゴードンおじさんが吹き飛ばされた。

あと紅蓮の魔術師て。

父さんが自分から名乗ったのかな?

ちょっと面白い。


「まぁアレだけ暴れてたらねぇ……」


「星氷の作り手……」


「メルディア貴女、死にたいようね」


「嘘です嘘ですごめんなさぁぁぁぁい!いたいいだいいだい!」


母さんが立ち上がってメルディアの後ろに行き頭をゴリゴリする。

痛そうだ。

母さんの二つ名みたいなのは父さんのよりはマシだな。

多分。


「はぁ全く…………あまり思い出したくない過去だから言わないでちょうだい」


「はぁ〜い」


「あ、ルナ、リーシャ。せっかくだから着てみたらどう?似合うと思うわよ」


と母さんが言って来た。


「そうだな、じゃぁちょっと着てくる」


ルナと一緒に2階の自室に行って着替える。


制服はズボンとスカートがあった。


「ルナ、お前はどっちにする?」


「うーん、私はスカートで」


「じゃぁ私はズボンにしよ〜っと」


制服を魔眼で見てみると確かに付与魔法がかけられており、防御力と俊敏性が少し上がり、体温を調節する機能のようだ。


……ちょっと心許ないし後で改造してみようかな。

弄ったらダメって言われてたな。

バレなきゃ良いんだよ。


左肩には短めのペリースが付いておりそこに星が3つ付いていてそれぞれ実技、魔力量、知識のテストで優秀な成績を修めた事を表すものらしい。

新入生は三つだが学年が上がることに教科が増えたりして最終的に最大9個になるそうだ。


なんでそんな事が分かるかって?何故か制服に説明書が挟まってた。

制服の説明書って何よ。


「おぉ似合ってるな、ルナ」


「お姉ちゃんこそ」


「じゃぁ降りるか」


部屋から出て皆んながいるリビングに戻る。


「うい、着てきたぞ〜」


「似合ってるね、リーシャ」


「へへ、良いだろぉ」


レインが褒めてくれた。

まぁこいつは誰にでも優しいしな。


「おぉ似合ってるじゃないか!」


「そうね。確かにあの時の私たちみたい」


「紅蓮の……」


「星氷の……」


「「(ギロッ)」」


「「ま、まだ何も言ってないぞ!」」


思わず口走りそうになったゴードンおじさんとメルディアが父さんと母さんに睨まれてしゅんとする。

犬みたいだ。


「ほ、本当に似合ってるわね。これなら新入生代表らしくて良いわね」


ちょっと待て今聞き捨てならない事を聞いたぞ。


「メルディアさんや、新入生代表とはなんぞ」


「あら、言ってなかったかしら。貴女は成績最優秀の新入生だから新入生代表の挨拶があるのよ」


「はぁ!?い、いやここは……王子?のレインがやるんじゃないのか?」


「いやぁ、流石に成績ダントツ一位のリーシャを差し置いて僕がやるのはねぇ……。それにあの学院は完全実力主義だから一位の君が相応しいと思うよ。うん」


「と言うわけで入学式までに文面考えておいてね」


「うそだろ……」


これまた面倒くさそうな事をやらねばならないようだ……。



────────



それから数週間後、もうすぐで冬も終わり春がやってくる季節に、王立学院の入学式が行われる。

4月の8日、つまり今日である。


「はぁ……憂鬱だ……」


「頑張れ〜新入生代表〜」


「くっそ他人事だと思いやがって……お姉ちゃんは悲しいぞ!」


「そりゃぁ実際他人事だしねぇ〜が〜んばれっ」


「ちっ」


王立学院の講堂で入学式を行う。

がそれは昼過ぎから、今はその前に腹ごしらえと言う事でオジキさんの店に向かっているところだ。

父さんたちはゴードンおじさんと話があるそうで今は王城に行っている。


店の扉を開けてると厨房には人がいなかったからルナが声を掛けた。


「オジキさ〜ん。店やってます〜?」


すると奥の方からオジキさんが。


『ちょっと待ってくれ〜!どこか適当に椅子座っててくれ』


どうやら奥で何かやっているようだ。


「じゃぁお言葉に甘えて座ろうか」


「そうだね」


席に座ってメニュー表を見る。


「なんだ、ゼニスんとこの娘らじゃねぇか」


「お邪魔してます」


「おぉ〜い、カズ!こっち来い!」


『はぁい!』


オジキさんが奥の方に向かってそう言うと、厨房から学院の制服を着ている、オジキさんと同じオレンジ色の髪の同年代らしき男がやってきた。


「こいつがうちの息子のカズだ。ほら、この前言ったゼニスんところの同級生の娘さんらだ。挨拶しろ」


「初めまして、カズです!名前はリーシャさんで合ってましたっけ」


「おう、リーシャだ。それとこっちがルナだ」


「よろしく〜」


「これが本物の英雄の娘さんたちかぁ……なんか憧れるなぁ」


英雄ってなんぞ。


「英雄ってのはお前らの親父らだ。アイツらは二人揃って英雄って言われてるからなぁ」


そんな話初めて知ったぞ。

まぁ父さんたちが話そうとしないから仕方ないが。


「リーシャさんは新入生代表でしたっけ」


「そうそう。やりたくねぇよぉ」


「お姉ちゃんってばさっきからずっとこればっかり言ってるのよ」


「まぁ新入生代表の挨拶はまぁまぁプレッシャー掛かるだろうからなぁ。俺らの学年は最優秀がフリーナだったかなぁ」


「そうなんだ」


なんか母さんってそういうの得意そうだな。

いっつも見てる雰囲気では、だけど。


「まぁ飯でも食って落ち着けば良いさ。カズの入学祝いも兼ねて今日はタダで作ってやるよ」


「おぉっ!マジでかオジキさん!それじゃぁこれと、これと、これで!」


最初から順番に、アガルブロス(牛)のステーキ、ゴロゴロアガルブロス肉のカレー、そしてアガルブロスのビーフシチューだ。


「幾らただだからってまぁまぁ高いやつを三つもって……。あ、私は牛丼で」


「おぉう……すごい食うじゃねぇか。わかった作ってくるぜ!」


「カズってクラスはどこになったんだ?」


「あ、僕もAクラスです!リーシャさんはAクラスでしたよね?」


「そうだな、ルナも……あとレインも少なくともAクラスのはずだ」


「やっぱり王太子殿下もAクラスかぁ……なんかちょっと緊張するなぁ」


「まぁアレは緊張する程の人間じゃないと思うぞ」


「いやいや王太子殿下と言えば相当なキレものって噂なんですよ!」


アレが……?キレもの?

のほほ〜んとしたイメージしかない。


「そんなことより新入生代表の挨拶をなんとかしたい」


「もうそろそろ鬱陶しいよ、お姉ちゃん。もう諦めなよ。オジキさんの言うとおりご飯でも食べて落ち着きなって」


「はぁ……そうするかぁ……」


その後出てきた料理たちは非常に美味しかった。



───────



さてさてやってきました入学式。


新入生はおよそ200人。


この中で新入生の挨拶をしろと?新手の拷問か何かですか?


「よっ、レイン」


「あ、リーシャ。久しぶりだね」


「はぁ……今からでも新入生代表変わってくんね?」


「断る」


「くっそ……」


マジで嫌だぁー。


レインの隣に座って入学式が始まるのを待つ。

私は新入生代表と言う事もあって1番前の席に座っている。

ルナとレイン、カズも1番前の列だし成績順なのだろうか。


父さんと母さんはもうすでに保護者席に居る。

認識阻害魔法でこそこそとしているが流石に閉鎖空間だと周りの人間の中には気づく人もおり、所々から、


『アレって紅蓮の……』


『その隣は星氷の……』


と言う声が聞こえる。


その二つ名を聞いて父さんと母さんがものすごく気まずそうにしている。


時間になりグラン爺の息子のマーカスが登壇してマイクに話しかける


『それでは入学式を始めさせていただきます。それではまず初めに新入生代表の挨拶から行わせてもらいます。新入生代表、登壇してください』


呼ばれたので行くとしますか……。


「頑張れ〜」


「まぁ出来る限りやってきますわ」


席から立ち、壇の両端にある階段から登壇して壇の中央にある台の前に立つ。


魔法陣からあらかじめ言うことを書いた紙を取り出し、開く。

その瞬間保護者席のみならず会場全体がざわめいた。


そう言えば収納魔法って古代の魔法だったなぁ……父さんと母さんは私が教えてからずっと使ってるし気にしてなかった。


『えー、こんにちわ。新入生代表の挨拶を務めさせてもらいます。リーシャ・フォートレスです』


すると再び会場がざわめき出す。


『フォートレスって……あの?』


『え、本当に?』


『じゃぁあそこにいるのって本物……!?』


うっせぇーな保護者ども黙れよ。

ゴホン、つい本音が。


『まず、本日のような良き日に、保護者や家族に見守られ、そして学院の先生達に迎えられ王立学院の入学式を迎えられたことをとても喜ばしく思います』


あー、緊張で死にそう。


『少し自分語りになりますが、私はお世辞にも栄えてるとは言えないど辺境の生まれで、しかも人も少ないところで生まれたものでして友達がいません。友達といえる人が二人いるけどとても普通とは思えないヤツらです。誰か友達になってください。募集してますので。って、こらそこの王太子!わらうな!』


コイツ……!人がどれだけ苦労してるのかも知らずに……!

まぁ友達とか普通の生活云々は父さんのアレも多分に含まれるし。


『てか今の不敬罪とかにならねぇよな……まぁそれは良いや。今年の生徒達はとても優秀と聞きました。彼らと切磋琢磨して互いを高め合うような関係を築けたら良いなと思っております。今回お集まり頂いた保護者の皆様、今日に至るまで私達を愛を持って育てていただきありがとうございます。そして、どうかこれからも私達のことを見守ってくださったら幸いです。この学院で私達の成長を見て誇らしく思えるよう頑張っていきます。新入生代表、リーシャ・フォートレス』


最後に締めくくったら会場は溢ればかりの拍手で包まれた。


うん、所々終わってたけど多分大丈夫だ。


席に戻るとレインが笑っていた。


「ははははは!ひぃ、く、くるしい、!ふっははは!」


「笑うにしても少しは抑えろこのバカ」


「あー、面白い。まさか新入生代表の挨拶であんな面白い話が聞けるとは思わなかったよ」


「王太子と王女以外にまともな友達って言えるの一人しかいねぇよ……マジで……」


「まぁまぁ良いじゃ無いか。灰色の青春でもさ」


「嫌だよ」


「はっはっは!」


「コイツ……!」


『はいはい、そこの新入生代表と王太子殿下は落ち着いてください。えー、なかなかに面白い、げふん、個性的な新入生代表の挨拶ありがとうございました……んふっ』


先生が笑ってる。

よく見れば周りの人たちもちょっと苦笑いしてたり笑ってる人が多い。


…………私は悪くない。悪いのはあそこで笑ったレインだ。

牛肉姉妹の姉の敬語に慣れていない無礼なリーシャ16歳

牛肉姉妹の妹のメスガキ&妹属性のルナ16歳

万が一にも自分の気持ちに気づきそうに無い鈍感女に片想いしてるレイン16歳


文字に起こしてみたら割とカオスだな()

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灰色の青春…某魔王さまも言っていたような…
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